加賀百万石バブル遺産の残骸…加賀温泉駅前・旧「ユートピア加賀の郷」が凄くて酷い 

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加賀の大観音像が見下ろす雪まみれの外廊下を滑らないように慎重に歩いて行くと、大観音像の背後にあるのが「加賀三十三間堂」である。びっしりと書き連ねられたでかい案内看板が矢印で指し示す先に筆舌に尽くし難いトンデモ黄金世界が広がっている。

平成元年に完成したそうだが今年は平成23年、おおよそ20年以上が経っている訳であるが、元の経営会社が倒産したのが平成10(1998)年なので、むしろ倒産後の歴史の方が長い。

中に入るとだだっ広いホールに仏陀の一生をモチーフにした人形や置き物がずらりと並ぶ、まさしく仏教界の「イッツ・ア・スモールワールド」状態になっている訳なのだが、ここも例に漏れず暗い。

まさかこんなジオラマを見せられるとは思わなんだ。他に誰一人として参拝者がいない巨大なホールでしばし呆然とする。脳内には某ディ◯ニーのあの曲が勝手に流れだしそうになるが、人形が動いたり回ったりする事はない。

一つ一つ精巧に作られたであろう人形の数々は薄暗いホールの中ではしっかり眺める事もままならない。ただあまりに豪華過ぎて言葉を失う。お金の使い方間違ってるよ。

もはや死に体の宗教テーマパークにあれこれ注文するのも無意味だが、仏陀の顔を拝む事も出来ない照明の暗さはどうにかならないのだろうか。真っ暗な部分は仕方なく通り過ぎるだけ。

最後に仏陀の涅槃像まで辿り着くと、仏教界のイッツ・ア・スモールワールドは終わりを迎える。南無阿弥陀仏。

きっとバブルに浮かれてこの施設を創り上げた関西土地建物の嶋中社長一味は、北陸にディズニーランドに負けないテーマパークを作るぞと本気になっていたのかも知れない。バブル期は安直で意味不明なテーマパークが次々地方に誕生した一大黄金期でもある。

実際にユートピア加賀の郷が開業した直後には隣接していた遊園地「ユートピアランド」もあり、観覧車やジェットコースターなど一通りのアトラクションを備えていた。きっと今よりもテーマパーク具合が顕著だったはずだが、既に取り壊されて跡形も無い。

次の部屋に入ると、巨大なひな壇に数え切れない程の黄金の千手観世音菩薩像がずらりと立ち並ぶ異様な光景が目に飛び込む。ちょっとこれは…

真っ暗な空間に浮かび上がる鈍い金色のシルエット。それらは全て同じ千手観音像であり、皆一様に同じ方向、同じポーズで参拝者に向きあう。

それがひな壇の奥の見えない部分にまでびっしりと続いているのだから、驚きを通り越して呆れるくらいの世界だ。人間の目で何体いるかとても数えられないが、入口の案内看板には「25段94列」「1188体」と書かれていた。

斜め上に視点をやるとまるで合わせ鏡かCGのように見える千手観音像の行列。でもこれ全部本物ですから。今までの巨大梵鐘やら瑠璃光殿やら金色堂なんぞは「さすがバブルの発想、ゴージャスだね」の一言で済みそうなネタだが、この千手観音像の大群はマジキチレベル。

中央にはひと際巨大な千手観音像が安置されていた。照明がないせいで御尊顔を拝む事すらままなりません。開業当時はこの千手観音像の向いている外側にユートピアランドの敷地が広がっていた。今では産廃業者の敷地となっているというのも、これまた香ばしい。

「加賀百万石」と言えば金沢の金箔、それに黄金だらけのゴージャス趣味といったイメージの何割かは、この施設が担っていたのかも知れない。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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