逃亡犯が長期潜伏していた島は無人化目前の限界集落だった…「オーハ島」上陸記 

英国人女性殺害事件の逃亡犯として2年7ヶ月の逃亡生活を繰り広げていた市橋被告が最後の潜伏生活先に選んだ沖縄県久米島町の外れにある小さな島「オーハ島」。
日本全国を探し回った末に図書館にあった本から「沖縄の無人島に住む」事を手段として考えた彼が、逮捕される直前まで続けていたのがオーハ島でのサバイバルライフと、時折現金収入を得る為にフェリーを乗り継いで大阪の西成釜ヶ崎とを行き来する生活スタイルだった。

久米島訪問最大の目的であるオーハ島への上陸を果たすため、我々は最初に歩いて渡ろうと無謀な事を考えて向かった奥武島の東端から一旦撤退し、はての浜ツアーの観光用ボートが多数停泊している「泊フィッシャリーナ」を訪れた。

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既に複数のツアー業者に連絡してオーハ島に渡りたい旨を伝えたのだが、応対してきた人によっては「オーハ島なんてなんもないよ、行くとこじゃない」とのっけから客の希望を蹴飛ばす業者もいる。全然分かってないなあ。

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結局我々がお願いしたのが、オーハ島ね、はいはい(ニヤニヤ)と応対してきた、物好きな当方の事情が分かっていそうなこちらの業者だった。電話で聞いた通りのプレハブ小屋の簡素な事務所まで行って手続きを行う。

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そもそもここにやってくるような客ははての浜にしか用事がないのだから、どの業者も看板には「はての浜」としか書いていない。オーハ島の文字はどこにもありませんでした。

しかしはての浜ツアーとセットでオーハ島上陸をオプションに付けている業者が多く、両方見たいですと希望を伝えたら、1人5500円取られました。チャーター船が結構お高いのは覚悟の上である。

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という訳で海の底が見える観光用グラスボートで泊フィッシャリーナを離れて沖合に移動すると、あっという間にオーハ島の脇を掠めてはての浜方面にすっ飛んでいく。我々の他にはいかにもなカップルや女同士の観光客しか居ない。どう見ても場違いだ。

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せっかくなのでついでに見ていこう程度にやってきた「はての浜」も、シーズンオフでなおかつこの残念な天気のせいで、見た目には感動5割減といった印象。まあ期待していなかったのでさほどでもないが。

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他のいかにもな観光客も同乗していたので、まずはボートから降りてはての浜をしばらく歩く事に。オーハ島に行きたい場合は別のボートから再度乗って行く事になる。

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しかしこの場所もかなり漂流ゴミが多く、素足で駆け出したい気分にはとてもなれない。海水浴シーズンには大勢の観光客がこの場所目掛けてやってくる。

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砂浜だけが延々と続くはての浜全長7キロの何もない空間。これ以上現実逃避に適した土地も珍しい。だが市橋くんは隣のオーハ島でハブや空腹や孤独や逃亡生活のプレッシャーと闘いながら生きながらえていたのだ。天国と地獄だね。

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何もない「はての浜」には海の家らしき掘っ立て小屋と、仮設トイレが申し訳程度に置かれているだけだ。そもそも沖縄だというのに春先にしては死ぬ程寒く、思わずジャンパーを着込んでしまった程の微妙な気候だったのだ。もうこんな島に長居は無用だ。

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という事で、今度はオーハ島に向かうボートに乗り換え。浜辺まで接岸出来ないのである程度脛の上まで海水に浸かりながら船に乗り込む。さすがにいかにも観光客な方々は誰一人としてオーハ島行きのボートに乗って来なかった。

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ボートがはての浜からオーハ島に戻ってくると、ちょうど市橋くんが生活していたコンクリート製シェルターがあったという島の東側が見える。接岸出来るかボートを運転する船頭のおじさんに交渉したが「無理だね」と速攻で断られた。

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結局島の西側まで回りこんで、そこで上陸する事になった。なるべく早く帰ってきてと船頭のおじさんは我々を急かすが、せっかく高い金を払ってきているのだ。気が済むまでは戻って来んぞと釘を刺す。

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島の西側の浜辺を伝って、オーハ島の集落が何軒か残る内陸へ入る事にする。主に地面は砂浜なのだが、時折鋭利な刃物のような切っ先の見えるヤバそうな岩場が顔を出している。素足はともかくサンダル履きでも危険だろう。

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そして振り返ると先程我々が訪れた奥武島の東端部分が見えていた。市橋くんはオーハ島で真水の補給に最も苦しんだらしく、週に一度2リットル入りのペットボトルを7本バックパックに詰めて、それをゴミ袋に詰めて浮き輪代わりにして島と島の間を泳いで渡っていたらしい。真水は奥武島で確保出来たようだが、全く、並外れたサバイバル能力だな。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。

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