財政破綻の街「夕張」を歩く ダムに沈む大夕張

夕張市清水沢から大夕張地区へ行く途中にある南部地区に、かつての三菱大夕張鉄道の名残りを留める南大夕張駅跡を利用した車両保存基地がある。
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大夕張鉄道線は大夕張炭鉱の開発と採掘した石炭を運ぶために早くも明治時代から開通している。道路網が不完全だった昭和30年代まで地域の足にもなっていたが、1987年に廃止されている。


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現在、南大夕張駅跡に置かれているバスや列車の車両などは三菱大夕張鉄道保存会のもと管理されている。2007年には経産省の近代化産業遺産に認定されたというが、現地は無人で常駐する管理人もおらずの状態。
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傍らに置かれたバスは三菱鉱業バス(後の美唄鉄道バス)の車両・三菱ふそうMAR470(1967年式)。
ちなみに廃墟化した遊園地跡に放置されたままのSL館の車両も三菱大夕張鉄道保存会が「雪下ろしツアー」を企画して、なんとか施設の保全を試みているのだ。
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ここまで来ておいて、大夕張地区が無人の廃村になっている事は承知の上でも現地を見ずに帰っては気が済まないので、さらに車を走らせていった。南大夕張を過ぎると国道沿いに見える大夕張ダムと人造湖であるシューパロ湖が右手に現れる。ダム管理棟の傍らに駐車場があり車を停めて湖を眺める事が出来る。
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シューパロ湖上に浮かぶ特徴的なトラス橋「三絃橋」が遠目に見える。三絃橋はシューパロ湖の完成に合わせて作られた旧森林鉄道の橋だが、木材輸送ルートが整備されるまでのたった6年間しか使われなかったという微妙な存在。
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三絃橋は長らくシューパロ湖のシンボルだったが2013年のシューパロダム完成によって水没する事が決まっている。湖が見渡せるこの場所も水の底になる予定。
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シューパロ湖を過ぎて国道452号を走り続けるとその先に無人廃村と化した大夕張(鹿島地区)がある。昭和48(1973)年の大夕張炭鉱閉山とともに人口は激減、1997年に残る188戸が集団移転して以来、街が完全に消えた土地だ。最盛期には2万人もの人口が居たというが今では信じられない。
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もはや人が消え何も無くなった土地だが「交通安全都市 夕張市」と書かれた看板が道路際に残っていたりしてかすかに街の匂いを漂わせている。
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「モデル町皆なの力で非行追放」と読める。微妙に日本語おかしいですが大丈夫でしょうか。しかしいつの標語看板なのだろう。
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残念ながら我々が訪れた時点でかなりの部分が工事用地として閉鎖されていてガードマンが櫓の上で等間隔で見張っている。少し車を停めようとスピードを緩めるだけでピーピー怒られてしまう。
辛うじて工事が行われていない山側の脇道に入る事が出来たが、廃校となった鹿島小学校跡あたりを探しても分からず。
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国道沿いから見えるシューパロ湖に掛かる白銀橋。この橋ももれなくダムの底に沈む予定である。
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そしてシューパロダム完成を目前にして国道452号の架け替え後の道路がはるか上の山の斜面に作られていた。2011年12月に架け替え作業が行われ、現在旧道となったこの道は廃止され立ち入りが出来ない。
シューパロ湖畔のダム管理棟からの三絃橋の姿も、旧大夕張地区の風景も見る事が出来なくなった。

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