青森のアンダーグラウンド地帯!青森駅前「第三新興街」があまりにドサクサバラック過ぎた

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青函連絡船があった頃の青森は常に北海道と本州を行き来する人間の姿で溢れかえっていたという。

青森駅前は戦後の闇市の名残りで市場や歓楽街が密集する独特の光景を見せていた。その様子は東京・お台場の「船の科学館」附属展示である青函連絡船羊蹄丸の船内に昭和30年冬の青森駅前の街並みが復元された「青函ワールド」で伺う事ができる。

しかしそんな時代の残滓が最も色濃く残っているのは、いまや現実の青森駅前には殆ど無く、最後まで日の目を見ない裏風俗のメッカと言われる「第三新興街」だけが残るというのが皮肉なものである。

青函連絡船が現役だった頃はさぞかしお忍びでこのバラック酒場に潜り込む男どもの姿があったのであろう。

第三新興街内の建物は殆どが住居兼店舗と思われるが、既に店を閉めたままの所も少なくはないようだ。2階、3階の窓を見てもガラス越しに何も写り込んでいない。

この第三新興街は単純にそういう目的の為に作られたものと言う訳でもなかったようだ。中にはこのように「食堂」として営業していた店も残っている。すこぶるボロボロな外観の「新月食堂」はレトロを通り越して化石のような存在でもある。残念ながら、ここも現役であるようには見えない。

めん類、丼物からおでんにビールと大衆食堂らしく色々と揃えていたようだ。看板の下のガラス窓には「カレーライス」と書かれた跡も見える。

青森の闇市にあった食堂で出されたおでんは、味噌ダレに生姜を混ぜた青森独特のソウルフード「生姜味噌おでん」だった。北国の冬の寒さに耐えるために身体が暖まる生姜を混ぜたおでんが広まったと言われている。最近では街おこしのネタに引っ張り出される所謂「B級ご当地グルメ」の一種。

これらのバラック酒場群も青函連絡船があった頃はさぞかし賑わいを極めていた事であろう。既に廃墟と化して長期間経っている店も多いようで、大部分は荒れるに任されている。

我々の姿を察知して2階の窓から顔を覗かせる飼い猫。人馴れしているようで怖がるそぶりも見せない。2階と言えども1階が低いせいで手が届きそうな高さに居る。

スナック「野づる」を終端に第三新興街の外へ。道路を挟んだ向かいはバスと自家用車の駐車場になっている。

改めて振り返ると凄まじい路地裏風景である。よくぞここまでの九龍城状態の飲食街が残っていたものだ。すぐ近くの飲食街「駅前天国」は跡形も無くなってしまったが、そんな現在の青森駅前では間違いなく最強の存在であろう。

ちなみにもう一方の入口から見るとこんな感じだ。西側に入口が2本、クランクを境目に東側に入口が1本。およそ30軒程度の規模だろうか。それほど大きくもないが、とにかく密集具合がハンパなかった。

オーソドックスに屋号だけが書かれた居酒屋の看板を見ると、なんだか飛田新地のようなノリを思い浮かべてしまう。

また、第三新興街西側入口のそばにも「ムーディーサロン」の看板を掲げる店が存在していた。青森でムーディーサロンと言ったら要するにピンサロの事であろう。しかし必要以上な派手さがないのが青森らしい所だ。

ついでに、ちょうど第三新興街の北側が空き地になっていたせいで、バラック建築を裏側からじっくり眺める事が出来た。

北国の厳しい寒さから身を守る為だろうか、必要以上にトタン板で継ぎ接ぎされまくっていて凄まじい状態になっている。これを青森の九龍城と表現せずにいられない。

中には建物全体がトタン板に隠されたものもあって怪しさ爆発。恐るべき第三新興街。これを見る為だけにわざわざ青森駅前まで訪れる価値がある、北東北随一の戦後のドサクサ遺産。

しかし隣の「駅前天国」のようにいつ取り壊されてもおかしくない状況にある。消えゆく青森の盛り場の風景を見る為に、早いうちにご旅行される事をお勧めします。

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2010年12月に東北新幹線新青森駅が出来ると、現在の青森駅からはますます人通りが無くなるのではないだろうか。次いで2015年には北海道新幹線が函館まで開通する予定だ。

青函連絡船を知る人からすると、隔世の感すらある時代の変わり様だ。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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