愛知と言ったら「三英傑」織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を代表とした戦国時代の武将を輩出した土地であり、天下泰平の江戸時代、現在の江戸東京の基礎を築いたのは三河の家康、大阪の基礎を築いたのは尾張の秀吉だがねと地元の学校の授業でも教えられる程の歴史的重要性を持つ。
「尾張名古屋は城でもつ」という言葉にも示すように名古屋城は今もこの地方においてはシンボル的存在として君臨し続けているし、名古屋の郊外には清洲城や小牧山城、岐阜城、徳川家康の生地・岡崎城、それに国宝である犬山城など、史跡として残る城は数知れない。
その犬山城をひかえる愛知県犬山市の外れに、是非とも日本DEEP案内取材班に攻略してもらいたい「城」があるというタレコミを受けて、わざわざ東京から東名高速をぶっ飛ばしてやってきた。
その城とは地元・名古屋の竹田製菓が運営する「お菓子の城」である。表向きにはスイーツ系テーマパークだが、実は結構キョーレツな電波物件だという話がある。
このお菓子の城、名古屋ローカルのテレビCMを見ている東海地方の人間なら知らない者は居ない程の有名施設。「♪キューピットが矢を射るお菓子の城」などという歌詞がついたテーマソングは名古屋人なら誰でも歌えるのだそうだ。広大な駐車場の向こうに「ありがとう」と書かれた生け垣がある。これが何を意味するかはのちのち解説しよう。
「お菓子の城」は犬山市の外れに位置する工業団地の中にポツンと広がるメルヘン空間。
この施設を経営している竹田製菓の社長である竹田和平氏も地元ではかなり有名な人物で、ただの製菓工場の社長というだけに留まらず、上場企業107社の大株主でもあり、相当な投資資産家でもある。自らブログを運営したり人生やビジネスに関する啓発本を数多く出版していたりと随分活動熱心だ。
ここ犬山市にある製菓工場を兼ねた「お菓子の城」は本業の片手間で展開している事業のようだ。
お菓子の城への入場ゲートには「メルヘンの園」と書かれていていかにも感が漂う。メルヘンって自称するものではないと思うがどうなんだろうか。
んで、あくまで入場券ではなく「入城券」なのね。大人一人1200円、3歳児から中学生までは900円。だがここでは大人1800円の「体験セットつき入場券」を買うのがデフォルト。お菓子のバイキングやクッキー作りなどの体験のうちどれか一つを選べるシステムになっている。
天下泰平の平成の世だけあって、鉄砲隊に撃たれたり闇討ちに遭う事もなくあっさり「入城」に成功したわけだが眼前にそびえる「お菓子の城」の巨大な洋館に改めて溜息が漏れる。周囲は何の変哲もない工場地帯なのにここだけがメルヘン。シュールだ。
城の目の前にある池には年がら年中季節柄を弁えないサンタクロースとトナカイのブロンズ像。ますます意味がわからない。
案の定こういう場所だけに子供連れの家族が多いが、時折一人だけでかいカメラを片手にニヤニヤ写真を撮り集めるマニアの姿も見かける。やはりこの場所がディズニーランドあたりのノリとは明らかに違う事を物語っている。っていうか全く自分の事を棚に上げてるわけだが。
洋館に向かい合うようにして佇む、滝が流れる泉。よく見るとそこには…
「キューピットの滝 お城を見上げて下さい 見事的に当たっています」
なるほど、これがCMソングにもあった「♪キューピットが矢を射るお菓子の城」ってわけか。
しかし看板にある通り、お城を見上げてみたら…
キューピットが放った矢は洋館の屋上にあるハート型の的に命中していた。しかし矢が真横に貫通しているwwww
しかもただの的ではなかった。アリガ塔と書かれた塔なのだ。意味不明のセンスである。さっきの生け垣といい、「ありがとう」のフレーズをこの先々で頻繁に見る事になるだろう。
もう一つ同じ形状の泉があったがこちらにはキューピットの姿がなかった。
だがその隣にはぽつんと小さな祠が置かれていた。
何気なく置かれた祠には「お菓子の神様」が祀られているのだ。日本は八百万の神の国だなんて言うわけだが、タヂマモリ(田道間守)という菓子の神様は日本全国の製菓メーカーの崇敬を受けており全国の製菓工場にはこうした祠が置かれている。
メルヘンの国でもやはり神道なのかと思いながらも巨大な洋館の入り口に立つ。この先に広がる奥の深いパラダイス、余すことなくお伝えしようと思う。