加賀藩祖前田利家公を祀る尾山神社の鳥居を挟んだ両側に、やけに意味深なバラック酒場が立ち並ぶ異様な一画がある。そこは何の為に作られた飲食店街なのだろうか、その経緯もよく分からないままDEEPアンテナに引き寄せられるように路地になだれ込む。
尾山神社の鳥居を潜らずに脇道に入るとそこから謎の飲食店街が始まっている。見た感じ普通の居酒屋やスナックも入っているので如何わしい雰囲気はそれほど感じさせないが建物がとにかく古い。戦後のドサクサか?
神社境内を隔てる崖下の角には小さな祠が置かれている。飲食店街の関係者が置いたものだろうか。
神社の横から伸びる細い路地裏の前に立つと、どこかしら戦後の赤線の名残りではないだろうかと疑るような光景が見える。統一性のないバラック建築、見るからに何年も放置されたままの廃店舗…これが前田利家公を祀る神社のすぐ隣にある光景だとは。雪に塗れた路地裏に足を踏み入れる。
レトロな外観の元スナックと思しき民家。赤いポストが置かれているのが見えるように、まだ一応人が住んでいるらしい。
毒々しい緑色のペンキに彩られたスナックの玄関。既に店の名前もなく営業しているようには見えない。
容赦なく降り積もる雪が周囲の雑音をかき消し、気味が悪いくらい静かな路地だ。尾山神社への参拝客を当て込んで作られた飲食店街なのかも知れないが、路地の奥に入るに連れて感じるダークなエキスがたまらない。
この民家なんてモロにカフェー建築の特徴が見られる。真っ赤な窓の装飾、2階部分の控えめな小窓。
やはり普通の住居として現役な所が多く完全な廃墟という訳ではないようだ。しかしただでさえ細い路地が雪で埋もれてしまっているので通りづらい事この上ない。北陸の冬は長靴と傘が必需品。
T字路を挟んで向こう側にもう1ブロック、怪しげなバラック酒場が連なっている。相変わらずオンボロ家屋率の高さは特筆に価する。
場末感全開の小料理屋の看板が並ぶ路地裏。こちらは北陸の小京都の裏の顔。
2階部分が路地の表に張り出したモルタル壁の家屋も目立つ。古い飲食街ではよく見かけるタイプの建物だ。赤線跡臭さを演出する重要な要素の一つではあるが…
レトロを通り越してお化け屋敷の入口みたいになっちゃってる元スナックの玄関。住民個人の名前が小さく扉に張ってある。商売をやめて普通の家になった所が多いようだ。