コザ「沖縄市一番街」 (3) ゴヤ中央市場

1974年の沖縄市誕生と共に整備された胡屋十字路北西側に広がる大アーケード街「沖縄市一番街」は今では半ば廃墟化しながらもかつての栄華の名残りを留めている。
31-147.jpg
太陽の街、サンシティと言いながら陽の光も当たらない皮肉な老朽化アーケード街を外れてゲート通りに接する一角に商店街で最も古臭さを漂わせる「ゴヤ市場」が残っている。
とりわけ昭和レトロ感の濃厚なコザの商店街の中でもとりわけこの一角は「戦後」の香りが色濃く残っていて非常に印象深い。


31-149.jpg
そこには戦後の商店街創成期にあった「ゴヤ中央市場」の名称が刻まれたビルが未だに残っているのだ。傍目から見てもさっぱりオワコン状態だが何軒か地元民向けの天ぷら屋やら生鮮食品店がビル内で営業を続けている。
31-150.jpg
レトロ全開なビルの外観に負けない懐かしさを漂わせる「比嘉天ぷら屋」。天ぷらだけじゃなくて惣菜や弁当なども扱っている。ゴヤ中央市場創成期の昭和34(1959)年から続いている老舗店。
31-151.jpg
天ぷら屋の脇からビル内を抜ける通路に入る事が出来る。そこにはまだ半分近い店が現役で店を開けていた。コザのマチグヮーは老いてなお健在。
31-152.jpg
もはやこのような原色の下町的風景は那覇のマチグヮーを除いて他には殆ど見かけなくなった。あと10年後にはどうなっている事やら。
31-154.jpg
知念製菓、知花食品店、仲程食品店…どの店も屋号がなんとも沖縄らしい。
31-153.jpg
このゴヤ中央市場のビル内だけが辛うじて市場の機能を残していて、他は老朽化した薄暗いアーケード街にシャッターが降りたままの店が目立つといった所。
沖縄ならではの台風や雨を避ける為にアーケード街は非常に都合の良い仕組みだったが、そのアーケード自体が老朽化で撤去作業が迫られている。それも商店街の空洞化が酷く撤去費用を工面出来ずにいるそうだ。
31-155.jpg
仲程食品店の店先には野菜や果物、その他食料品が大量に陳列されている。寂れきった商店街の中でもここだけは元気な印象。
31-145.jpg
中央市場を外れた路地はかなり古いコンクリート家屋が連なっている。しかしそこを歩くのはくたびれた老人ばかり。だが一歩表に出れば米兵の溜まり場ゲート通り。隔絶された世界が隣り合っている。
31-146.jpg
人並みが絶えないと言われたコザの中心市街地も今訪れるとただひたすら静寂が支配するのみ。しかし建物だけは当時のまま変わる事がない。
31-169.jpg
ゲート通りに出ると、くたびれたアーケード街はそのままに周囲の店は殆どアメリカ人向けのものに変わっている。その様子はまるで別世界。土曜の夜なんかに来るとアメリカ人の若者集団が派手に「サタデーナイトフィーバー」である。
31-173.jpg
ゲート通りに面する「ゴヤ市場」のアーチは転じて地味の一言。隣の「上間てんぷら店」の看板だけがやたらド派手にアメリカ人向け店舗と張り合っている。
31-159.jpg
市場ビル内の比嘉天ぷら屋と同じく惣菜や弁当が充実している上間てんぷら店。沖縄庶民が愛して止まない「てんぷら」は安上がりに腹を満たせるソウルフード。そして揚げ物の摂取が多い沖縄県民は肥満率が高いのが実情。
31-158.jpg
ゴヤ市場の店舗一覧を見ると肉屋がやたら多い事に気がついた。「ゴヤ」とはゴーヤじゃなくて胡屋十字路のゴヤ、米兵が聞き違えて「KOZA」と読んでしまい地名が定着したネタ元である。

ORANGE RANGE コザ伝説 (RECO BOOKS)
富坂 剛
アールズ出版
売り上げランキング: 477784
沖縄風てんぷら粉 500g
沖縄風てんぷら粉 500g

posted with amazlet at 11.08.04
沖縄製粉
売り上げランキング: 51384
タイトルとURLをコピーしました