【旧沖之村遊郭】南国・鹿児島市の火山灰臭い遊郭跡「甲突町」を歩く

今回レポートするのは九州最南端の鹿児島県。九州新幹線開通で関西から西側の住民にとっては特に行きやすくなった場所だが我々が鹿児島に着いた日は奇しくも桜島噴火で街中灰だらけ、散らばる灰をかき集めた黄色いビニールの「克灰袋」があちこちに置かれている異常事態。

鹿児島市民にとっては「また灰か…」とウンザリ慣れた感じで過ごしているがよそから来る人間にとっては活火山と共生している市民生活を目の当たりにする事自体かなり衝撃的な光景である。

火山灰がもたらす硫黄臭い匂いに包まれた鹿児島市街地を歩き、主要繁華街の天文館からさらに南に行った所にある甲突町にやってきた。歩いている間に火山灰が呼吸器系を蝕んで喉が痛くてしょうがない。マスク必須だなこりゃ。この甲突町こそが鹿児島市における旧遊郭地で有史以来薩摩男児のリビドーを一手に引き受けてきたピンクゾーン。

全国の遊郭跡がそうであるように、ここも例に漏れず鹿児島市内で唯一特殊なお風呂屋さんの営業が認められている特殊地域である。

甲突町は「こうつきちょう」と読み、近くを流れる甲突川が地名の由来となっている。薩摩藩が居た時期は鹿児島城の外堀と位置づけられていた場所、まあ昔から「町外れ」扱いされていた土地なんですね。

天文館から南下してパース通り、城南通りを跨いだ先が甲突町のソープ街になるが、この城南通りの両側にさすが遊郭跡らしく古ぼけたラブホがあったり妓楼の成れの果てや連れ込み旅館なんぞがちょいちょい残っているのである。

城南通り沿いにあるラブホの煤けっぷりが半端ない。長年桜島の火山灰を浴びてきたせいなのかどうかは定かではないが外壁がサビ塗れになっとるぞ。そのうち何かの拍子に落ちてきたりしないだろうか。

こうしたホテルにはありがちなガレージの目隠しも応急処置のつもりか知らんがどこぞのスーパーに掛かってるような「営業中」の幟を並べているだけというテキトーっぷり。こんなうらびれていて経営は大丈夫なんでしょうか。いや、大丈夫なんでしょうね。

そんなホテルに隣接した建物が遊郭時代の妓楼の成れの果て。現在はクイーンズヘナとかいうお店になっている。なんだかヘナヘナと気抜けしそうだが多分ただの美容室だ。

この建物の右半分にカフエー建築の名残を伺わせる豆タイル貼りの装飾が今も綺麗に残っている。地味だけど素晴らしい。現在は個人タクシーのガレージになってるようだ。

さらにもう一軒の妓楼がラブホの角を入った先に残っている。どうやら甲突町の遊郭跡で当時の物件が残ってるのはこの程度のようだ。

玄関部分の装飾はいかにもカフエー建築的である。今は使っている形跡がなく空き家のようだ。

さらに建物の横に目をやると…そこには廃業したビジネスホテルのネオン看板がデーンと横置きされているのだった。そう言えば甲突町もちょんの間旅館がいくつか生き残っているそうだが…

城南通りやソープ街の近辺を中心に何軒かこんな感じで古びた旅館が並んでいる。このうちどこが黒でどこが白か知らんが、ともかく鹿児島市内で唯一ソープ営業が許されている地区なので言わずもがなである。

この甲突町の遊郭跡、古くは江戸時代からの歴史があったらしく旧塩屋町沖之村の地名を冠した「沖之村遊郭」という名称で呼ばれていた事もある。

明治時代には当地に新開地が整備され、現在の鹿児島駅の場所にあった築地遊郭もこの地に移転して、後に常盤遊郭とも呼ばれるようになったとの事。戦後には赤線地帯に転じ、売防法施行を迎えた後の今日に至るまで鹿児島随一の男の歓楽街として栄えてきたのだ。

その沖之村の地名を残す物証が城南交番脇に置かれた「沖之村跡」の石碑である。沖之村と書いて「おっのむら」と読むそうだが読めねーよ。鹿児島人のイントネーションはよくわからんがもしかしたら「アッー!」も発音出来たりして。

現在も旧遊郭跡を取り囲む形でかつての廓の内と外を隔てていた甲突川と清滝川が流れている。甲突町の東の境目を流れる清滝川のあたりに来る。現在この辺はごく普通の住宅街になっていて特段見るべき所もないのだが…

この清滝川に架かる橋の名前は「思案橋」なのである。長崎丸山の有名な思案橋と同じくここも遊郭の内と外に跨って掛かっていたのだろう。行こか戻ろか思案橋。肝心の遊郭跡もソープ街もみんな橋の西側ですよ。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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