広大な北の大地、北海道の中でも人口の3分の1が集中している巨大都市が札幌市だ。ひとまず北海道に出てきたら何も考えずに札幌に向かう訳だが新千歳空港から札幌駅までがやたら遠くてびっくらこいた。さすがは北海道はでっかいどうというだけの事がある。
そんな札幌市の中心地は札幌駅から大通、すすきの付近の一帯になっている。我々と同じく何も考えずにここまでやってくるが札幌自体観光的に目ぼしいものがそれほどある訳でもなく、観光客は時計台の想像以上のしょぼさにガッカリしつつ大通、すすきの辺りをぶらぶらしたりラーメン横丁とかで食ってたりする事になる。そんな流れで何気なく通り掛かるのが、札幌を代表するアーケード街「狸小路商店街」である。
この狸小路商店街は大通とすすきのの間、札幌市中央区南2条西1丁目から7丁目まで1キロ近いアーケード街が東西にズラーっと走っているのだが、とりわけ札幌駅前通を中心とした3丁目と4丁目付近は日夜を通して人並みが絶えない北海道最強の繁華街っぷりを見せている。一見すれば分かるが観光臭は皆無、ひたすら札幌市民の溜まり場となっている。
言うなればこの狸小路こそが札幌市民のシンボル的存在であり札幌市とはどのような都市なのかというスタンダードモデルとも言える。そういう事を考えながら商店街を歩き出したらのっけからパチンコ屋が現れた。それも1円パチンコ。
まずは札幌駅前通から東側に抜けて狸小路3、2、1丁目の順番で見ていこうと思う。2丁目と1丁目はそれほど毒々しさはない。見た目には至って普通の商店街といった所だ。
しかし笑っちゃうのが商店街に堂々とエロDVDがワゴン売りされていたりする事だ。ご丁寧にPOPにまで「アダルトDVD」と書かれている。札幌ではこれがごく普通の光景なんだろうか。300円、400円、500円と価格が違うのは女優の質か?
その隣には何やら怪しげな健康食品も同じくワゴン売りされている。電飾つきで無駄にギラギラ感の増したワゴンとドンキホーテ顔負けの下品なPOPが哀愁を誘う。テレビ脳御用達。
しかもドサクサ紛れに精力剤まで売っているという露骨っぷり。隣でDVDを買ったらこちらもお試しあれって感じでしょうか。冬場は寒くてしょうがない北の大地特有の事情かも知れんが娯楽はもっぱらソッチ方面が多いようでございます。体も温まるしね。
駐輪禁止の注意書きもどこか執念じみていて怖い。文字がリフレインしておりますよ。札幌市街地はひたすら平地なので自転車利用者はかなり多い。但し冬場は除く。
そんな展開の中で映画館を見かけるとピンクシネマか?と脊髄反射してしまいそうになる。しかも上映されてる映画のポスターに「阿部定」ってでかでかと書いてるし余計に反応するだろ。ここはマリオンシネマという普通のミニシアター。以前は別の場所にあった札幌マリオン劇場が移転して小さくなりながらも札幌市中心部で細々と頑張っておられるようだ。
北海道を訪問したのが夏場だったので商店街も夏モードになっている訳だが、この立派なアーケード街がある事で札幌市民は冬場の雪や雨の日も気にせずお買い物が出来るという訳だ。その割に札幌市内でまともなアーケード街が狸小路しかないという罠。
そもそもなんで狸小路という場末の居酒屋横丁みたいな胡散臭げな名前がついているのかというと、それはこの商店街が成立した明治期に、札幌の官庁街と薄野遊郭の間に挟まれたこの土地に、沢山の客引きや街娼が夜な夜な狸の如く出没していた様子から取られたという説がある。札幌を代表する商店街なのに由来からして物凄いなオイ。
そんな狸小路も東端の1丁目までやってくると大人しい雰囲気に変わる。それはいいが質屋の店先に熊の剥製があったりする所がさすが北海道らしい。
商店街の終端は土着臭の濃密な古い仏壇屋。巨大な店の看板が物々しい。
アーケード街を抜けるとその先はいきなりガラっと観光スポット的な空間に変わり、札幌テレビ塔やら二条市場といった施設と、オサレなオープンカフェと化した創成川通となる。
参考ページ
狸小路ソング(昭和前期~後期の画像つき)