札幌・狸小路商店街の西の外れの場末飲食街「西創成」を歩く

全長1キロ近くもある狸小路のアーケード商店街を端から端まで歩くと結構なボリュームがある。パチンコ屋とDQNばっかりという印象しか残っていないような気がしてならないがそれではあまりに気の毒なので、最後は狸小路の中の異端児、七丁目と八丁目も歩いてみよう。

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狸小路七丁目までやってくると、これまで立派だったアーケードが途端にお粗末なボロいものへと変わる。まるで全く別物のようにも思える。特に七丁目から向こうは「西創成」と呼ばれている一帯で、札幌市中心部の中では「場末」にあたるエリアと呼んでも良い。

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アーケードの中に入ってみても軒並み潰れた店ばかりでシャッター通りと駐車場用地となった空き地が目立つ。ただし昔の店舗跡が取り壊されずそのまま残っていたりして、古びたアーケードも相まってレトロな風情が漂う。やっぱり七丁目だけは別物だな。

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ラーメン屋とか飲食店もそれなりにあるっちゃあるけど、空きテナントのまま放置された店舗もこの通り。狸小路は人がいる所いない所の極端さが半端ない。

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商店街の入口付近にもオールドスタイルな大衆食堂が一軒残っている。軒並み下品な店が立ち並ぶ三丁目から五丁目までの風景とは一線を画している、我が路を往く狸小路七丁目スタイル。

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そんな狸小路七丁目の中でも特にレトロ指数が高い物件がこちら。無骨なコンクリート壁の建物の両サイドに色褪せたテント屋根の玄関口。右側は「名曲喫茶ウイーン」、左側は「平和ビリヤード」に骨董品屋。店舗構成までレトロ過ぎ。

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既にこの建物自体が骨董品だと突っ込みたくなるのはさておき、隣の名曲喫茶が創業50年だとかネット上に情報があったのでこのビルは間違いなく半世紀以上のビンテージ物件である。

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レトロ風味が強い七丁目商店街の端。右側は先程の大衆食堂の建物。典型的な北海道の古い建築様式で三階建てになっていた。しかし左側は無愛想なコンクリート建築のホテルとなっていて風情が損なわれている。この付近はシティホテルが非常に多い一帯だ。

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食堂の横っちょの壁には政党ポスターがびっしり。公明党と共産党しかないんですが(笑)やっぱり試される大地だけの事はあるけど北海道だったら新党大地は居ないのか。剥がし跡もやたら目立つ。

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そして七丁目を過ぎるとその先は自慢の全蓋式アーケードが途切れてしまいもはや商店街ですらなくなる。それでも「狸小路八丁目」と書かれているので、一応商店街が続いている事にはなるのだろう。真正面に円柱形の特徴的な建物の札幌プリンスホテルが見える。

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ひたすら寂れた印象しかない西創成エリアだが、若干中心部より家賃相場も安いとの事で所謂若者向けなオシャレカフェなんぞの出店が多いらしい。大阪で言えば中崎町、東京で言えば谷根千(笑)みたいな立ち位置なんでしょうかね。

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狸小路商店街のアーケードをひたすら西へ突っ切るとその先の一帯が通称「西創成」と呼ばれているエリア。南7条西8丁目にある東本願寺を中心に南北に広がる一帯を西創成と言い、狸小路の西側は西創成地区の北側にあたる。人混みだらけの商店街からそう遠くもないのに、アーケード街から外れてしまうと途端に人通りがなくなる札幌の街の極端さ。南2条西7丁目から西側一帯は古い店舗の建物が数多く残っており結構なレトロ感を漂わせる。

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アーケードのない狸小路8丁目にはこのような北海道独特の古いトタン屋根を持った店舗兼家屋が残っている。雪の多い北海道には瓦屋根の家は殆どない。雪下ろししやすいようにつるっとしたトタン屋根が主流。

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店舗の横っ面を見ると木造家屋の板葺きの壁がまるごと剥き出しになっている。オンボロ具合がたまりませんなぁ。壁にはハシゴ、屋根には丸太が据え付けられている。雪下ろしの際に登るのか、雪の重さに耐える為の補強なのか、雪国の常識はわからん事だらけですみませんねえ。

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さらに1ブロック西側に入って西9丁目へ。このへんまで来るとさすがに狸小路じゃない気がするけど「狸小路9丁目・10丁目」などと呼んだ方が通りが良かったりする。ここも昔は栄えてましたと言わんばかりの店舗跡がずらりと残っている。さすが札幌、ジンギスカン屋とラーメン屋が多い。

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これまた年季の入ったボロ建築。玄関口らしき部分がまるごとトタンで覆い被せてあるのが不気味だが廃墟なんでしょうな。政党ポスターがここぞとばかりに貼りつけられてます。公明に幸福…どっちも宗教政党だ(笑)

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狸小路のアーケードがある方向に振り返る。北海道の計画都市ならではの完全なる碁盤の目状の街路は無駄に広く、ただでさえ寂れきった街並みをさらに寒々しく感じさせる。南2条西9丁目とかいう住所表記の独特さも札幌では常識だろうが、内地の人間からすると少しとっつきにくい。

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どれだけ寂れて微妙になってもラーメン屋だけはコンスタントにあるのが札幌の特徴。ラーメン横丁とかじゃなくて場末の土着的な店で食ったら一杯500円くらいが適正価格。くすんだ街角に黄色の建物が眩しい「札幌軒」。

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ラーメン札幌軒脇の路地に入るとこれまた古いアパートが見られる。玄関部分のタイル貼りのアールが施されているあたり、赤線地帯のそれを想像させられる。もしかして昔はそういう場所だったのか?

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その近くにはいかにもな佇まいのラブホテルも一軒あった。宿泊3600円から、というのは札幌の街中なのに随分なお値打ち価格。

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10丁目付近までやってくると札幌プリンスホテルの円柱タワーが間近に見えてくる。札幌駅前通から狸小路に沿ってここまで来ると駅一つ分の距離を歩いた事になる。最寄りは地下鉄東西線西11丁目駅。

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この少し先の所に戦後のドサクサ的なオンボロ飲み屋街が残っていてなかなか見応えがある。

狸小路商店街のアーケードをひたすら西に進み、南2条西10丁目のあたりまで来ると戦後の時代を彷彿とさせる凄まじく年季の入った飲み屋街が残っているのが見られる。都市開発が激しく周りをマンションにガッチリ固められてしまっているのが大都会札幌ゆえの宿命なので市内中心部でこうした昔ながらの平屋建てオンボロ横丁がそのまんまの形で残っているのはかなり珍しい。横丁の名前も表記されていない。

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未舗装の路地に5~6軒程の個人経営の小さな居酒屋やスナックがずらり。向かいが駐車場になっていて残念な感じの横丁なのだが、10年くらい前までは建物があったらしく取り壊されて現在の状態になったそうだ。昔は狭い路地の両側に飲み屋のネオン看板が連なっていたのだろう。よく見ると左から二軒目だけが若い店主のやってるカフェになってる。一見場違いそうで溶け込んでいるという不思議。

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一番奥にあった居酒屋は残念ながら2011年をもって閉店した模様。表に張り紙があった。こういうのを見ると虚しくなるね。

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ガラーンと広い駐車場になってしまった土地の向こうにも随分ボロい木造家屋が見える。角度のついたトタン屋根が北海道らしい。

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駐車場用地にあった物々しげな注意看板。いつもこういう注意書きには罰金払えと書いてるけど払ってる人を見た事がないのはさておき「雪の投げ捨て」が禁止項目にあるのが笑える。やっぱりここは北海道ですねえ。

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駐車場と化した土地にもこうしたオンボロ酒場が建っていて奥が袋小路になっていたらしい。横丁の名前がどこにも書かれていないので、何と呼ばれていたか調べたら「金玉横丁」という物凄い名前が出てきた。

これも厳密には昔「ひょうたん小路」と書かれた看板が上がっていたらしいが、金玉横丁とも呼ばれていたようで、どうにも話がややこしい。東京新宿の思い出横丁がしょんべん横丁で通っているようなもんか。

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狸小路1丁目が狸の頭だったら、ケツの10丁目であるここは狸の金玉という事か、単に袋小路になっていたから金玉呼ばわりされているのか理由は分からない。やっぱり札幌人のセンスはぶっ飛んでると感心させられた。棟続きになった個人の家屋がある。ここは所有者宅か。廃屋にはなっていない。

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横丁の入口、道路に面した側にある焼鳥屋、屋号の「鳥十」の「十」はたぶん10丁目の十なんだろうな。

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入口付近にはまだオンボロバラック風味な店の残骸がそのままの姿で立ち続けている。どの店も既に現役ではなさそう。「百番」と言えば大阪では飛田新地なんですけどね。

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この建物には4店舗が入居出来る造りになっている。やはり見た限りではもう既に役目を終えてしまったようだ。今や盛り場といったらみんなすすきのに一極集中だから、狸の金玉のままじゃ勝ち目がないんだろうな。

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ひょうたん小路から道路を挟んだ向かいにも金富士酒場という飲み屋がある。こっちも負けじと風情の濃ゆい店構えをしている。このへん一帯、酒場の看板がみんな「焼鳥」になっている辺り、さすが場末的空間らしい。

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戦後の札幌の街並みを残す貴重な一画も、そのうち再開発されて味気のないマンションやシティホテルなどに変わる時が来るのだろう。すぐ隣まで開発の手が伸びてきていた。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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