みちのく・青森県弘前市の激裏地帯!「紙漉町」の怪しい旅館街

以前当取材班は福岡県久留米市花畑にある「ちょんの間」営業をしていると噂される怪しい旅館街を眺めに行って鼻息荒く観察してきた訳だがどうやらそういう営業をしている街が東北地方にも存在するらしい。それがみちのくの城下町、青森県弘前市である。

一般的には弘前と言えば津軽りんごと弘前城の桜が有名な訳ですが我々は桜の事はさておき全く関係のない時期にうらびれた夜の路地裏に咲く徒花を見にやってきたのである。ここは弘前市の中心市街地にも近い紙漉町という場所だ。

弘前は歴史ある城下町なので昔何をしていた街なのか現在の町名でも分かってしまう。紙漉町という変わった地名も昔ここで紙を漉いていたからである事は字面通りに理解できよう。

そんな紙漉町には街の傍らにこんこんと湧き水が出ている一画がある。今も大事そうに管理され屋根のついた小屋が設けられている。「富田の清水(しつこ)」と呼ばれる湧き水だ。

藩政時代に弘前藩主が越前和紙の職人を呼んでこの湧き水で紙を漉かせたという所から紙漉町の地名が来ている。和紙作りは昭和の初め頃まで行われていたというが現在はやっていない。したがって見た目は普通の住宅地でしかなくなっている。

6つある水槽は手前から飲用水、食糧の洗浄、紙漉の材料洗い場、最下層は洗濯と足洗いというように用途が決められていた。現在も湧き出る水は市民の喉を潤したり生活用水に使われていたりと様々である。

で、なんで我々はこんな場所に来たのかというと、この紙漉町に怪しい旅館街が存在するという話を聞いての事だった訳だ。紙を漉くだけで別に遊郭だったという訳でもなさそうなこの場所になんでそんな旅館街があるのだ?と正直現地に来ても実感が湧かない。

しかしそれとなく雰囲気を匂わせる古びた稲荷神社がぽつんと佇んでいたりする。遊郭跡に稲荷神社はありがちなアイテムだ。あとは交番があれば完璧な訳だが…どうも無さそうだな。

よくよく考えると道すがらにこんな泌尿器科の建物があったりして、町医者でしかも泌尿器科専門なのに建物でかくね?と思いつつも昔やっぱり遊郭だったのかなあと疑りそうになる。

湧き水に旅情気分を感じつつ住宅街でしかない路地をさらに奥へ進んでいく。さっきからチャリンコに乗った学生が大勢すれ違う。この先の所に県立弘前高等学校がある。そこの学生がちょうど部活を終えたのか一斉に帰ってくる途中だったらしい。

路地を歩くと一軒の旅館の看板を見つけた。その案内表示に従い脇道に入ると確かに古びたモルタル壁の旅館が立ちすくんでいる。こういう場所なのか…と思ったが最初に目星をつけた場所とは違う。

チャリンコに乗った学生集団がやってくる方向に歩いて行くとそのうち川と橋が現れる。まさしく行こか戻ろか思案橋的なアプローチ。でも橋の名前を見たら思案橋じゃなくて桔梗野橋ですね。そして橋を渡った所に2軒程「旅館」の看板を挙げた建物が見える。ああこれか。

しかし桔梗野橋とやらに近づくと橋の向こうにいる住民なのか知らんがオバハンがジロリとこちらをマークする始末。知る人ぞ知る場所なのでわざわざ旅館の人間が客引きする為に外に出てくる訳はないと思うのだが、橋の手前で意味もなく左折してしまったではないか。

この川が土淵川というのだが、この川と旅館街の背後にある弘南鉄道の線路や弘前高等学校の敷地がこの地区一帯を隔離している形になっているのだ。下手な説明するより地図を見りゃ一発だ。こりゃ廓だよ。

廓同然となった一画には橋から見える二軒の旅館と少し中に入った所にもう一軒、合計三軒の旅館が客を待つまでもなく静かに営業をしている。以前訪れた久留米の花畑に雰囲気が似ているが、街のど真ん中ではないので見た所静かな住宅街でしかない。

「旅館街」と言う名の廓の内と外を隔てるのは弘南鉄道の踏切。ここかさっきの桔梗野橋を渡るかどちらかしか中には行けない。不思議な土地ですねえ。ただ弘前の場合、紙漉町に限らずお姉ちゃんは大体旅館専属ではなく置屋かどこかから派遣されてくるらしい。

その先には県立弘前高等学校のグラウンド。野球部員が練習に励んでますな。さっき見かけたチャリンコの学生集団もここから旅館街を通って毎日通学しているという事か。うすうす感じたりしないのかしらね。多感なお年頃ですし。

さすがりんご王国弘前市。ガードレールまでりんごの形をしている。もうこの先は見るものが無さそうなので引き返すか。

…と思ったらやけにニャーニャーうるさいので何事かと思ったら猫がさかってました。土地が放つ特有の瘴気に触れたのだろうか…

紙漉町以外にもそういう旅館はある

だが、弘前のそういった旅館というのは紙漉町だけでなく市内全域にも点在しているというのだ。その第一の目印となるのが弘南鉄道弘南線の弘前東高前駅。JR弘前駅の南側500メートルくらいの所で、駅前に降りても別に何も無さそうなのだが…

駅を出て踏切を渡り北側の住宅街に入ると一軒の旅館が現れる。素泊まり4000円とビジネス利用も大歓迎な感じで看板を掲げているが、このへんも紙漉町の旅館街と同じような利用が出来るらしい。

さらに北東側の住宅街に入るともう一軒の旅館。完全に住宅地の中に埋没していて素人観光客がとても近づけない場所にあるのだがそれでも客は大入りで旅館周辺の路駐が激しい。

ここまで来ると弘前駅の東側になるが、ここらに点在する旅館もそうらしい。久留米の花畑以上に広範囲に散らばっていて分かりづらいのだが、ともかく見てきたのは弘前駅東側の城東界隈ばかりだ。他にも何軒かあるらしいが探すのが面倒臭くなってきた。まあいいや。

<追記>弘前市紙漉町の旅館ですが、みんな廃業してしまったそうです。侘しいですね…


The following two tabs change content below.
新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
トップへ戻る
Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.