琉球王国時代から続く沖縄県唯一の伝統的遊郭「那覇市辻」を歩く

那覇市

那覇市辻は、琉球王国時代から420年続いていた沖縄県唯一の「遊郭」が存在していた街。そして今も沖縄県唯一の特殊なお風呂屋さんの営業許可区域指定されている、現役の色街である。


日も暮れた頃にタクシーに乗って辻で降ろしてもらった。目の前にはのっけから無料案内所がある。那覇の市街地の外れ、街灯もまばらな闇夜の街で煌々と灯りを照らすのはこのような怪しげな案内所ばかり。観光客大歓迎だそうです。沖縄観光の裏名所ですね。

…っていうか風俗案内所がフツーのスーパーの建物と同居しているというこのアバウトさ。もともとは老舗のステーキハウスが入っていたらしい。深夜営業の辻スーパーには近所の買い物客が訪れる。

そんな色街に遊びに訪れる男どもを相手しているような飲食店もそれなりに多く、夜遅くまで店が開いている。スーパーもあればステーキ屋も居酒屋もあって、辻の中心地は夜でもそれなりに賑やかな感じだ。

沖縄県内には約40店舗程の特殊なお風呂屋が存在しているが、その殆どがこの那覇市辻の一角に密集している。規模はかなりでかい。それだけに案内所の数も多いのだ。

…夜ともなると普通に歩き回るだけでも結構アレな雰囲気となるのだが、辻には普通の住宅街も同居していたりするので、別に男以外が入って来づらいという訳でもない。

なお辻には特殊浴場だけではなくステーキ専門店がやたら多い。これも米軍統治時代の名残りで、戦後に米軍から許可を得てアメリカ人相手に商売(Aサイン)していたステーキ店が何軒も固まっていて、それが今でも残っているのだ。沖縄らしい風土である。

スーパーを過ぎた先の路地からはいよいよ怪しげな店が連なるコアなゾーンに突入となる。普通のマンションの1階部分に店舗を構えているなど、一軒一軒の規模はそれほど大きくない店も多い。

店の多さの割にはそれほど客引きボーイの姿も見かけないので、店の前を通ってもそれほど気恥ずかしい感じはしない。これが東京の吉原とかだと物凄いが、辻ではあまり客引きはしない方針なのだろうか。

夜は怪しい店のネオンサインばかりが目立っている訳だが、何もそういう店が100%という訳でもなく普通の飲食店やアパート、公営住宅まで建っているというチャンプルーな土地柄。風紀が乱れるとか教育環境がどうとかうるさい住民があまり居ないようだ。

暗い路地に時折通りがかる客の車のライトが眩しい。やはり沖縄という土地柄だろうか、南国的ノリそのまんまで玄関が開けっ放しになった店が多い。夏はともかく一年中アツい仕事ですからねえ。ええ、ええ。

店の名前とデザインもいちいち個性的。波の上総合病院。間違えて病気の時に駆けこんでしまいそうだな。下の病気しか直してもらえませんが。

遠目から辻の街並みを眺めると実に怪しさ満点。さすが沖縄ナンバーワンの特殊地域としての風格がある。

ちなみに辻の外れの方にひと際でかい敷地にそびえる「料亭那覇」の建物がある。

辻遊郭の名残りを留めるかのようにこの土地に建っているが、辻一帯は空襲で焼けているので、戦後に建てられた料亭という事になる。さすがに花街の名残りらしく伝統的な琉球料理や琉球舞踊が楽しめるそうな。

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