【申年】桐生市が誇る老舗施設「桐生が岡動物園」のクモザルがオッサン臭過ぎて一目惚れした

群馬県

群馬県桐生市と言えば上毛地方に位置する人口11万3千人の街で、かつては織物産業で栄え今も市内各所に「のこぎり屋根」の工場の建物が残る風情豊かな街なのだが、街並みといいレトロ度数が高く素敵過ぎて何度も足を運んでいる。先日も再度この街に来る機会を得た。

群馬県 桐生市

桐生市街地に近い吾妻山の麓の土地に広がる市立「桐生が岡公園」。大正5(1916)年に前身となる町営公園として開かれてから今年で100年を迎える、街では世代を超えて親しまれている市民の憩いの場。園内には遊園地と動物園があるが、どちらも入園料は無料。駐車場すら完全に無料。非常に良心的。

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公園の入口から見える観覧車やコースターがどことなく昭和のレジャー感を盛り立てる「桐生が岡遊園地」。ここは休園日だったため入れず。また次の機会にでも入ることにするか。

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遊園地にはフラれてしまったので向かいにある動物園へ。道中の土産物屋や屋台の風情も含めて昭和的なのが良い。

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「日本一安い店かもね」と自称する公園内の玩具屋もまた昭和風情全開で来場者を出迎える。品揃えが全然イマドキではない。なぜか80年代アイドルのブロマイド写真が飾られているあたりもツボである。

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車で来ると遊園地がある側の駐車場に車を停めて動物園の北門から入る事になるが、本来は南門がある此方側が駅から徒歩で来る場合のアプローチになる。ピーカン晴れの日曜日ですが観光客でごった返している訳でもなく快適です。そこが観光不人気県群馬のいいところですね。

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公園内に置かれた年代物の航空機も気になる気になる。アメリカ製ノースアメリカンT-6機を真っ黄色な塗装を施して「まつかぜ号」の名で戦後に航空自衛隊の練習機として使われていたものを昭和41(1966)年に桐生市が教材として貸与を受け、当地に展示されている。つまり「貸与」されたまま50年経っている事になるようですが、まあいいんですかね。

群馬県唯一の公立動物園。しかも完全無料

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桐生が岡動物園も戦後の昭和28(1953)年4月に開設された古株の市立動物園。動物園の入口の看板もどこか古めかしい。国内初の鳥獣保護センターだとかいう話もあり、入園料無料、採算度外視の市営施設でありながら気合の入り方が違う。

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完全無料の市立動物園なのに125種類以上もの動物が園内各所に惜しみなく展示されているというのが「桐生が岡動物園」の特徴。群馬県内でもこのような動物園はここにしかない。飼育スペースは小さめだがしっかりペンギンもフラミンゴもいるしですね…

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動物園開設当初からいるアジアゾウ、それにライオン舎(取材当時は工事中で展示なし)まである本格っぷり。こちとら桐生市民でもありませんが本当にタダで良いのだろうか申し訳ないくらいである。

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自治体の財政難がクローズアップされる昨今、この桐生が岡公園に「税金が…」という野暮なツッコミが入らないのは、桐生が岡公園開設時から続く理念のようで、遊園地・動物園の運営は子供への教育環境を提供する市民サービスとして当然の事業として捉えているからで、また桐生市民も世代を超えてこの公園の存在を誇りに思っているからだ。施設は古いが、不必要に豪華にしないし、身の丈に合った運営をしている感はある。

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何よりここに偶然来る事になったのも、市内散策中に出会った某店舗のおやっさんが誇らしげにこの公園の事を紹介してくれて「行った事が無ければ是非行って欲しい」と猛烈にプッシュされたのがきっかけである。

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そんな桐生が岡動物園には小規模ながら水族館まである。何故か毒魚や肉食魚ばっかりなのがアレなんですが、ピラニアの水槽は髑髏が沈められていたりしてアングラ感満載な演出がまた良い。

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せっかく今年は申年という訳でございますので、園内中央に設けられたニホンザルの住まう巨大なサル山でも見物していきましょうね。最もヒトに近い霊長類の生物が暮らすサル山を人間社会と被って眺めると小一時間暇潰し出来そうな程に楽しい。

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新鮮な水が欲しいあまり水栓にまるごと腕を突っ込むニホンザル。これは人間社会に当てはめれば駅のゴミ箱で古新聞古雑誌や空き缶を漁っているホームレスのオッサンに近い立ち位置でしょうか。

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サル山のてっぺんではボス猿らしき一際図体のでかい猿が対立する相手をキーキーと歯茎と牙を剥き出しに威嚇する。これは人間社会では山口組の分裂問題に当てはまる事象でしょうか。この先ドンパチ騒ぎにならないよう願いたいものです。

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一方でサル山から外れたじべたに置かれた遊具に跨がりぷらーんぷらーんとマイペースに遊ぶニホンザル。これは人間社会では派閥争いや対人(猿)関係に嫌気が差して一定の距離を置いているニート、ひきこもりに近い部類の猿でしょう。

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ニホンザルもまあいいんですけど、桐生が岡動物園には「クモザル」も飼育されていて、ご覧の通り手足がすらりと長く常に樹上にぶら下がりながら動き回り暮らし、その様子が蜘蛛のように見えるからクモザルと名付けられておるのですが、全身がツヤのある黒い体毛に覆われてどことなくダンディではありませんか。

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しかしこのクモザル一家、まるで西成の釜ヶ崎にいる路上で酒盛りをしているホームレスのオッサンみたいな投げやりな格好をしているものもいる。ワンカップ酒でも持たせれば完全に一致。

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動物園で飼育されている時点でそれは宿命なのではあるが、野性を失った元野生動物というのはどこか、ドヤ街にいるような「仕事にあぶれてやる事が無くなったオッサン」に非常に近い存在に思えてならないのである。

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そんな人間臭さすら感じるクモザル一家を見物に、群馬県桐生市まで一度足を運ばれては如何でしょうか。新年は1月2日から開園していたようで、やはり気合入りまくっています。


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