南清水沢駅近くに、かつての炭鉱労働者を受け入れていた公営住宅が沢山残っている。
この界隈では物凄い数の住宅が今でも見られるのだが、やはり空き家が多いらしく建物の周りにまで雑草が伸びきっている所もある。夕張市内では最も住宅密集率が高いと思われる。
これらの住宅は北炭が建設した炭鉱住宅の成れの果てで、北炭破綻後に夕張市が買い取って市営住宅として運営している。
人の消えた団地の片隅、公園の残骸と思しき一画。かつてはこの道を沢山の住民が行き来していたのだろう。
雑草が伸びた広場には錆び付いて使い物にならなくなった滑り台やブランコが置かれていた。子供の姿はない。
その向こうから川を挟んだ反対側にも夥しい数の公営住宅が連なっているのが見える。清陵町の住宅群だ。今回時間が足りず行かなかったのだが、こっちの方が規模がでかい。
周囲に家庭菜園を作っているお宅。年金や生活保護に頼るしかない暮らしでは自給自足も生活の足しになるのか否か。玄関から独居老人と思しき婆ちゃんが出てきた。
炭鉱町としての夕張の歴史の中では比較的後期に建てられたものとはいえ見た目にもオンボロ具合が凄い住宅群である。もし建物自体も木造だったら「幸福の黄色いハンカチ」の家とそんなに違いはない。
そしてここでも貧民の味方共産党ポスター。メロンと負債しか残っていない地域の事情があらかた読めてしまう。
未だにここで生活を続ける住民も他に行く場所がないから住み続けているのだろうが、市営住宅の建て替え計画も全くない訳ではないらしい。
当たり前だが空き家になっても後から入居する人もいる訳もなく放置プレイをかまされている。夕張市が抱える市営住宅のうち半数近くが空き家で、財政的な問題で取り壊す事もままならない。
ここだけ見てると日本というよりまるでロシアみたいな風景だ。
ちなみに現在の夕張市長は東京都職員として派遣され、その後市長選に立候補して当選した若干30歳の鈴木直道氏が就任している。全国最年少市長である。
東京都は破綻した夕張市の支援を掲げており若手職員を夕張に派遣しているのだが、そんな東京都の石原慎太郎知事はこのガラ空きの市営住宅を都民の別荘としてタダであげればいいなどと発言している(→詳細)
この辺の空き家だらけの市営住宅もそのうち都民の別荘と化すのかどうか。実現したら我々取材班も一軒くらい借りたい所である。どのみち人を呼ばなければ、街は消えるしかないのだし。
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