沖縄の離島「久米島」 (1) 島内一周コース

日本DEEP案内取材班、初の本格的な沖縄取材のために現地にやってきたのだが、日程の最後に無理矢理久米島行きの予定を入れてしまった。那覇の泊埠頭、通称「とまりん」から1日2便の久米商船のフェリーに揺られて、約4時間。(渡名喜島を経由しない場合は約3時間20分)
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一眠りしているうちに我々は沖縄本島から約100キロ西の海上に浮かぶ久米島の兼城港に居た。久米島と言えば泡盛「久米島の久米仙」が非常に有名で、コメ島が訛って久米島となったとまで言われる米どころの島。イーフビーチ、はての浜といった砂浜が観光資源で、主に夏場には観光客で賑わうが、我々は春先のシーズンオフの時期に訪れた。


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漠然とフェリーで兼城港まで来たのはいいがその先の事は全く考えておらず、島内一周はレンタカー必須だという事を知り慌ててレンタカー屋に電話して車を手配した。
午後5時着の2便で来た我々にはゆっくり観光する時間もなく、まずは兼城港から時計回りに島を周回してみる事にした。港から少し走ると久米島最大の集落である具志川地区の大田、仲泊、鳥島付近は市街化していて、商店街の様相を呈している。
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島内の自治体合併で誕生した久米島町の具志川庁舎を過ぎた辺りに国の重要文化財指定を受けた沖縄最古の民家・上江洲家住宅がある。琉球王朝時代の士族の家で、1754年(つまり250年も前)に建てられたものが未だに残っている。隙間なくみっちり積み上げられた石垣が並ぶ玄関周りは南米のインカ帝国の古代遺跡を彷彿とさせる。
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館内見学は有料(300円)で18時までしか開いていないのでギリギリ間に合った感じである。本島の観光地化されすぎたいかにもな琉球民家とはかなり違う。屋根上にまずシーサーがいないのね。管理人に聞いた所「風水に基づいて建てられたので、守り神であるシーサーの類は無い」とのこと。
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上江洲家住宅の後はさらに島を一回り。沖縄でも珍しい鳥居が構える建物があった。日本本土と同じ神道の神社かと思ったら違った。君南風殿内(チンペードゥンチ)と呼ばれる琉球王朝時代から続く由緒ある拝所なのだ。町指定文化財でもある。
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さらに島内の名所を矢継ぎ早に巡る。「おばけ坂」というのは目の錯覚で下り坂に見える登り坂。ふーん、といった感じで次へ。
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島の北側に出ると、15世紀頃に久米島を統治していた真達勃按司が築城したとされる具志川城址(糸満市にも同名のものがあるが別物)。プチマチュピチュといった感じの場所だ。
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具志川城址の建つ高台を降りた海岸沿いには女性のシンボルと取られ、古くから安産祈願の場とされたミーフガー(女岩)と呼ばれる岩がある。近くにあるガラサー岩が男性のシンボルで、対になっているそうだ。
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漫湖公園にわざわざ行く程物好きであれば女岩の股ぐらまで行ってみたくなるのも山々だが、足元が鋭利な岩だらけでゴミの漂流も酷く、近づくには危険だ。波しぶきも掛かるし、下から覗くには楽ではない。
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目と鼻の先には荒々しく波しぶきを挙げる東シナ海が迫る。自然の脅威の前では人間など無力なものだ。同じ海がついこの間の大地震で津波となって、一度に2万人近く人を攫ったのだ。
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日が暮れそうになって、最後に抜群の眺望が拝める比屋定バンタの展望台から海を眺める。何だか物凄い場所に来てしまった印象だ。他にも車海老の養殖とか久米仙の泡盛工場見学とか色々見所があるが、一泊二日で無理矢理来ただけなので、今回は端折る。
飛行機便の比較的便利な石垣島や宮古島とは違って、久米島はそれほど観光地化が激しくない。そして身分証明のいらないフェリーで本土から渡ってこられる最も遠い日本の離島という事で、逃亡犯の市橋くんが潜伏に選んだ島だ。
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その他、久米島で見かけた離島ならではの事情あれこれ。島の各所にこのような警告看板が置かれている。アリモドキゾウムシが入り込むから本島からイモを持ち込んではいけないらしい。イモは分かるがウンチェーって何だと思ったら空芯菜の事らしい。
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かつての久米島では米の生産が盛んだったが、今ではサトウキビの栽培が盛んらしい。島を挙げてサトウキビの栽培を奨励している横断幕。「サトウキビで所得アップ!」と、随分ゲンキンな文言が書かれていて笑ってしまう。
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沖縄や鹿児島の離島は伝統的に貧しく、サトウキビの栽培で収入を得るよう島民に働きかけている。しかし実際にはサトウキビだけでは稼ぎが悪くとても生活出来ないので、一家の大黒柱が沖縄本島まで「出稼ぎ」してタクシー運転手をやっていた方が儲かるらしい。
那覇でたまたま拾った宮古島出身と言うタクシー運転手のオヤジがそう話していたのだ。沖縄の生活事情って独特過ぎる。

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