沖縄本島中部の金武町(きんちょう)も、また米軍基地の街として有名な場所である。街の大部分を米軍海兵隊の訓練基地であるキャンプ・ハンセンが占め、基地の正門ゲートの真正面には米兵達の盛り場として栄えてきた金武町新開地がある。
沖縄自動車道を使わず国道329号沿いにコザから約1時間掛けて金武町新開地の前までやってきた。キャンプ・ハンセンの正門ゲートが目の前に現れる。
島の反対側にある恩納村はリゾート地として栄える一方で、こちらは観光地の臭いは皆無、のっけから寂れた風情が全開となっている。基地から国道329号を挟んだ向かいはまるでアメリカの街並みだ。古びたコンクリートビルの商店には英語の看板でびっしり埋め尽くされている。
そんな金武町新開地の入口には日本とアメリカの国旗が象られたアーチが掛かっている。戦後日本の片隅、沖縄の外れにあるこの小さな街で、アメリカと沖縄の文化が濃密にチャンプルーされてきたのである。
あいにく訪れたのが朝っぱらという事で商店は物の見事にシャッターが閉まっていて、盛り場としての街並みを眺める事は叶わなかった。やっぱり夜型生活なんだろうなぁ。国道沿いに並ぶのは酒屋とバーばかり。
しかし中にはパソコン専門店らしきものもある。この店構えはどう見ても日本のそれではないです。とてもサイバーコネクションしているようには見えない店。南米の片田舎ですと嘘をついても多分バレない。
どの店も戦後長らく営業しているのか知らんがとにかく店構えの古さがずば抜けている。コザのゲート通りですらたいがい煤けた街並みだが、金武町まで来るともうワンランクボロくなる。
アメリカンレトロな時計屋やカメラ屋の数々。それにしても前日の盛り場の食い残しだろうか知らんが付近から猛烈な悪臭が漂ってくる。こういう所もなんか日本らしくない。
あまりに時計屋ばっかりあるのだがそんなにアメリカ人は腕時計好きなんだろうかね。どの店もシャッター街な状態なのが残念なのだが…相変わらずピザ屋の前あたりの悪臭が酷い。ドブに腐乱した食材が流れたような臭いがする。
にわかに鼻を摘みながら金武町新開地の入口に立つ。米軍統治時代の盛り場の雰囲気をそのまま残している街で、今回の沖縄旅行において是非訪問したいと思っていたのだ。
とは言ってもやはり朝っぱらなのでどこも店が開いていない。米兵を相手にした飲食店ばかりなので、ピザかタコスかバーベキュー、もしくは金武町発祥のタコライスの専門店が何軒かあるのみで、たまに和食を食べたくなった時はとても困るだろう。
キャンプ・ハンセン正門の向かい側から続くのは「フレンドシップ通り」と呼ばれる社交街のメインストリート。今ではさっぱりな感じだが、日本復帰前は所謂パンパンガールやら何やらがたむろする怪しい夜の街として栄えたそうだ。
沖縄のあちこちで目にする日米同盟という名の現実、それを素肌で感じる事が出来るのが金武町新開地である。米軍基地の物々しいゲートの前に立つとちょっと緊張しますね、金武町だけに。でもこの基地は沖縄本島で数少ない実弾射撃演習地。撃ち殺されたらギャグどころではない。旅行者もプロ市民の皆さんも派手な行動は慎もうね。