財政再建団体の厳しい現実!そして無残な廃墟遊園地…夕張市「石炭の歴史村」 

北海道

夕張が炭鉱の町としての歴史を閉じようとしていた頃「炭鉱から観光へ」をキーワードに、旧夕張炭鉱跡地に造成されたテーマパーク「石炭の歴史村」。

夕張市が財政破綻してかなりの月日が過ぎたが、第三セクターが運営していた「石炭の歴史村」はまだ潰れておらず、辛うじて規模を縮小させながら運営が続けられているのだ。夕張を訪れたらこの場所にも行かなければという事でやって参りましたよ。

最初から予想してはいたが、だだっ広いテーマパークの敷地はそのままに人の姿が全くないという異様な光景が飛び込んできた。

明らかにキャパシティオーバーな造りの遊園地入口部分。今ではもぬけの殻となってテント屋根も取り外されて骨組みだけになっていた。恐らくフードコートらしきスペースだったと思われるが、廃墟同然である。

チープなイラストが壁に描かれたシュールな外観のおみやげ売り場もやはり閉鎖されたまま。これではリア充ファミリーの皆様方には旅の思い出なんて作れません。我々取材班にはいい旅の思い出になりましたけどね。

現在ここを訪れると駐車場は園内のかなり先まで入った所に置かれている。かつてはもっと手前から車を止めて歩いてゲートを潜っていたのだろう。車が行ける所まで行くとそこには旧夕張炭鉱の竪坑櫓が姿を現す。今でも「石炭の歴史村」のシンボル塔となっている。

この土地には石炭の歴史村が1980年の開館以来、展示施設の中核を成す「石炭博物館」に加え、大規模な遊園地が次々建設されていった。それは炭鉱閉山で職を失った夕張市民の再雇用先として作られた側面もあったのだ。

しかし多額の税金が投入されて建設されたテーマパークの施設の多くが陳腐化し、客足は途絶え、また維持費もかさみ夕張市の財政を苦しめてきた。頑張ってテレビCMも流しまくるのだが「バリバリ夕張」とか言いながら税金をバリバリ垂れ流す結果となった。

2006年に財政再建団体に転落後「石炭の歴史村」は閉鎖を予定していたのだが、産業遺産としての価値が高い博物館をみすみす閉鎖させるのは惜しいと支援の手が挙がり、現在は指定管理者制度で受託した加森観光グループの夕張リゾート株式会社が施設の殆どを運営している。

施設の奥へ車を進めていくと途中で「石炭燃焼体験」と看板が掲げられた場所があった。遊園地が現役だった頃にミニSLの駅があった所がそのまま流用されている。体験プログラムは要予約制になっているので、我々はスルーして先へ進む。

ようやく車を止めて外に出てくると目の前には「炭鉱生活館」と書いて「やまのせいかつかん」と読む施設が入っているレトロチックな洋館が現れる。かつて北炭が建設した鉱滓煉瓦造りの夕張工業高校校舎の外観を模しているとの事で、元から残っている建物ではないようだ。さすがに駐車場には数台ほどの客の車が止まっていてある程度の来客がある事を匂わせている。

その左隣には「ゆうばり化石のいろいろ展示館」。のっけからチープなノリだが元はゲームセンターだったそうだ。夕張では石炭も採れたが化石も採れるらしい。

そしてまたしても夕張夫妻の顔ハメ看板が…

どこから入場しようかと迷っていたら職員がやってきて「先に石炭博物館に行って入館券を買うと残りの2つの博物館も入館できる」旨の説明を受けた。単館でも入場できるが高くついて損という事になるようだ。しかし以前は単館入場が不能で市内全域の施設を1日出入り自由になる「ぐるっとパス(3150円)」のみでしか入場出来ず非常に不評を買っていた。さすがにチケットの売り方を改善したらしい。

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