限界まで積まれ今にも崩れそうな壮絶極まりない産廃ゴミの山「沖縄のエアーズロック」を見に行きました

沖縄市

沖縄市北部一帯は米軍の「嘉手納弾薬庫地区」があり、戦後米軍に接収された土地が広大な弾薬庫地区にされ、沖縄返還前には大量の毒ガスが保管されていた事が発覚するなど度々問題が起こっていた。1972年の沖縄返還後、嘉手納弾薬庫地区の一部は部分返還が始まり、その土地は無法露天商地帯「ベトナム通り」になったり、黙認耕作地や産廃処分場、葬儀場や市営霊園といった嫌悪施設が押し固められるようになった。

沖縄市 倉敷ダム

沖縄市北部と言えばこれまで「ベトナム通り」なら何度か訪れた事があったのだが、そこから倉敷ダム方面に進んでいくと、突然目の前にどでかい禿山がそびえているのが見えた。あれは何だと気になって近づいてみたら、どえらい事になってました。

沖縄市 倉敷ダム

ベトナム通りや東南植物楽園がある場所から倉敷ダム寄りに北に約1キロ、住所で言うと「沖縄市池原」という地域になる。沖縄職業能力開発大学校(沖縄ポリテクカレッジ)がある方向からやってくると、この禿山が何なのかが一目瞭然で見られる。ただの禿山ではなかった。ゴミの山だった。

沖縄市 倉敷ダム

その巨大さたるや、是非現地で体感頂きたい程である。公道ギリギリまでの区画に高さ30メートルはあろうかというゴミの山が急角度で迫っているのだ。ちょっと信じられない光景である。どうしてこうなってしまったのだろうか。たまたまこの道を通りがかって、目の前のゴミ山が崩れてきてもおかしくなさそうな雰囲気すらある。素で怖いんですが。

沖縄市 倉敷ダム

どうやら民間の産廃業者の敷地になっているらしいのだが、案の定このゴミの山は地元でも問題視されていて、業者の名前で検索すると2010年の琉球新報の記事が出てくる。沖縄市は産廃規制条例案を出しているがその提案が遅れているという記事である。既に廃棄物の山は埋め立て容量を大幅にオーバーしていて、同社が焼却施設を設置しているにも関わらず、ゴミの受け入れを一方的に増やすだけで、一向にゴミ山を処分しようとしないと、地元住民の不信を買っているという。

沖縄市 倉敷ダム

まあ見るからに異常事態ですわな。何かの拍子で土砂崩れならぬ産廃崩れが起きたら悲惨そのものであろう。周辺では地下水の汚染も問題になっているのだ。しかし沖縄市の産廃規制条例が通れば、この産廃ゴミの行き場が無くなるぞ、というのは業者の言い分である。産廃の焼却施設は県内で4ヶ所しかないらしい。全国的に見ても人口増加率の高い沖縄特有の事情もあって、ゴミ問題の深刻さはちょっと看過できないレベルである気がするんですが。

沖縄市 倉敷ダム

少し距離を離してゴミ山を見てみると、まるでオーストラリアにあるエアーズロックみたいな形をしている。皮肉を込めて「沖縄のエアーズロック」と呼ぶ事にしよう。首都圏代表の産廃の山として有名な千葉県市川市の「行徳富士」もこのゴミ山には迫力負けである。こうして我々が見ている間にも、次々とゴミを積んだダンプカーがひっきりなしに往来している。空気も最悪だ。

沖縄市 倉敷ダム

で、このゴミ山エアーズロックから上流側に進むと、沖縄県民の水がめである「倉敷ダム」がある。戦後の琉球政府時代に作られた瑞慶山ダムの上に、本土復帰後の人口増加、水需要の増加に伴う水不足解消を目的に1995年に新たに整備されたダムらしい。

沖縄市 倉敷ダム

倉敷ダムの真ん前に公園と展望タワーが整備されていて、沖縄県民の貴重な水がめを観察する事ができるようになっている。この展望タワーも入場無料である。早速登ってみましょうね。

沖縄市 倉敷ダム

展望タワーの上から見る倉敷ダム(倉敷湖)。土地が狭い上に保水力のないサンゴ礁の地盤、台風銀座だし雨の日も多いし降雨量も多いものの常に水不足の危険性と隣合わせの沖縄での生活。街中でもよく見かけるでかい水タンクは土地の事情が反映されている。今ではこうしたダムも整備されてよっぽど困るような事も起きないようだが。

沖縄市 倉敷ダム

…それで、先程見てきたゴミ山エアーズロックはどこにあるのか展望台から見回すと…ありましたね。いかに巨大なのかこの展望台からもお分かり頂けるだろうか。ダムの水が巡り巡って県民の飲料水になる事を考えれば、あの産廃の山が気持ちのいいものではない事は誰が見ても明らかである。

沖縄市 倉敷ダム

沖縄の米軍基地も言う人に言わせれば「本土に押し付けられ」云々という話にもなるが、そんな狭い沖縄の中でも産廃処分場用地は「押し付け合い」の状況になっている模様だ。本来は行政がもう少し本腰を入れるべき問題なのだと思うが、どうも対応が後手に回っている印象。基地同様に置き場所に困る代物だけに未だ有効策が見出だせていないようだ。いつまでこのゴミ山がそびえ続けているのか、今後も目が離せません。


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