本州と九州を徒歩で行き来できる「関門トンネル人道」

関門海峡に隔てられた本州と九州の間を行き来する方法は電車や自家用車、彦島と小倉の間を結ぶフェリーに乗る等色々ある訳だが、直接徒歩で渡れたりも出来る。とは言っても自動車専用道路である関門橋や関門トンネルは歩行者が通れる場所がない。

しかし関門トンネルには自動車専用道路では渡れない歩行者と自転車、原付バイクが通行出来る専用の「人道」というものがある。これを使って本州と九州の間を徒歩で跨いでみようという自己満足的な楽しみが味わえるのだ。



…という訳で門司港の外れにある関門トンネル人道の入口にやってきました。関門橋の下を潜った先の和布刈神社とかがある所ですな。昭和33(1958)年の関門トンネルの建設と同時に作られた施設でもあるのでエレベーター設備などがある建物は結構古びたコンクリート建築となっている。

エレベーター前にはこのような案内看板が。現在の西日本高速道路株式会社の所有する有料道路の設備になるので運営も同社が行なっている。歩行者はタダで渡れるが原付と自転車は20円が必要。車はもっと手前の国道2号沿いから別に入口があるのでそちらで普通車なら150円払って入る事になる。

ちなみに対岸にある下関側の人道入口はこんな感じ。殆ど門司側にあるのと外観が変わらん。下関駅前から結構離れたみもすそ川町の壇ノ浦古戦場あたりに出てくる事になる。
この関門トンネル人道、徒歩で渡れる海底トンネルとしては完成当時日本唯一、今は神奈川県の川崎港海底トンネル人道があるので唯一ではなくなったのだが…

下関側のエレベーターホール。大小2つのエレベーターが設置されていて朝6時から夜10時まで開放中。

自転車と原付の通行料金は下関側のエレベーターホールに設置された料金箱に自主的に入れる事になる。

あとはエレベーターに乗って深さ55.4メートルというトンネルの入口まで降りて行くだけである。大阪の安治川トンネルみたいに両側のエレベーターに職員が常駐している訳でもなくカメラで遠隔監視されているだけのようだ。

30秒くらいエレベーターに乗ると辿り着く地下の世界。やはり夏場でも涼しい。かれこれ半世紀も運営しているのでさすがに壁とか古めかしさが滲み出ている。

門司側と下関側を行き来できる人道は全長780メートルある。ここは自転車や原付も押して歩く決まりなので、渡るには片道10分~15分は見ておかなければならない。

あとはひたすら真っ直ぐ続く人道を進んでいくだけ。この場所に来て分かったのだがやたらジョギングしてる人が多い。歩行者は無料だし夏は涼しいし、という事で下関と門司双方の住民の健康づくりの場所として重宝がられている。もちろん本来はそういう場所じゃないにせよ黙認されている形だ。

そんな人道トンネルを400メートル近く進んだ辺りで現れるのが…福岡県と山口県の県境だ。地面にしっかり刻まれているのを見て県境マニアな方が鼻息を荒くしそうな瞬間である。

ここが紛れもなく本州と九州の間を自分の足で歩いて跨げる唯一の場所。ジョギングしてる人らは日常的に跨いでる訳ですけども。

こうしてトンネルで歩いて行き来できる程近い関門海峡は地理的にも珍しい土地だし福岡でも山口でもない関門都市圏と呼ばれるだけあって下関市と北九州市の合併構想が出ているという話があるそうだが今の所はあんまり現実的じゃなさそう。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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