葬祭沖縄スタイル・浦添市営浦添墓地公園

米軍普天間基地が間近に拝める事で有名な宜野湾市の嘉数高台公園展望台から周囲の景色を眺めると浦添方面の山肌に、内地の人間からするとギョッとするような光景が見える。
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それは山肌一面を埋め尽くした墓の数々。沖縄で決定的に内地と違っているのが墓の形状である。沖縄には大まかに3種類の墓があり、やたら巨大な亀甲墓、そして比較的小型の破風墓、屋形墓がある。それが山肌にみっちり並んでいるのだ。
あれを見て間近に墓地を眺めてみたい!と衝動的に行きたくなった。適当に探したらどうやら浦添市にある浦添城跡霊園らしい事が分かった。


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しかしカーナビの設定で間違えて「浦添墓地公園」にやってきてしまった我々は間抜けなミスを犯しながらも、ここはここで結構な数の墓地が並んでいてそれなりに見応えがある事に気づいた。この付近は「浦添ようどれ」という古代琉球の墳墓もあって、昔から伝統的に墓地が作られる場所らしい。
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内地の人間から見るとあまりに巨大な沖縄の墓だが、そもそも原型がもっと巨大な亀甲墓で、それが街中に突如として現れるのがデフォルトだから、こうした霊園は戦後の沖縄本島の都市化によって生まれたのではなかろうかと見ている。それでも充分でかい墓ばかり。
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浦添墓地公園に来るとこうしたスタイルの墓を様々拝む事が出来る。決して内地では見かけられないもので、沖縄に比較的近い鹿児島県の奄美群島ですら本土のものと同じ墓となる。
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墓の横っ面にはシーサーの顔と思しき面が掲げられていた。これも魔除けの一種だろうか。
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一般的な沖縄における墓の広告が立てかけられていた。
「沖縄初!特許工法 墓のフタがひとりでラクに開閉できます」
内地の人間にはまるで意味不明なフレーズである。
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浦添墓地公園の中をしばし歩き回る。山肌の斜面に独特の墓がずらりと並ぶ。日本のものとも中国のものともつかぬ、沖縄ならではの墓地の光景。
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かなりでかい部類に入る破風墓。亀甲墓もそうだが無駄にデカいのはかつての沖縄には土葬の習慣があり、遺体を棺桶に詰めてそのまま埋めて数年後に掘り出して洗骨の儀式をやったり、毎年4月には清明祭(シーミー)を行い一族郎党で墓の前で宴会をやったり、日本本土とは明らかに違う独特の葬祭の名残りがあるからだ。
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たださすがに今では洗骨も土葬もやる習慣が無くなった為、沖縄でも普通に火葬され納骨される事が殆どのようだ。洗骨というのも親族の腐った死体を洗うという作業なのだから想像するだけでもキツい。
墓の種類も色も個性的過ぎる。内地と沖縄の人間の死者と墓に対する考え方の違いは間違いなくあるだろう。
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中には全体が屋根に覆われたご立派な墓まである。これなら雨の日でもシーミーが執り行えるだろう。地獄の沙汰も金次第と、恐らく裕福な家の墓ほど立派になるのは自然な話。
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その一方で同じ形状と材質の墓が並んでいる箇所がある。かなり墓自体が古い事から見ても墓地造成に近い時期に作られたものだろうか。脇に祠を置いている墓もちらほら見かける。
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ほぼ同じ形の屋形墓が一列に並ぶ様子はなかなかの圧巻である。
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…かと思ったら墓の壁が家屋の外壁みたいなタイル貼りになっている所まである。墓は第二の家だろうか。ちなみに亀甲墓自体は「子宮」を表している。死ねば人は母体に帰るという思想は、輪廻転生の価値観が影響しているものだろう。
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こちらは無機質な感じの煉瓦積みの墓地。墓選びには故人の性格や遺族の意思が少なからず影響しているのだろうか。
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だが一方で屋根がついていない墓も見かけられる。沖縄の墓も近代化の影響を受けていて年々墓も小型化が進んでいるとかいないとか。さらには見慣れない陶器の置物が添えられた墓もある。
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しかしごく一部には内地と同じ様式の墓をこしらえている家もある。こう見えてもにわかに墓のボーダーレス化が始まりつつあるようだ。
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その隣にある小さな祠のような墓、これはさすがに可哀想な感じに見えてしまう。周りが巨大だからなおさら悲壮感が高まるんだな。
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あと沖縄の墓には「◯◯家之墓」という表記の他にもこのような表記の墓が存在している。東り下門とは人の苗字には思えない訳だがこれは…
ともかく見てて飽きない沖縄の墓地。次回は4月上旬に行われるという墓場の宴会「清明祭(シーミー)」の時期を狙って訪れたい。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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