「セメント町」という地名のある町・大分県津久見市を歩く 

大分県

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駅からどんどんセメント町の方へ歩いて行くと商店街の看板に「セメント町通り」というのが現れた。こうしてはっきり街中に記されると結構インパクトありますな。普段生きていてセメントという言葉に接する機会なんてドラム缶入り死体が出てきたとニュースに報道された時くらいしかないもんな。ここでは日常の中に「セメント」がある街なのだ。

しかも単なる地元の通称という訳ではなく津久見市の住居表示として正式に「セメント町」という地名として残されている。「セメント」が付いた地名は津久見の他は山口県山陽小野田市セメント町しか存在しない。なお川崎市臨海部のコリアタウンにもセメント通りというのがあるがあれはただの通称だ。

んで、津久見のセメント町には何があるかというと…商店街だ。その名も「セメント町商店街」。もっともらしく「お買物はセメント町商店街」とアピールしている横断幕まであるし、何だかシュールだ。

駅前から凄い寂れっぷりだったがセメント町の商店街も言うまでもない状況だ。のっけから空き店舗が放置プレイである。

隣の果物屋は開いていたが、果物の他に「からあげ」もやっているらしい。肉屋じゃなくて果物屋が唐揚げとは珍しく思える組み合わせだが、大分県は唐揚げととり天に代表される鶏肉食王国であり鶏肉消費量全国一の土地柄。まあ有名なのは中津ですが。

商店街が立ち並ぶ国道沿いにはセメント工場「日豊オノダ」の正面ゲートもあり、工場と街が隣り合っている津久見ならではの光景が拝められる。

ここのセメント工場もわざわざ「オノダ」と社名に付いているくらいなので、ここもかつての小野田セメント株式会社の流れを汲む企業なのだろう。目の前のバス停まで「セメント町」表記である。

そしてセメント工場の真ん前が商店街の駐車場という住宅地と工業地帯の隣接ぶり。シムシティでこんな街を作ったら地価が最低ランクになってしまいそうだが。

国道から外れた路地に伸びる商店街の一部。昔からの八百屋が一軒開いている程度であり、買い物客の姿はない。うーん、淋しいねえ。

商店街の寂れ方も凄いがそれ以上に愕然としたのが商店街の裏側にあるオンボロ平屋建て長屋群である。建物の土台が非常に低い位置にあるのが見て取れる。

バラック建築を継ぎ接ぎしたと思しき住宅の勝手口、扉の天井がかなり低い位置にある。ここは戦後の貧しさをそのまま引きずっているのだろうか…

傍らに放置された物干し竿はすっかり錆び付いてしまいピンチハンガーまで錆色になってしまっている。何年放置すればこうなるのか知りたい。

見ての通りなかなか壮絶な住宅群である。空き家が多いが一部はまだ人が住んでいるようで道端に軽自動車が路駐してある。

そんなセメント町商店街のすぐ北側を流れる青江川に歩行者用の鉄橋が架けられている。生活道路として使われているのだろうが、通りがかる住民の姿は無かった。

津久見湾に注ぐ青江川の上からセメント工場を眺める。工場は現在も稼働し続けているが昔はこの辺りもさぞかし活気ががあったのだろう。

胡麻柄山などから取れる石灰石を原料とする太平洋セメント津久見工場から生産されるセメント製品は国内総輸出量の4割を占めているという。まさしくセメントの街と呼べるに相応しい街だ。今回は石灰鉱山とかを見る暇が無かったので、また次の機会にゆっくり見て行きたいもんです。

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