造船の町・今治の裏名所「蒼社川」土手沿いに連なる不法占拠バラック家屋群

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今治市 蒼社川

土手沿いの道にはたまに住民のものと思しき自動車も停められていて、未だに人の生活がある事を物語っている。戦後70年に迫ろうとしているこの時代に、こんな川沿いの土手でどんな暮らしをしているのだろう。

特に生活臭が濃密な一画。平屋建ての民家の玄関は開け放たれ、そこからラジオの音が漏れていた。少し中を覗くと住民が使っている手押し車が置いてあるのを見た。独居老人の世帯だろうか…少し先の民家の玄関口から住民のお婆さんが出てきたのが見えた。

ガラクタまみれの民家の軒先、長屋の大部分は廃屋化しているものの、一部には未だに入居している住民がいる。ガラクタに混じって置かれた洗濯機はまだ汚れてはおらず、日常的に使っている痕跡がある。私物が干されたピンチハンガーまで吊るされている。

工具や砥石、コード類が家の軒先に大量に吊るされたお宅。稼業はやはり家電リサイクル業か何かなんでしょうか。茨城のケネディー電気のオヤジと対抗できそうな迫力を感じさせる。

今治市 蒼社川

一目見て廃屋なのか人が住んでいるのか判別不能なレベルの家まである。不法占拠バラック村での暮らしが長いと人生なんてどうでも良くなってしまうのかも知れないが、せめて生きてるか死んでるかの意思表示くらいはして欲しい気がする。

バラック小屋が立ち並ぶ目の前に蒼社川が流れている訳だが、そこには住民による家庭栽培もちゃっかり行われている。既に自給自足モードに突入している住民もいるようである。危険な川沿いでの暮らしだが、家のボロさを見る限りここ数十年間は水害に遭った痕跡はない模様。

今治市 蒼社川

さらにバラック村が築かれている土手の下に降りると、そこも不法投棄ゴミが大量にあった。長年放置プレイされているのか回収されている痕跡もない。河川を管理する愛媛県やバラック村の道路を管理する今治市の行政も、あまり係わり合いを持つ積極的な意思が見当たらない。

今治市 蒼社川

土手下の道路沿いにもバラック村の延長であるボロい民家が立ち並んでいるのが見える。この場所が戦後のいつから不法占拠スラム化したのか詳しくは知らない。だが戦後の愛媛県で復興が最も早かったのが今治で、それこそ駅前や港の闇市が勃興し栄えていたという歴史的経緯はあるにはあるのだ。

今治市 蒼社川

「神と和解せよ 聖書」のキリスト看板や不動産担保ローンの広告が貼り付けられたトタン張り家屋も玄関が開いたままで中から家財道具一式が丸見えになっているが、暮らしている人の物音がしない。昼間でも薄気味悪さを感じさせる。

不法投棄ゴミで溢れかえるトタン張り倉庫の残骸。かつて都市の底辺を支えた人々が生きた痕跡が平成も四半世紀が過ぎた現代にも生々しく残されているのだ。

さらに下流部の蒼社橋付近にも公明党ポスターと「自動車解体 スクラップ」と看板を掲げた業者の家屋が見られる。未だにこの場所は「現役」なのだ。今治は実に奥が深い街である。



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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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