戦後の闇市から始まる歴史ある「栄町市場」に隣接して、夜の盛り場「栄町社交街」が広がっている。栄町市場を含めたこの一帯、焼け野原の跡に作られた碁盤の目の路地に沢山のスナックや飲食店が密集している。
栄町という地名は行政上は存在せず住所は「那覇市安里」となる。しかし那覇市民にとって栄町という地名は、市場よりもむしろ隣り合う社交街のイメージが強い。
それというのもこの栄町社交街は普通のスナックや飲食店に混じり、古くからのちょんの間が軒を連ね、そっち目的の男が夜な夜な集まる場所として知られているからだ。
栄町社交街へはスーパーりうぼう脇の栄町通りから入っていく事になる。この時点で既にスナックだらけの街並みになっている訳だが、昼間は特にそれ以上の怪しさは感じられない。
夜になるとこの付近にもババアの立ちんぼが出没しては通りがかる男どもに声をかけるそうだ。神里原はバラック酒場だったが、この辺のスナックが入居しているのはコンクリートビルが多い。
そろそろこの辺りで栄町通りを外れて左に折れてみる事にする。社交街のメインコンテンツは栄町通りの北側一面だ。
やはり異常にスナックだらけの光景が目立つ路地である。沖縄県は全国で最も開業率の高い土地だというがその内情は個人経営のスナックがやたら多いという話。飲み屋は社交街に限らずとも非常に多い。
ただ栄町社交街の場合は普通のスナックに混じってなぜか「旅館」の看板を掲げている店舗がちらほら見られる事。この旅館は一体どんなお客さんが使っているのだろう。
路地にずんずん突き進むと次第に道の両側にはスナックと旅館の看板がずらずらと並ぶ風景になっている。昭和な匂い全開のスナック美人館。美人局じゃなくって。
同じ建物内に玄関が隣り合っているスナックと旅館。石敢當まで玄関脇に1つずつ揃っている。非常に意味深である。スナックの玄関口には呼び込みのオバハンが座るようの椅子まである。
この界隈に「旅館」と看板を掲げている所は、一般の観光客がふらりと寄るような雰囲気の旅館には見えないのが共通点。どういう流れで旅館を使うのかは、あえてここで説明するまでもないだろう。
この上なく怪しさ満点の界隈だが昼間は別に普通な感じなので、女性一人で通りがかっても何かトラブルになるような事もない。たぶん。ただ夜になると至る所にきわどい服を着たオバハンが突っ立っていて明らかに異様な光景へと変わる。
ただ沖縄では真栄原社交街やコザ吉原の壊滅など近年になって裏風俗関係の締め出しが強まっている。我々が沖縄に訪問した2011年春の時点で他の有名どころは軒並みやられてしまっていた後だったが、栄町だけは相変わらずな感じだった。それでもいつまで続いていられるのか、そのへんは未知数だ。