原爆スラムの名残りと広島復興の象徴「基町団地」を歩く 

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原爆の爆心地から北へわずか1キロ、旧軍用地の焼け跡に戦後作られた広大な不法占拠バラック「原爆スラム」を経て生まれた三千戸もの巨大団地群「基町団地」は1978年の完成以来、広島市の復興のシンボル的存在として大勢の住民と共に生きてきたが街の老朽化に限界集落化という問題に直面している。巨大団地群の中心にある「基町ショッピングセンター」にやってきた。ここが団地のお買い物拠点。ちょっと寄ってみましょうね。

基町ショッピングセンターの中はこの通り、高度経済成長期に全国各地に作られた大型団地のショッピングモールのひな形といった趣き。圧倒的に人通りがない。昼間から開いているのはせいぜい昔からやってるレトロな喫茶店がちらほら。寂しい…

「広島開基の地」を地名の由来とする基町の中心商店街だが、今や40%を超える高齢化率の高さを示すようにシャッター街と化していた。年金とか生活保護で細々暮らす住民ばかりなので購買意欲も乏しくこの商店街では商売が成り立たなくなっている。

その一方で存在感を増しているのが団地に住む残留孤児の子孫やその親類といった中国人住民。空き店舗が目立つショッピングセンターの傍らには「中国語教室」の看板を掲げる中華系の何らかの事務所がある。

その隣には生鮮食料品店が立ち並ぶ市場「第三マーケット」があるが一向に活気の欠片も見当たらない。魚屋とかも高齢者相手なので手間を掛けずそのまま食べれる惣菜ばかり売っていたり。

向かいには「ファミリーマーケット」という某コンビニ名に似てるけど全然関係なさそうな市場もありますね。売られているものはやはり手間を掛けず食えるカップ麺や缶詰が多い。独居老人ばかりだとファミリーという言葉も空虚に感じる。

目立つ空き店舗は老人の憩いの場と思しき「ふれあいサロン」だかになっている。こういう店も十年後くらいには中華系ショップが立ち並んでいるのだろうか、それとも…

基町ショッピングセンターの中央は天井が抜けて開放的な広場になっているが相変わらず住民の人影はまばら、天気の悪さも相まって陰鬱な気分になりそう。少し離れた背後にそびえる高層棟の巨大さが実感できよう。

広場の脇からショッピングセンターの上に登る階段があるので試しに登ってみたら、こっちも屋上が緑化された公開空地的なスペースになっていて広々と開放的。雑草伸びまくりで放置プレイ甚だしいんですが。

それでも外食系は未だに現役の店も多くそれなりにあれこれ営業している。焼肉と韓国料理屋ばかりですが。アイゴー。

基町ショッピングセンターの飲食店街は焼肉とキムチの臭いしかしないこってりした路地になっております。ここは広島のリトルコリアか。原爆スラムの時点で既にそうなっていたらしいけど。

渋過ぎる店構えのホルモン料理店。平日昼間だったので客も殆ど居ない。週末の夕方とかに来ればまた違った趣きが見られるかも知れない。

瞬間最大風速的には大阪の鶴橋並みの焼肉率の高さである。広島駅前の戦後のドサクサ愛友市場も雰囲気は似ていたけど。お好み焼き屋ばっかりだというのが広島のイメージだが焼肉だらけの場所もあるにはあるんですね。

焼肉ばかりでちょっと…と思ったがさらに路地の奥へ進むとお好み焼き屋が二軒も並んでいる。やっぱりお好み王国広島と言ったらそれか。暖簾がオタフクソースなのはお約束。

そのまま通路を抜けて駐車場らしきコンクリ打ちっぱなし空間に出てきてしまいました。駐車場のコンクリート壁に直書きされた警告文の数々…不気味である。これを書いた人物の怒りをひしひしと感じる。「ゴミすてるな罰金三万円」「せいけつに秩序よく」この空間にさっぱり秩序を感じません。

「DBを盗るナ!」…と書かれてますがDBってなんでしょう。データベースの略じゃないよね。見るからにそう思うけど治安悪そうだよね。

そこにまたお好み焼き屋が一軒。どれだけお好み焼が大好きなんでしょうか広島の人々は。しかし高齢者と引き換えに増え続ける中国人の存在が気になる。十年後には恐らく中華料理屋ばかりになっているかも知れないと想像しつつ基町団地を後にした。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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