兼城港から車で5キロ程東に移動した辺りに、旧仲里村に属する久米島第二の市街地がある。完全に地元民向けの市街地となっている西側の旧具志川村域とは異なり、こちらはイーフビーチやはての浜といったリゾート的スポットを目当てにやってくる観光地向けの街である。
まだ肌寒さの残る春先に久米島の観光名所イーフビーチを訪れるも、酷い天候でせっかくのエメラルドグリーン色の浜辺もどこかしらくすんだ印象。もちろん我々は砂浜でバカンス(はぁと)みたいな甘ったるい事をしに来た訳ではないので別にどうでもいいのだが。
「日本の渚・百選」と書かれた仰々しく偉そげな石碑が浜辺に唐突に鎮座しているイーフビーチ。国土交通省が置いていったものだ。お役人はこういう意味のない石碑やモニュメントを置いてせっかくの景観をぶち壊すのが趣味なのか知らんが、イーフビーチは長さ2キロに渡って砂浜が続く、久米島で最も有名なビーチリゾートなのだ。
とは言っても海水浴シーズンでもない時期に訪れた訳で、生憎の天候も相まって付近の市街地には人っ子一人居ないよといった状態で何とも微妙な空気が漂っている。イーフビーチからすぐの車道沿いには観光客目当ての店舗があれこれ並んでいる。
飲食店が目立つ一方でリア充御用達なマリンスポーツショップがちらほら。しかし時期が時期なのでどの店も開いていない。
バカンスな客を当て込んだ居酒屋の数々もその多くが休業状態である。
さすがに離島という土地柄だけあるのかオンとオフの差が激しいようだ。フェリーで片道4時間も掛けて来る場所に、わざわざ市橋くんが潜伏したオーハ島が見たいと言って来るような変人も我々くらいしかいない。
もっともイーフビーチ付近には観光客向けな店ばかりではなく地元民がやけに集まる居酒屋も一部にはあるので、日が暮れた後にそっちに行く事にした。久米島では有名な「海坊主」。
全く洒落っ気のない土着的ムードの店内は島民達がこぞって酒盛り中、といった感じの店。それにしても若い奴らが多い。リゾートバイトって訳でもないだろうに。上質な海産物と沖縄料理を満喫出来る居酒屋だが、久米島の「島時間」だろうか料理が出てくるのがとんでもなく遅い。そのへんはなんくるないさーと笑うしかない。
久米仙と並んで有名な久米島の名産品、養殖車海老に舌鼓。注文してからこれが出てくるのに30分掛かりました。イライラしちゃったら負け。短気で気忙しい都会的な気質は久米島に着いた時点で海に流すべきなのだ。
今回の久米島訪問の目的地であるオーハ島は、久米島の東の外れにある奥武島のさらに東に浮かぶ島だ。さらにその沖には広大な砂州が5キロ余り続く「はての浜」があり、そのへんは観光客向けのチャーター船に乗って行く事になる。