沖縄のアメリカ・コザ中央パークアベニュー (2)

かつては沖縄市(コザ)の中心市街地を代表していた商店街、中央パークアベニューの街並みを引き続き眺めていく事にする。
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どこを見回しても潰れたままの店が目立つ。閉まったままのシャッターには貸し店舗の広告が貼り付けられていた。立派に整備されたアーケード街が逆に商店街の風景を痛々しく演出している。


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こう見えても中央パークアベニューは戦後間近から開かれた商店街である。まだ米軍に土地を接収されていた1950年にこの一帯に「Business Center」の頭文字を取って名付けられた「BCストリート」が整備され、琉球人とアメリカ人が一緒に街づくりを始めた場所なのだ。
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一方で、終戦直後に駐留を始めた米兵による婦女暴行事件の多発を受けて市街地から離れた八重島に米兵相手の特飲街(通称ニューコザ)を建設したのも1950年。
BCストリートは特飲街を八重島に追い出した上で「健全な商売の場」を開くべく建設されたもので、当初は米兵相手の所謂「Aサインバー」が乱立していたが、やはり次第に夜な夜な売春婦が立ち並ぶ怪しい街へと姿を変えていったそうだ。
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名前を中央パークアベニューと改めた今となってはそのような怪しい街の名残りを留めるようなものも殆ど残っていない。あちらこちらに米兵向けのショップの残骸が見られる程度である。
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ただ中央パークアベニューを外れた西側の通称「保健所通り」の裏あたりには「ささやき通り(Whisper Alley)」と呼ばれていた怪しい場所があり、そのような昔話は叩けば色々出てくるのは確か。今じゃどこにあるか探すのも難しいが。
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車道沿いに設けられた停車帯の警告看板は英語併記。駐車場ではありません…と書かれているがむしろ利用者も殆どおらず実質駐車場状態。
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これ以上見るものもなさそうなので、時間を改めて、日が暮れた後に再度中央パークアベニューを訪れた。てっきりオワコン状態と思われるこの商店街の中にも来客が絶えない有名店が現役で残っている。
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パークアベニュー商店街の奥に店舗を構える「チャーリー多幸寿本店」。メキシコ生まれの沖縄育ち、1958年開業の老舗タコス屋。今では沖縄国際通りにも支店を構えていて、まあ有名店なのだが。
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もっともらしく玄関口には米兵向け飲食店のお墨付き「Aサイン」マークも貼られておりますですよ。店先には「TACOSの専門店 元祖」とあるが、他にも元祖と名乗る店があるらしく真偽の程は定かではない。
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…店内は意外にも観光客多し。あと謎のアジア系外国人によるマスコミ取材が入っていた。やっぱり有名店だった。
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直前まで腹を減らしていたので欲張って注文したタコス3種+タコライス+チリコンカンの「チャーリーズスペシャル」(1480円)に圧倒。一発デブメニュー必至である。大柄なアメリカ人には大した事のない量だろうが…
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テーブル席の横に置かれたコルクボードには来客者の記念カキコが大量に…それも紙ナプキンに書かれていたりする。どうでもいいけどストーカーじみた中年オヤジが別れた元妻?へ宛てたメッセージがあって寒気がした。
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中央パークアベニュー商店街を一番端まで歩くと緩やかな坂道の上のT字路に場違いな程大きなショッピングセンター「コリンザ」の建物がある。しかし殆どのテナントが撤退して今では100均と職安以外はもぬけの殻という酷い有様だ。しかも三セク運営で事実上の「倒産」らしい。(→詳細
それに商店街にはもう一軒「ニューヨークレストラン」という老舗ステーキ店があったがそれも近年になって閉店してしまっている。沖縄とアメリカの文化が混じり合った起点とも言える街は、時代の流れに押しやられて今にも消えてしまいそうだ。

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