元青線だとか色々言われる金沢・片町の「片町新天地」界隈をうろついている訳だが、新天地商店街を過ぎたさらに奥の路地にとんでもないバラック酒場が潜んでいた。
その名も「中央味食街」。平屋建てバラックの酒場が二列に連なる戦後のドサクサを想起させる風景は金沢加賀百万石のきらびやかなイメージとはまるで真逆の位置にある。16軒の個性的な一品料理屋や居酒屋などが立ち並ぶ金沢随一のDEEP酒場ゾーン。
その入口に立つと昭和三十年代の空気が訪れた者の顔を掠める。レトロ趣味なんて生易しいものではない。これはマジモンの「戦後」だ。粗末な掘っ立て小屋がそのままに立ち並ぶ酒場通り、恐る恐る足を踏み入れる事にする。
殆どの店が居酒屋か一品料理屋で、店舗の間取りはほぼ共通している模様。ガスメーターも各戸の軒先ににょっきり突き出ていたりして面白い。つーかこの店構えで都市ガスが通っているのか?玄関がやたら低いので、身長170センチ以上の人は頭を屈めないと入店出来ない。
てんでんばらばらに乱立する店の看板。屋号は経営者個人の名前から取ったものか、文字通り「気まぐれ」で付けたような名前の店もある。
それはいいが建物自体が微妙に後に傾いているような気がしなくもない。長年の時間経過で地盤沈下でも食らったのだろうか?
路地の奥へずんずん入っていく。やっぱり一見さんにはちょっと敷居が高そうな感じがするけど、天井が低そうなのは間違いないですね(笑)
横丁の最奥部は行き止まりとなっているが、随分綺麗な共同トイレが設置されていて、急に催したり吐き気が来ても思う存分リバースする事が出来る。安心して飲めますね!店よりトイレの方が建物がまともという奇妙な現象が笑える。頭屈めなくっても入れますよ。
だが中央味食街の二つ目の路地はあまりに狭く凶悪だ。すれ違うのも大変だが隣の飲食街の建物との敷地の境目にしっかり柵が設置されているから余計に圧迫感を感じる。
商売やりづらそうだなあ…と思う訳だがそれでもこの並びにも居酒屋が3軒営業中。出入りしづらい真ん中の方は空き店舗ばかりだった。
見ての通り凄まじい場末のバラック酒場なんだけど、ちゃんとしたホームページがあったりするので侮れない。どの店舗も全てカウンターのみで6人から8人入ると一杯になってしまう狭さだとか。
中央味食街と向かいの新天地商店街を挟んで土地が全てコインパーキングになってしまっていてガラーンとしている。昔はこの土地にも酒場が連なっていたのだろうか。
念の為にこの場所にも夜遅くに再訪を試みた。10年ぶりという60センチのドカ雪の前に営業している店自体が少ない。っていうか雪で屋根が潰れたり換気口が閉ざされたりしないものなのだろうか。
奥まで入って見てみようと思ったが心が折れてしまった。こんな天気でも飲みに来てくれる客は神様だよね。
目の前のコインパーキングもドカ雪で何が何だか意味不明状態。どこに車停めていいやら分かりません。雪国暮らしは楽じゃない。