北陸屈指の歓楽温泉街!「片山津温泉」の寂れっぷりをご覧下さい(2011年)

関西・東海圏からも高速道路で直結された石川県の加賀温泉郷は、気軽に訪ねる事のできる温泉地で、独特の日本海側の気候や文化が非日常感を盛り立ててくれる。当取材班もサラリーマン時代には幾度と無く会社の慰安旅行で連れて来られた事のある場所だ。

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そんな加賀温泉郷は裏風俗のメッカとして知る人ぞ知る場所だ。男社会の旧態依然な会社の慰安旅行にわざわざこの場所を選び訪れるのはこの土地が北陸屈指の「サラリーマンの慰安所」として長らく地位を築いてきたからだ。滋賀県の雄琴温泉にあるソープランド第一号店も石川県加賀市の山中温泉にあったトルコ風呂の経営者が開いた。

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箱からデリに需要がシフトしたり慰安旅行の客が少なくなるなどして加賀温泉郷のドピンクゾーンもかなり寂れてはいると言うが、今なお温泉地へ訪れる客に留まらず金沢や福井の市街地からも数多くの男どもが集まるそうだ。

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山代、山中、粟津、片山津、さらに福井県側の芦原温泉、どれも歴史と特徴のある温泉街が点在しているが、我々はそのうちの一つ、片山津温泉を訪れた。聞く所によると片山津温泉だけが他の温泉街に比べて突出していて店舗型の特殊なお風呂屋さんがなんと7軒も存在しているという。

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冬の北陸も情緒あっていいよねーなんて呑気に構えてやってきたはいいが想像以上のドカ雪に見舞われて、金沢から片道40キロの道のりが予定より随分遅れて辿り着く羽目になった。片山津温泉総湯前の交差点から北東方向、柴山潟に近い側の路地を散策する事にする。

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この付近が最もその手の店舗が密集しており、それに合わせて小料理屋やスナックなどの飲食店が軒を連ねる…が、どの店も潰れてしまったのか、どう見ても商売しているようには見えない。

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昭和レトロ感全開の潰れたスナックの看板、このセンスは今どきの感覚では存在できない。洋酒喫茶のフォントとイラストに萌え萌え。

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一軒だけ開いている店があったがそれも微妙な感じ。多分日が暮れてからの方が客の入りがあるのかも知れんが、それでも寂れた感は拭えない。

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飲食店のある四つ角を入った所に2軒程の店舗が固まっている。こんな大雪なのに店の前には客引きのボーイが突っ立っている。時折雪かきなんぞしながら客の到着を健気に待っている。ご苦労なこった。

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日が暮れたら多少様子が変わるかな?と思って時間帯をずらして再度通りがかったが、全く変わらなかった。徒歩でも車でも客の姿はどこにもいない。郊外はどこもデリにシフトしているので苦戦を強いられているというが、確かにそういう事情もあるだろうな。

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続いて総湯前交差点から山側の路地に入る。こちらは普通の住宅地然としているが、やはりソッチ系のお店がポツンと建っていたりする。

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ひたすら古さしか感じさせない路地の光景。片山津温泉も歴史ある温泉街なのは確かだが衰退が始まってから久しい。バブルの終焉とともに大型温泉旅館が次々廃業し、歓楽街温泉としての地位が揺らいでいる。

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雪が積もる激寂れの路地を進むとその先には「英国屋」の看板が掲げられた一軒の店舗が…周りは薄暗く人通りもないのに、やけにここだけがギラギラしている。それでいて飾らない外観に老舗の風格を漂わせていた。

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表の道路沿いにも看板が置いてあったが「きっさ」と書かれているのが何とも意味深。

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ところで片山津温泉の特殊なお風呂屋さん街も今年1月に一軒の店舗が売防法違反で店長がしょっぴかれてから店を畳んでしまい、その勢いで今後の状況にも暗雲が垂れこめているようだ。良くも悪くも下半身産業に支えられてきたはずだが、この鄙びた温泉街の行く末はどうなることやら。

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片山津温泉総湯前交差点の東側、柴山潟に付きだした半島状の区画に独特の外観を持ったソッチ系の店が集まっている。朝から営業している店も多く、店の前で客引きのボーイが雪かきの作業に追われている。さすが雪国らしい光景だ。

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車道沿いに進んでいくと元「重役室」だった建物が現れる。見た目からしても結構な老舗っぽい感じだが、なぜか2011年に入って売防法違反で店長がしょっぴかれてからは看板も外してしまい営業していない。

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今や兵どもが夢の跡…時代錯誤の高級感を醸しだした「重役室」だった店の入口は固く閉ざされ自動ドアには「誠に勝手乍ら臨時休業させて戴きます 店主」と書かれた張り紙がポツンと貼られていた。

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温泉街としてもピンクゾーンにしてもいよいよ衰退が本格化しつつある微妙な雰囲気の片山津温泉。重役室の隣はマンション兼商店街然とした屋根付きの通りになっていた。ここにも時代錯誤的な昭和の喫茶店などが立ち並ぶ。

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これまた昭和なセンスが光るスナックの看板。曲の字の中で男女が踊ってますね。

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道理で古い建物だと思ったがビルの名前が刻まれた銘板が足元にベッタリと掲げられていた。住宅金融公庫融資住宅、片山津温泉湯之元ビル。この尖ったフォントも何気に昭和30~40年代の香りが漂う。

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2階から上は普通に入居者募集中のマンションとなっていた。湯の町ハイツ。6畳一間で家賃1万3千円というのがある意味凄い。福祉アパート並みの水準である。場所柄だけに片山津温泉で働く人々の住居として作られたっぽいが、ワンルームなので単身世帯以外は無理そう。

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温泉は近いから不便しないだろうが、住むにしても周りに全然使えそうな店がない。それにしてもこの日は容赦なく吹雪く。街歩きをするにも限度がある。

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駐車場を挟んで一本奥の路地が見える。お風呂屋さんの玄関口がそこにあった。寂れたとはいえ街の如何わしさはある意味「健全」。

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湯の町ハイツに隣接するのは相変わらず潰れてそのまま放置プレイかまされている飲食店の残骸ばかり。客離れが相当酷い事が伺えるが、近頃片山津温泉にも大江戸温泉物語の系列が進出してきて俄にテコ入れを図っているらしいし、それなりに踏ん張ってる模様。

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だが付近の街並みを見ていてもこんな廃墟ばかりなので、先行きを案じてしまう。やはり温泉街は昭和の遺物でしかないのだろうか。これから消えていく運命なのか。

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かつては栄えていたはずの夜の街、宴会開いて温泉に浸かって一発かましてスナックでもう一杯…というパターンは完全に古い文化となった。健全な家族連れが足湯を楽しむような、そんな温泉街へと「浄化」が進められている印象がした。

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圧倒的な寂寥感に押されて、吹雪舞い降る柴山潟に面する公園にやってきましたよ。なぜか公園の先っちょに「うきうき弁天」というふざけた名前の浮御堂がある。

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せっかくなので浮御堂の先まで行こうと思った矢先に猛烈な吹雪に襲われる。こりゃどう考えても無理だ。遠目に眺めるだけで終わりにした。北陸の冬はこたえるね。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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