石川県小松市と言えば建設機械メーカーの小松製作所のお膝元だったり航空自衛隊小松基地があったり、松井秀喜選手の地元(厳密には郊外の根上町)だったりハニベ巌窟院があったり、金沢以外はてんで存在感のない石川県の中でも比較的ネタ豊富なエリアだ。工業都市としての側面もあって知名度もそこそこある。
だがそんな小松市の中心市街地はというと…立派なアーケード商店街が駅前から十字に伸びている。アーケードが連なる中央通り、三日市、八日市の3つ、アーケードの無い駅前れんが通りの4商店街が内訳になっているのだが、終末的に寂れきっていてとにかく凄まじい。少しこの周辺を歩いてみることにした。
古い洋服店が一店舗だけ店を開けてはいるが、他の飲食店は軒並みシャッター通り。地方の現実として当たり前のようになった光景だが、ここまで来てしまうと正直厳しい。
中央通りと三日市商店街が交差する地点。角の店は全て閉店している。アーケードつきなのをいい事に、雪が積もった外の道路を避けてこの商店街の中をブッ飛ばす車が時折見かけられたりする。
時折細々と営業している個人経営の喫茶店がある程度で、商店街を歩く人の姿は殆ど見かけない。うーん寂しいぞ。
なんでも小松市中心部においてはこれまで小松製作所の創業の地だった駅東側の小松工場が2010年に閉鎖され、それが中心市街地の空洞化を決定付けたようだ。さらに駅前百貨店「大和小松店」の閉店も街に影を落とした。
昭和後期の最盛期と比べると今では店舗数も半分以下になったという商店街だが、ヘタな再開発も入らないのでレトロな佇まいの街並みは壊されずというのが、皮肉なものである。
現役営業中の数少ない街の電気屋さん。店構えが昭和スタイルそのまんまである。よく見ると電気屋に限らず室内リフォーム関係の仕事もやっているようだ。
小松駅側に向けてアーケード街を歩いて行く。これまたアナログな佇まいのレコードショップがそのまんまの外観で残されていた。当然シャッターが降りたままになっていたが。
「至高の芸術をあつめた<名曲><名盤>の店」とある。完全に懐メロ専門っぽい。一体何年前まで営業していたのだろうか。
これ以上進んでも何もなさそうなので一旦三日市商店街と交わる地点まで戻る事にする。
外は見ての通りの大雪。北陸の冬はいつも雪に閉ざされているが、この時期はたまたまドカ雪が酷く、福井県側では車が立ち往生したりと散々な日だった。雪国育ちかどうかって、こういう時に試されるよね。金沢からの遠出が難しいので、仕方なく小松辺りをうろついていた訳だ。
続いて三日市商店街に入る。こちらの方が道幅も広くなんとなく僅かに明るい印象がある。年季の入った店舗も多い。シャッター街だけど。
買い物客の姿は消えてはいるが、開いている店の数はこちらの方が多い。北陸はイオンに加えて近年は滋賀県の平和堂も攻勢を掛けていて日常の買い物はみんなそっちに流れてしまう。
寂れて詰んだ商店街には「チャレンジショップ」、よく見かける中心市街地再生の処方箋な訳ですが、この中だけ若い店員がやけに沢山暇そうに座っていました。
予想以上のドカ雪に襲われ金沢からのドライブルートの変更を迫られた挙句たどり着いたのは建設機械メーカー小松製作所のお膝元、企業城下町「小松」の中心市街地。
小松市中心部にある立派なアーケードなのにシャッター通りで人がさっぱり居ない寂れまくりの商店街「中央通り」を突っ切る。たいていどこの寂れた商店街にもパチンコ屋の一軒くらいあるものだが、それすらもない。
商店街の入口にもよく分からない空き店舗が放置されている。見た感じ比較的新しい建物だが…
アーケードを抜けた先の交差点の名前は「猫橋」。やけにそそられる名前であるが隣の本鍛冶町にある正雲寺が「神子の御坊」と呼ばれていたものが「猫の御坊」に転じ、それが地名の由来とされている。だいたい猫一匹居ないしここ。
商店街から道路を挟んだ向かいの通りには「猫の御坊」としっかり書かれていた。猫橋というくらいだから昔はここに橋が架かっていたものと思われるが、それもない。雪の降り方も激しいしあまり冒険はしないでおく。この天気だと猫はこたつで丸くなってるだろう。
目の前を走る道は県道4号。結構車通りは多いがこの雪のさなかである。加賀百万石、金沢という観光拠点を抱える北陸の勝ち組・石川県は雪道の融雪装置がしっかりしている所が多く車道の通行は問題ないが、これが福井県に入ると途端に融雪装置の設置状況が中途半端に変わるので、北陸三県の格差ってやっぱりあるもんだなあと。
道端を歩くと融雪装置から滲み出た水が溜まっているので足元がぐっしょぐしょになるし滑る。雪国育ちならどんなオシャレスイーツ女でも長靴装備がデフォ。
この先の道もだらだらと住宅街と古い店舗が入り交じった街並みが続くが、足が冷たいし面倒なのでひとまず引き返す。
今回小松市中心部で見ておきたかったのが商店街付近に加えて少し南西側に外れた清水町の一画だ。聞く所によると赤線跡らしい。中央通りと三日市商店街の交差点から清水町方面に抜ける道、T字路の突き当たりには小松グランドホテル。
だがそこから一本西側に細い路地が隠れている。スナックや居酒屋が密集する何とも雰囲気がよい夜の街といった風情だが全長50メートルくらいしかない。
猫橋の地名にあやかって「ネコ橋銀座」という名前がついていた。立派なアーチが横丁の入口に置かれている。猫一匹いませんけど。
トタン葺きの古い民家を改装した一品料理の店。屋根に沢山の雪を抱えている軒下から垂れるつららが結構でかい。雪国の街を歩く時には路地裏散策に気を取られて、屋根からの落雪をまともに被ってしまう恐れがある。要注意である。
大人びた感じの横丁になっているが昼間に来ても全くお店が開いてない。夜に出直すべきだと重々承知してはいるが、スケジュールの都合で無理だった。また次回だ。