長崎思案橋のスナック街は春雨通りと銅座川の両側、それに旧丸山遊郭に挟まれたデルタ地帯に密集している。土地勘が無ければ道に迷うこと請け合い。長崎の路地裏は手強いのである。
旧丸山遊郭入口付近の福砂屋本店前の角から思案橋横丁の裏手に続く路地裏横丁「柳小路通り」。その名の通り入口にはいかにも元遊郭ですと言わんばかりの大きな柳の木が立っている。
柳の木の下にはご丁寧に長崎さるく案内板が置かれている。このへんは山の口と呼ばれていて遊女屋が廃止される明治初期までは二重門があったと。遊女御用達の足袋屋があったと。しかし丸山遊郭の別名が「山」って…東京の某ドヤ街みたいな呼び方だな。
そんな柳小路通りに入る。柳の木は入口にあっただけで後は古ぼけたスナックが密集する路地になっている。先斗町とか祇園のような華やかさを期待してはならない。だって戦後のドサクサゾーンだもの。
柳小路通りの路地は微妙にカーブを描きながら思案橋横丁やその横の胡散臭い風俗店が立ち並ぶ一画に繋がっている。日が暮れると街灯とスナックの看板が灯りだし何とも言えない物悲しい風情を誘う。
柳小路通りから歩くとそのうちこんな感じのY字路に出てくる。頭上では電線やら電話線やら何やらが複雑な線を描いていて相変わらずカオスな光景が続く。
片側は普通のスナックビル、もう片側は廃墟化した古いスナックの建物。歪な土地の使われ方は戦後のドサクサゾーンならではの光景。
そして野良猫に餌をやる人間と迷惑を被る人間との争いもまた路地裏ならではの日常風景。そうじする人の身にもなれ。
確かにこのへん、やたら野良猫が繁殖しまくっていてあちこちニャーニャー言っておりました。
Y字路をさらに道なりに進むと作りかけで放置された鉄筋ビルが路地裏にそびえる異様な佇まいが見られる。土地関係が超ややこしそうです。長崎って有名な観光地だけど市長が2回も銃撃されるような土地ですからね(2007年の事件では当時の市長が死亡している)。
本当にここ通っていいの?と思うような路地があちこちに枝分かれしている。単に柳小路通りから思案橋横丁に通じている裏道だが、見た目にはちょっと遠慮したくなる。
この道を行けばどうなるものか、迷わず行けよ。行けばわかるさ。頭の中に響くアントニオ猪木の声。
思案橋横丁と逆方向に入ると途端に客引きボーイだらけの如何わしい路地に出てくる。なんだここは…
昼間に出直して路地の様子を確かめにくるとこんな感じになってる。そっち系の専門店街というオチでもないし…そもそも長崎県では条例でその手の店の営業は認められていない。
しかしこの場所にひしめく店の数々は随分怪しい度数が高い気がしますよ。24時間営業のスーパーエステってどんなエステですか。オニイサンマッサージキモチイイアルヨってやつか。
その割には「貸店舗」の看板だらけで微妙な佇まいだなあという印象が強い。「鎖国」してきたんだものしょうがないか。
すんごく分かりにくい場所にそれっぽい店をようやく見つけた。長崎アロハ。いきなりハワイまで飛んでしまいましたよ。
ちなみに「アロハ」の前のビルの下は通り抜け可能。「ぬけられます」の看板くらい欲しいよな。
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