美濃焼生産地・多治見市広小路「西ヶ原遊郭」の痕跡を求めて (全3ページ)

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岐阜県と一言で言えども岐阜市周辺と西濃・中濃・東濃・飛騨と随分地域が広大で生活圏も文化圏も全然違う訳だが、とりわけ東濃と呼ばれる地域は名古屋から中央線で行く時点で岐阜市とは生活圏も別で、奈良時代の昔から美濃焼の生産地として今も窯業が盛んでもある。

中央線に乗って高蔵寺から先の定光寺や古虎渓といった廃墟マニア垂涎の秘境駅が続き、愛岐トンネル群を抜けるとその先にあるのが東濃の中心都市である多治見市。この辺はまだまだ名古屋のベッドタウン的趣きが強い訳だが、この多治見の中心市街地にある広小路界隈の街並みが恐ろしく昭和で廃テンションというので見にやって来た。

JR多治見駅から南東に徒歩10分程、土岐川(庄内川上流)を渡った先に多治見の旧市街地の繁華街である広小路がある。もうのっけからこの昭和丸出しのアーチ看板だし。

近くには市役所などもあって確かに街の中心と思われるのだが東海地方ならではの車社会のせいでめっきり寂れた老人街と化している。全体的なくたびれ具合も物凄い商店街なのだが、この広小路通りは昔「遊郭通り」とも呼ばれていたらしい。

広小路通りに面してまたしても昭和の佇まいが残るアーケード街「多治見銀座商店街」の入口がある。岐阜県東濃地域でアーケード街はこの一ヶ所だけである。例に漏れず寂れっぱなしなんですが…

多治見銀座は東京五輪のあった昭和39(1964)年には既にアーケードが完成していたという程の商店街である。東濃を代表する大都会だった訳だがそのまま何も変わらずに時が流れてしまったかのような佇まい。珍しく玩具屋とかが現役で開いている。

オールドスタイルな街の洋品店。多分客層は爺さん婆さんが中心である。取材中急な通り雨に見舞われたのだが、アーケード街に雨宿りに来る客もやはり老人しか居なかった。

他にも妙にそそられるレトロな純喫茶などもあるにはあるが、アーケード街はすぐに終わってしまう。ものの100メートル少ししかない短い「銀ブラ」でした。しょうがないので広小路通りに戻ることにする。

昔は盛り場だっただけにそれなりにスナック店舗らしきものも残るが一様に廃墟化してしまい放置プレイである。「スナックイーグル」って、よっぽどゴルフ好きだったんでしょうかここのマスター。東濃ならゴルフ場も割と近場に多いしね。

既に廃業した街の看板屋さんの店舗。「あらゆるカンバン」の看板の古めかしい事と言ったら…しかし足元を見ると完全に政党ポスターの縄張りと化してしまってる訳だが…うん、共産党と幸福実現党か。

そしてレトロな佇まいもそのままに潰れてしまったままの銭湯の建物までもが広小路通り沿いに見られるのだ。「衛生湯」という何だか塩素臭そうな名前の銭湯跡。かなりの老舗で明治13(1880)年開業、現在の建物は昭和26(1951)年築。しかし2005年に廃業してしまったそうだ。

旧衛生湯の玄関口。地場産業の窯元もまた力仕事で糞熱い中働くような肉体労働な訳でかつて銭湯はこの多治見の街にも十軒以上がひしめいていたそうだ。現在は旧来型の銭湯はことごとく廃業していて郊外型のスーパー銭湯しか残っていない。そう言えば多治見と言えば埼玉の熊谷と争う「日本一熱い街」だった。街歩きの後にサッと入れるような昔ながらの銭湯がないのはちょっと悲しいやね。

旧衛生湯の横から伸びる細い路地裏に足を踏み入れると古い生活空間が色濃く残る一画があった。なんか物凄い場所に洗濯物が干してありますな…

広小路二丁目のバス停前には潰れたパン屋、その隣からはうなぎの蒲焼きの香ばしい匂いがプンプン漂ってくる。窯元の労働者の精をつける為にと昔からうなぎ屋が非常に多い土地柄。隣の愛知県瀬戸市もそうなんですけどね。

かつては隣の瀬戸市と同じく地場産業である窯業で栄えていた事もあるが、東濃随一の主要都市の盛り場として県都岐阜の柳ヶ瀬に負けじと広小路に遊郭が置かれていた。戦後の売防法施行時まであった西ヶ原遊郭は広小路二丁目の南、新羅神社北側に位置していたそうだ。

遊郭跡ももちろん見る事として周囲の商店街もかなりアレな佇まいなので先に一周ぐるっと回ってからにしましょうかね。広小路通りを多治見市役所方面に歩いて行くと右手に一際立派な店構えの料亭が現れる。明治時代からの老舗で東濃屈指の格式を誇る料亭「川地家」の建物だ。吉田茂元首相やら作家の松本清張やら著名人も訪れた程の場所らしいですよ。

現在は多少リニューアルされて小奇麗な玄関を持つ佇まいに変わっている。料亭ではなく結婚式場になってるらしい。保守的で見栄っ張りな名古屋圏の方々は結婚式にも金を掛けますからなあ。さぞかし繁盛されているのでしょう。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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