漆黒の激臭風呂で有名なカルト温泉「越後の里親鸞聖人総合会館西方の湯」 

<2ページ目を読む

一階の受付からオバチャンに案内された通り正面に続く廊下をずんずん進むとT字路にぶち当たる。その手前から何故か脱衣室にあるはずのロッカーが一列に並んでいる。日本一臭い温泉を前に逸る気持ちはわからないでもないが、まだここで脱いではいけません。

右側が男湯、左側が女湯で別々になります。残念ながら混浴ではありません。ネット上にある入浴体験記では女湯に入っているとオーナーの爺さんが勝手に入ってきて湯加減を聞いてくるとかいう話もあるのだが、男湯にしか入っていないのでそのへんの事は何とも言えない。

さてと温泉に入るか…と思ったが一階の通路はロの字型に連なっていてさっきのロビーに戻れるようになっていた。こっち側はガラス戸で仕切られた部屋がいくつも並んでいるのが見られる。さほど雑然としていない。

しかし部屋の一つ一つはやはり使われている形跡はなくひたすら物置と化しているのだった。日本人形が入ったケースとか焼肉コンロつき座卓とかが積まれていた。

休憩室と思って入ったらなんと食堂コーナーだった。反対側の居酒屋コーナーと同じように厨房設備とカウンターがあり畳敷きになった向かい側に座卓が並んだままになっていた。

この食堂コーナーは食券制になっていたらしくこのような自販機が置かれていた。うどん、そば、ラーメン、牛丼、カレー、唐揚げや焼き鳥などが一通り食えたらしい。しかし今では食べ物の匂いすらせず…侘しすぎるだろ…

壁に吊るされたままになっていたカレンダーは2005年のものだった。その頃までは「生きていた」のかも知れない。

廊下の一部は電灯も消されたまま。薄暗い廊下の壁には親鸞聖人にまつわると思しき絵が入った額縁がずらりと並ぶ。

同じく資材が廊下の片隅に積まれた一画。「若菜」とか「葵」とか書かれているのは遊女の源氏名…じゃなくて個室の名前か何かだろうか。何度も言うが我々は廃墟探検に来た訳ではない。

随分寄り道してしまったが我々が試したかったのはこの温泉が本当に「日本一臭い」かどうかを身を持って体験する事だ。事前情報によると「500円で大浴場を独占できる」ほど他に客が来ない場所だと聞いていたはずだが浴室内には既に先客が一名。せっかくなので浴室内の写真が欲しかったが気持ち良さそうに居座っていたので、諦めた。

で、肝心要の温泉なのだが「ちょっと臭う程度でどうってことのない薄茶色に濁った湯」といった感じで噂に聞いた程ヤバイ訳でもなかった。その事についてだがどうも最近になって「源泉が変わった」らしい。なんだそりゃ。ガッカリだな。

以前はヨード分を多量に含んだ真っ黒の温泉で、それが「うんこ臭い」「日本一臭い」「一旦入ったら何日も匂いが取れない」と言われていた評判のものだった。こう見えても探偵ナイトスクープでも紹介されていたらしく結構有名な温泉だったのだが。

ちなみに元々あった黒湯は湧出される湯の殆どがヨードを採取する目的で他の会社が買い上げている為に西方の湯はその利益だけで食っていけるらしく温泉施設がガラガラでテキトーでも経営破綻する事はないそうである。淋しげな親鸞聖人像も当分はこの土地に立っていられそうだ。

なぜ温泉施設の源泉が切り替えられたかそこだけは不満要素なのだが、しょうがないので気晴らしにシンガーソングライター・バクザン氏が当施設を舞台に繰り広げる謎のテーマソング『西方の湯』を聴きながらお別れにしましょう。ぜひ黒湯復活を望む!


The following two tabs change content below.
新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
トップへ戻る
Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.