札幌の奥座敷「定山渓温泉」 (1) 健全な温泉街

札幌市の中心部から車で約25キロ、1時間足らずの山中にある「定山渓温泉」は日帰り圏内の温泉街として古くから札幌市民に親しまれてきた場所だ。幕末期に僧侶の美泉定山が開いた温泉宿が始まりで、戦後は慰安旅行の団体客を中心に繁盛を極めた。
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そんな場所にわざわざ訪れた我々取材班が見たかったものは、近年閉鎖され虚しく廃墟と化してしまったという「北海道秘宝館」の成れの果てを見届けておきたかったからで、温泉街そのものはオマケ程度にサクッと見ていこうという感じだった。


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豊平川上流に位置する定山渓温泉に辿り着くと、温泉街の中心に架かる月見橋の上から何軒ものでかい温泉ホテルの建物が川沿いに連なっているのが見える。月見橋は温泉街の有史以来何度も川の氾濫で流されたり老朽化などで架け替えられつつ、今の橋は5代目。
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北海道は温泉の宝庫で、道内各地に腐るほど温泉街が存在している。定山渓温泉もそのうちの一つだが、温泉ホテルの多くが慰安旅行なる昭和の時代の名残りからか団体客向けの仕様になっている為か、建物の造りも無駄に巨大である。
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温泉街のメインストリートに出てきたが、広い道路が綺麗に整備されていたりで、温泉街特有の猥雑さは感じない。北海道秘宝館もあったくらいだし温泉街らしくお父さんのお楽しみが無い訳なかろうと思う訳だが、残念ながら近年になって定山渓温泉からそういった不純要素は排除されてしまっている。
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月見橋を渡った反対側に申し訳程度に小さな酒場があるくらいで、ストリップ小屋だのピンク物件の類はどこにも見当たらない。射的やスマートボールすらない。いささか退屈気味な空間だ。
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道幅が広すぎるせいでやけにガラーンとした印象の強いメインストリート。土産物屋もこれまた団体客向けの広々とした店を構えている。慰安旅行の客が望めない温泉街で積極的に受け入れているのは外国人の団体観光客。なので北海道各地の主要な温泉街はどこに行っても中国人韓国人だらけというカオスな状況になっている。
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月見橋の先に源泉が湧き出ている湯の滝がある。それにしても肝心の観光客の姿はあまり見かけられない。もっと札幌から離れた登別とか洞爺湖温泉あたりの方が栄えている印象がある。ここも札幌の街からはかなり離れてはいるが住所を見ると「札幌市南区」になっている。まだ全然札幌市内なのだ。
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その向かいには定山源泉公園。温泉街を開いた美泉定山の生誕200周年を記念して2005年に整備されたという公園。メインストリートの石畳風の路面にしろこの公園にしろ、おしなべて最近になってこぞってインフラ整備がされた感じだ。
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公園の奥にはどこか渋い表情をした美泉定山の像。当然ながら定山渓の地名はこの僧侶の名前から来ている。
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人工的に整備された滝があっても全く風情もクソもない訳だが、公園内の滝にも美泉定山の名前を冠している。
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その傍らには温泉卵を付ける為のスペースが置かれていて、一人旅をしているらしい観光客がその前でじーっと待ちぼうけていた。今の旅行は団体よりも個人客、それも一人旅も多い訳で、温泉街は完全に時代の変化に対応しきれておらず行き当たりばったりなインフラ整備に終始しているという印象がある。
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どうでもいいけどこの人工滝の土地は立正佼成会のものだったのか。こんなプレートが岩の中に埋め込まれていた。宗教パワーは全国どこに行っても凄いですね。事情を調べるとどうやらこの土地には以前立正佼成会の保養所があって、土地が観光協会に寄贈されて公園になったらしい。
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我々は月見橋のたもとにあるひときわ古さが目立つ定山渓ホテルの日帰り温泉(一人千円)を利用した。豊平川が見える大浴場はこれまた無駄に巨大で、その割に入っている客が数える程しかおらず、ある意味リッチな貸切風呂に近い状態でいい湯を堪能出来ました。
月見橋付近にあった交通標語の看板。「とびだしは ぼくも車も どっきんこ」
どうでもいいけどこの看板、VOWかどっかで見た事がある。

昭和ストリップ紀行
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