加賀百万石バブル遺産の残骸…加賀温泉駅前・旧「ユートピア加賀の郷」が凄くて酷い 

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豊星寺の境内に入って右側を見ると本堂や観音像とは別に大きな建物があった。玄関上の看板に「瑠璃光殿・金色堂御拝観入口」と見える。

傍らに置かれた立て看板に瑠璃光殿と金色堂の説明書きがなされている。

「この瑠璃光殿は室内が3重吹き抜きで清水が流れる人工池泉の中心に全高17mの五重塔が金色燦然と吃立し堂内まわりの2層と3層には多数の仏像を奉安して水と音と光の交錯により神秘的、幻想的な立体曼荼羅の仏世界、すなわち偉大な宇宙空間の荘厳さを現代的に演出し、参拝者をしておのずと悟りの境地へ誘い、その心に大きなやすらぎを与えます。」

「金色堂は、建物の高さが大相輪の真上まで21mあり、堂内は天井の高さ約10mで八角形のドーム状に作られております。中心に半球状のきだんをもうけ、十一面観世音菩薩のご尊像を安置し、その足もと周辺に五百羅漢を配しています。この観音様を祈念すれば衣類、財物に不自由せずいっさいの憂いや病の苦しみや傷害をさけ、悪夢などの難からのがれる功徳があるととかれています。」

…とまあ、随分大層なご利益があるらしい2つのお堂へ続くエントランスへ入る。瑠璃光殿は正面、金色堂は左側の廊下を進んだ先にある。それにしても参拝者の姿は全く居ない。中央に巨大な数珠のモニュメント…全てがバブル期のノリで作られている。

まずは左手の金色堂へ。堂内に入ると金メッキが施された五百羅漢の山がそこにある。ビジュアル的にかなりイカれている。これだけのものを作っておきながら長年廃墟同然で放置されているのだ。

さらに五百羅漢の内部にも参拝所が置かれていた。誰に拝まれる事もなくその場に佇み続けている仏様の姿が痛々しい。

なぜか大阪弁をしゃべる寺の住職(かどうかも怪しいが)の投げやりな態度といい、この地は既に宗教施設としてのオーラを完全に失っており、ひたすらバブル期の悪趣味な世界を見せ付けられ自ずと笑いがこみ上げてくる。

本来ならこの五百羅漢像にも明るい照明が当てられ、さぞかしキンキラキンの世界が広がっていたのだろうが、今となっては窓からの明かりにひっそりと輪郭を浮かび上がらせているのみ。節電モードではありません。

放ったらかしプレイの続く気の毒な五百羅漢像、中にはすっかりカビが生え出して金メッキのボディが灰色にくすんでしまったものも見られる。なんと罰当たりな光景だろうか。

この五百羅漢像の一体一体を観察すると、顔つきや手に持っているものが微妙に違っていたりする。

どれだけ労力を掛けて作ったものか分からんが、今となっては殆ど闇に葬られたかのような形になっている。

最初にこのトンデモ宗教ワールドを築き上げた関西土地建物(倒産)の経営者・嶋中利男氏の心中には何があったのだろうか。さっぱり理解出来ない。

ただ、心なしか五百羅漢像の表情はどれも固く、怒っているようにも感じられる。とても安らげそうにない。

続いて黄金の五重塔が鎮座する瑠璃光殿へ。ここも内部の照明が殆ど消されていて真っ暗である。

「水と音と光の交錯」「偉大な宇宙空間の荘厳さ」といったものはどこにあるのだろうか。薄暗い空間はただ無駄な豪華さだけを残して光を失っていた。内部は3階建てになっていて上からも五重塔を拝めるようにしてあるのだが、2階から上に続く階段は封鎖されていた。

仕方なく最下層から五重塔を見上げる。開業したばかりの時期は全く様子が違っていたのだろう。圧倒的な成金趣味の果てに作られた宗教建築、今は誰も訪れる事もなく忘れ去られたユートピアは時代に取り残されたバブルの虚像。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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