熱海が誇る大観光名所・日本最後の秘宝館「熱海秘宝館」とその周辺

熱海にやってきたら、一度は「熱海秘宝館」を訪れようと考えていた。それが今現在、関東において最も手軽に来る事のできる秘宝館の一つである。

全国各地に点在する昭和の遺物「秘宝館」は、昭和40~50年代の社員旅行の文化がメジャーだった時代に各地の観光地や温泉街に華々しく現れ、性についての知識や教養やジョークを共有できる貴重な空間だった。18歳未満は入場禁止という要素も、見てはいけないものを見たい人間的な泥臭い欲求を高めるのである。

しかしその秘宝館も、2007年3月の三重県・伊勢「元祖国際秘宝館」の閉鎖を迎え、いよいよ絶滅の危機にある。

熱海港のロープウェイ乗り場が秘宝館へのアクセス経路となっているのは昔から変わらない。ただ一様にしなびた光景を見せるのは温泉街たる宿命だろうか。

北海道稚内の稚内公園ロープウェイが廃業したことで日本一短いロープウェイになった「アタミロープウェイ」は現役で動いている。

ここからは秘宝館の入場料込みロープウェイチケットを1800円で買う事になる。ネットで入手した熱海秘宝館の割引チケットを持っていったが、ロープウェイで秘宝館のチケットを買う場合は使い物にならないのだ。

「ウチではそれ使えないの!」などと最後までホスピタリティのかけらもないつっけんどんな受付のオバハンのキャラが熱海らしくて個性的だった。

ロープウェイを登った先の錦ヶ浦山頂には熱海秘宝館と、もう一つ「熱海城」がある。熱海城の方も昭和らしいくたびれた観光用の城で、いかにも感が漂っていて是非入館したかったものの、時間の都合で無理だった。残念。

温泉街特有で場末感全開のゲームセンターを横目に階段を上がった先、アタミロープウェイの乗り場に来て驚いたのは、ゴンドラのくたびれ具合に加えて全面ガラス張りの内装である。高所恐怖症にはたまりません。

熱海城とほぼ時を同じく昭和33年に開業したロープウェイで、その歴史の古さが建物の造りのレトロさにも現れている。

ロープウェイはおよそ10分おきで動き出す。時間になると結構な人数の客が乗ってくる。やはり秘宝館目当てに訪れる客が多いようだ。

ゴンドラが動き出したと思ったらものの2分少々で頂上に近づいてしまう。さすが、日本最短のロープウェイだけのことはある。

大きく書かれた「秘宝館」の文字…

とうとう来たぞ…

秘宝館の入口は階段をさらに上がった3階になる。後付けで中国語と韓国語が併記されているのを見ると、そっち方面の観光客もそれなりに多いことが伺える。

何がテレビでおなじみなのか知らんが米つぶ人形の店があったり、ソフトクリームなどを売る店、展望台と、一通りそれらしい設備がある。

熱海の錦ヶ浦山頂にそびえる性の殿堂「熱海秘宝館」にやってきた。昭和55年にオープンした秘宝館の一つであり、伊勢の元祖国際秘宝館無き今、日本に「秘宝館」の名称で残っている施設の中の数少ない生き残りである。

熱海秘宝館の入口。ロープウェイ経由で来ると、うっかり外観を見逃してしまいそうになるが忘れてしまってはもったいない。

入口上のファサードにはインドのカジュラホ遺跡を彷彿とさせる、男女混合のレリーフが刻まれている。

秘宝館の上は展望台「あいじょう岬」になっている。トンビの餌付けを体験できたり、その名の通り男女の愛を誓う南京錠がびっしり掛けられているような場所だったが、生憎改修中で中に入れなかった。

なぜ「あいじょう」がひらがななのかと思ったら「愛」に南京錠の「錠」で、あいじょう岬だったのね。

チケット売り場の中にもカジュラホ遺跡のような男女混合のレリーフが飾られている。これがインドの四十八手みたいなもんだろうか。随分アクロバティックな体位が多いのですが(笑)

この熱海秘宝館、かなりの数の芸能人のサインが置かれている。いまどき規制だらけでテレビで紹介できるような内容ではないはずだが、比較的最近書かれたサインが多いので、意外。

やっぱりみうらじゅん氏のサインもありましたよ。もうお約束みたいなものである。

有料ゾーンの館内展示は撮影禁止なので、何が展示されているかは現地に行ってからのお楽しみ。

熱海秘宝館の近くには「熱海城」の勇姿が見える。秘宝館よりも先にこっちの方が出来た訳だが、熱海城には名古屋で有名なコンクリート像作家・浅野祥雲氏が作り上げた金鯱像が天守閣に飾られている他、作品が色々と置かれている。

せっかく熱海秘宝館まで来たからには、断崖絶壁の景勝地「錦ヶ浦」を堪能せずに帰る訳にはいかない。秘宝館や熱海城から少し下った所にある「ホテルニューアカオ」の周辺には遊歩道が設けられていて、断崖絶壁の光景を間近に楽しむことができる。

断崖絶壁も凄いが、それよりも凄いのがホテルニューアカオの建築である。よくこんな崖っぷちにこれ程までの建物を作れるものだなと。昭和48年開業のホテルなので、かれこれ35年以上になる。

眼下には海が見える。視力が錯覚を起こして吸い込まれそうなくらい、高低差の感覚が分からない。高所恐怖症の人間には無理な光景。

この断崖絶壁の庭園は「錦崎庭園」という。ギリシャ神殿なのか日本庭園なのかよくわからない和洋折衷デザインが独特。

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この庭園と展望台はホテル開業後の昭和50年代に次々と作られた。こんな絶壁に庭園を作っちゃうニューアカオはヤバイ。

秘宝館の崖下から見えるホテルニューアカオ本館の姿。敷地の大半が海面にせり出している。熱海にホテルは数あれど、こんな極端な場所に建っているものは他にはない。

この錦ヶ浦は話によると自殺の名所としても知られている。現地に「いのちの電話」や自殺を咎める看板の類は一切置かれていないが、この断崖絶壁の物凄さを見ても、そんな噂が立つ事や実際に飛び込もうとする奴がいても無理はない。

目の前に広がる太平洋は地平線まで繋がっている。ひたすら開放的な風景だ。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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