【水戸のトランプ城】茨城県水戸市天王町にある超有名廃墟「クィーンシャトー」を見物に来た

茨城県

茨城県の県庁所在地である水戸市にやってきました。JR常磐線で上野から特急で1時間ちょい、首都圏にも程近い場所だが東京通勤圏としてはキツく手前の取手や土浦ならまだしもここまで来ると地方都市の匂いが強い。

ただでさえ存在感の薄い茨城県の首都だが黄門様がいるお陰で水戸の地名と納豆の名産地という知名度だけはそれなりに高い。しかし実際に行く機会がなかったのですっかり存在を見落としていた。この水戸の街には「天王町」という裏名所があるというのに。

水戸駅から少し離れた水戸市の中心市街地である泉町まで行くと東日本大震災の度重なる余震で幾度と無くニュース番組の映像に登場し話題を集めた水戸芸術館シンボルタワーがそびえる茨城県屈指の都会じみた街並みが広がっている。

ここまで来ると天王町は目と鼻の先である。水戸を代表するデパート京成百貨店の立派な建物を横目に裏手の路地に入っていくともうそこが色街。

天王町に入るとコインパーキングだらけで歯抜けになった土地にソッチ系の店が点在しているのが見られる。ド派手で下品な常磐線最強の色街である土浦の桜町と比べると、どうにも寂れっぷりが否めない。

様々な業態をまとめてもせいぜい20~30店舗くらいか、確かに店はあるにはあるが流行っているのかどうか微妙な佇まい。やはり土浦を見た後だと期待外れかも知れん。

水戸のトランプ城「クィーンシャトー」

だがこの天王町のソープ街を一躍有名にしているのが高級ソープ店「クィーンシャトー」の廃墟である。訪れる前から既に存在を知っていたが、いざ実物を見ると相当でかい建物だ。

現在も地元では「トランプ城」の呼び名で知られDQNの肝試しや廃墟マニアの人気を集めていた物件だったが何度も不審火があり、建物の表側にはバリケードが築かれ侵入出来なくなっている。

敷地600坪に5階建てという超大型店舗で、まだソープランドが「トルコ風呂」と呼ばれていた昭和55(1980)年にオープンしたものの僅か数ヶ月で廃業したという曰くつきの物件。

さすが廃墟物件らしく建物の窓ガラスがあちこち粉砕されたままになっている。総工費8億円、店舗内部には一個8000万円もする黄金のシャンデリアが掛かっていたなどバブリーなネタが豊富にあるのだが、今のデフレ時代には考えもつかない発想で作られた店舗だ。

店舗前はどうやら月極駐車場になっているようである。こんな不気味な場所に駐車場を借りようとは到底思わないだろう、恐らくソープ店舗関係者くらいしか利用しておらずガラガラである。

クィーンシャトーの敷地の内と外を隔てるように植えられた木々は主を失ってからも生長を続けている。そこに月極駐車場の看板が寂しく立っていた。1ヶ月10500円。誰が借りるねん。

ソープ街にある「水戸大工町三業組合」

せっかくなのでクィーンシャトーの周囲も見ておくことにした。ソープ街の一角に建つ、一見地味でそのまま素通りしてしまいそうになる建物の存在。よく見ると玄関脇に看板がずらりと並んでいる。

4つ並んだ看板には錚々たる組合の名称が書かれていた。「水戸大工町三業組合」「茨城県料飲業生活衛生同業組合」「全国芽生会連合会・水戸芽生会」「フラワーコンパニオン」…これは一体…と固まりそうになるが、平たく言えば料亭の組合事務所ですよという話のようだ。

よく見りゃソープ街の奥に結構な佇まいの料亭が紛れていたりするし、地図で見れば分かるが有名な偕楽園も至近距離にあるのだ。厳密に今の住所では水戸市天王町がソープ街、大工町という地名はそこから外れて西側一帯を指しているが、国道50号を挟んだ北側の泉町三丁目と大工町一丁目に大規模なスナック街がある。

しかし天王町は遊郭跡ではない。昭和41(1966)年の風営法大幅改正で特殊浴場の営業禁止除外区域に指定されたのを皮切りに当時の待合が次々ソープランドに転業して形成された新興の色街なのである。ちなみに同時期に滋賀県の雄琴温泉にソープ街が突如出現した例がある。

かつては「大工町三業地」という名称だったが昔は鳥見町とも呼ばれていた。今の天王町で見られる花街らしい面影は廃墟のような佇まいの料亭が僅かに残る程度だ。


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