山肌の段々畑に置かれたのは容赦なく連なるあまたもの石仏群。中国山東省の石材業者と社長が個人的に手を結び五百羅漢ならぬ「八百羅漢」を完成させ日本に持ち帰ったのだ。これは日本の低俗テレビ番組によくありがちなひな壇タレントの並ぶ風景ではない。
大沢野町の山の斜面に鎮座する、中国より送られし石仏群は皆それぞれに個性を持ったキャラクターで訪れた者達を和ませる。じっとこちらを見つめる石仏、頭の上に頭があるよく分からない石仏…
意味深な表情で小指を立てつつ滝川クリステルばりに斜めな角度でこちらを見つめるオカマ風石仏。
お猿さんと戯れる動物愛護家な石仏。
こちらに酒を注げと催促しているようにも見える顔のイカツイ石仏。その奥には今にもカラオケでも歌い出しそうなノリノリ石仏。
なぜか両手に生首を持つスプラッターな石仏。このへんになってくるといよいよセンスが意味不明になってくる。
そしておもむろにカメラ目線でピースサインを決めるお茶目な石仏…とまあ五百羅漢な方々を見物しているだけでも骨が折れそうになる。
全ての石仏が殆ど実際の人間とほぼ同じ大きさをしているので、それが500体並ぶというのはいかに異常な事態なのか、現場を訪れなければこの臨場感はお伝えしきれない。
段々畑の上へ上へ見ていくとまだまだ石仏が置かれている。さすがに800体も置けないので、仕方なく2ヶ所にバラしたらしい。
これらは全て城南会の古河睦雄会長の完全な個人プレイにより作られた世界な訳だが、これだけのものを作り上げようとしたのは氏の強烈な中国の「石文化」、とりわけ彫刻作家・盧進橋氏への傾倒があったからだという。実はこの石仏の森・石像の里にあるものは、全て盧進橋氏が製作したものらしい。
古河氏自身はこの大沢野町の土地には何のゆかりもなかったのだが、たまたまこの神通川第二ダムに面した風景が「中国の景色にソックリだから」という理由だけでこの付近の土地をドーンを買ってしまったというのだ。
…で、石仏の森から少し車を走らせて奥に入っていった所にもう一つ「ふれあい石像の里」が存在する。ここは八百羅漢の残り300体に加え、社長のリアルな人脈が浮き彫りになった人物像がこれでもかと展示されているマジキチな場所である。
まだまだ社長の道楽ワールドは続く…