コザの老舗ショッピングセンター・プラザハウス

巨大な米軍基地を抱えるコザ(沖縄市)は、日本が置かれている軍事的状況の現実だけでなく戦後沖縄におけるチャンプルー文化の何たるかをつぶさに見る事が出来る沖縄県随一のDEEPタウンである。
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那覇から車を走らせて国道330号からコザの街中に入ると、これ見よがしにアメリカ料理レストランの看板がデーンと掲げられていて、もはや日本の風景とは程遠いものを感じる。


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走っている路線バスには「軍用地専門」の不動産屋の広告がのっけから見られたりと、内地の人間の常識では考えられないような風景がそこらじゅうに転がっている。
沖縄では「軍用地」はその約50%が私有地となっていて、投資物件として高値で取引されている。なんで自分で使えもしないどころか土地の場所すら確認出来ないのに売り買いされているのかというと、国から毎年安定した「借地料」が地主に支払われるからだ。(→詳細
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しまいにはそのへんの野立て看板にまで「軍用地求む!」などと広告が置かれていたりする。今の沖縄でも米軍基地への依存はなお消えてはいない。
事情を知らない内地の人間にしてみれば極左プロ市民のバイアスが掛かった報道を通して「米軍基地を偏に押し付けられて気の毒に、早く米軍基地が出ていけばいいのに」といった感想が出てくるが、沖縄と米軍基地との関係はそんな単純な二項対立論では済まないのだ。
基地が沖縄から無くなれば、年間900億円という国からの膨大な借地料収入で美味しい思いをしている人達はどうするのだろうか、そういう話になる。
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沖縄市の南側の入口、北中城村屋宜原との境目付近には「ライカム」という変なカタカナ名の交差点がある。ライカムとは「Rycam」、琉球軍司令部(Ryukyu-command)の略称で、今では司令部の施設も無くなって米軍住宅が広がっているが未だに地元民はこの周辺の事を指してそう呼ぶらしい。
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そんなライカム交差点のすぐ近くの国道沿いに「プラザハウス」といういかにもなショッピングセンターがある。なぜDEEP案内なのに郊外型ショッピングセンターを取り上げてるのかと言われそうだが、ここはちょっと事情が違うのだ。
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今や日本中でこういう風景が見られて食傷気味なのだが、ここは米軍住宅に隣接していて、そもそもが米軍の家族向けに整備された老舗のショッピングセンターになる。
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1954年7月からあるというのだからその歴史は非常に長い。今でこそ古さ故に陳腐化してしまって、なおさら北谷のアメリカンビレッジなど豪華施設が近所に出来てしまったものだから、存在感が薄れつつあるようだが…
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確かに何の予備知識もなく歩いてみると全国どこにでもあるごく普通のショッピングセンターでしかない訳だが、その原型とも言えるのがコザのプラザハウスなのだ。そう考えると感慨深く思えないだろうか。そしてこういう施設も「アメリカ文化」だ。
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プラザハウスの一角に沖縄県内にしか無いアメリカのファーストフードチェーン店である「A&W」がある。地元民には「エンダー」と呼ばれ、1963年オープンのライカム交差点近くの屋宜原店が第1号店。日本のマクドナルド進出以前より沖縄ではメジャーだった店舗である。
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そんなA&Wで昼食。飲み物はA&Wオリジナルで、ややドクターペッパー臭い炭酸飲料「ルートビア」が冷えたジョッキで出される。ハンバーガーもポテトも食ってみるとまあ普通だしひたすらアメリカの飯だなあという印象しかないが、日本では内地の米軍基地内を除けば未だ沖縄でしか食べる事が出来ないので、内地の人間にはある意味貴重な経験だ。
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あとは沖縄限定のメニュー「ベントーミール」なるものも売られている。ロコモコ丼とタコライスの間の子のような「タコモコ」。チェーン店だけに味はそれなり。話のネタくらいにはなるか。

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