【人道の町】杉原千畝に代わる八百津町の新・裏観光名所!日本一高い「新旅足橋」が怖すぎる件

岐阜県
消さないで 尊い命と 夢ある未来

「日本のシンドラー」こと杉原千畝を生んだ町として観光アピールをしまくっていたものの、出生地を巡る疑惑で揺れに揺れている岐阜県加茂郡八百津町。杉原千畝記念館がある「人道の丘公園」からさらに国道418号を登っていった先に、もうひとつこの町が誇る土木遺産、いや、“自殺の名所”扱いされている、とんでもない橋が存在する。

新旅足橋

それが2010年に供用開始された「新旅足橋」(しんたびそこばし)という全長462メートルの橋。この橋がある国道418号線は、現在建設中の「新丸山ダム」に伴い作られたものであるが、山の斜面にぶっ刺さる両サイドの橋脚の高さはそれぞれ94メートルと101メートル、橋の上からはるか眼下を流れる旅足川までの高さはなんと200メートルもある。全国各地に土木技術の粋を集めた橋梁が存在する中、「日本一高い橋」の称号を与えるとするなら、この新旅足橋を置いて他にない。

激高過ぎる橋脚

だが、そんな“高すぎる”橋がもたらしたのはプラスの効果ばかりではない。「自殺の名所」として一部に知られるようになってしまったのだ。2009年の橋開通以前から自殺者が現れ始め、現在も年間数人は飛び降り自殺案件がある。おまけに2018年5月には橋の上にわざと靴を置いて自殺者がいたように装うなどした地元八百津町の53歳のバス運転手が偽計業務妨害罪で警察に逮捕される“珍事”まで起きる始末である。

橋の下はこんな感じです

ご丁寧に橋の手前に駐車スペースもあり、橋には歩行者通路まで整備されちゃっているので、ためしに橋の真ん中まで歩いて、飛び降り防止用のフェンスの隙間から眼下の川を覗き込むと、なんだか人間の本来あるはずの感覚がふらふらと抜けてしまうような、危険な高さである事が分かる。高所恐怖症の人間はこの時点でダメだ。200メートルって、言うなれば名古屋駅のセントラルタワーズに近い超高層ビルの高さである。落ちれば即死は免れない。その場に立ち尽くすと確かに「吸い込まれる感じ」がして、ガチでヤバイ。

自殺者がその気になれば乗り越えそうな防護柵

しかしこの地方で飛び降り自殺が有名な橋と言えば、一昔前であれば土岐市駄知町の「稚児岩大橋」や瑞浪市の「小里城大橋」があったはずだが、どちらも随分前に簡単に飛び降り自殺ができないよう、もっともっと高いフェンスが設けられていた記憶がある。新旅足橋は最近防犯カメラで自殺者の防止に努めているようだが、まだ物理的な防衛策が不十分のように思える。どこで監視しているのかは知らないが、もし防犯カメラで発見しても、ここに辿り着く前には既に崖の下で肉の塊になっているだけだろう。

国道418号バイパスです

この新旅足橋が供用されたことで一番の利益を被っているのが、その先にある潮南地区の集落の住民たちである。同じ八百津町にありながら周囲から隔絶された山中にある「秘境」といっても構わない地域だ。この橋を通れば、潮南地区と八百津町の中心部がこれまで大回りして片道40分掛かっていたものが15分で済むようになったとか。もっとも潮南住民は商業施設の乏しい八百津よりも隣接する恵那市中野方地区(棚田で有名)に抜けて恵那市街に出た方が買い物の便が良いので、この橋ができてそれほど有難そうにも思えないんですがね。そもそも可児・美濃加茂から恵那方面への「次月峠越え」(国道21・19号)の代替ルートにもならず、大してドライバーの役に立っているとも思えない。

ところでこの国道418号自体も、将来新丸山ダムの底に沈む予定となる“旧道”の方が「酷道マニア」には超一級の知名度を誇る存在で、特に八百津町と恵那市の間の木曽川沿いを走る区間はろくに舗装もされておらず、所々路面の崩壊が見られるなどしており実質クルマで行き来する事はできない。自家用車やオフロードバイクで果敢に走破する酷道マニアの動画がyoutubeで見られるくらいだ。

この旧道沿いと言えば昭和30年代までに景勝地として栄えていたとされる「深沢峡」が木曽川沿いにあり、五月橋という古い鉄橋と「いさまつ」という崖っぷちに建つ崩壊寸前のお茶屋の廃墟もその手のマニアにはよく知られている。瑞浪市衛生センター側から獣道を下ればギリギリ行けるようだが、素人にはおすすめできない。


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