函館駅前の裏名所!すこぶる怪しいスナック街「セキセン」を歩く

北海道

久方ぶりに北海道の地を訪れた我々取材班。前回の中途半端な日程で行く事が出来なかった函館なども今回舐め回すように巡って来た訳だが色々収穫出来たものがあったので当サイトでもじわじわ報告していきたい。

北海道の南の玄関口である函館市。神戸、長崎と並ぶ文明開化の地でもありかつては青函連絡船があり多くの道民にとって里帰りの中継地点となっていた街だが現在はもっぱら観光都市に徹している土地でもある。函館と言えば朝市だったり赤レンガ倉庫に五稜郭に函館山だったりGLAYだったりする訳だが我々の目的はそんなベタな観光資源ではなく函館駅近くに存在する末期的な赤線地帯の成れの果てをこの目に焼き付けておく事なのだ。

その場所は探し回るまでもなくすぐに見つかった。函館駅から少し北東方向に歩いた若松町24番地付近である。ここは駅前一等地にありがちな戦後のドサクサ闇市(有名な函館朝市も闇市発祥)から始まった赤線地帯として栄えたらしい場所で、特に遊郭跡という訳ではない。ちなみに遊郭は駅からもう少し離れた大森町にあった。早速函館駅からその場所に向かって歩いて行く事に。随分空き地が目立っている。

駅前の目と鼻の先にあるのっけから歯抜けだらけの微妙な土地の中にスナックやら飲食店がチラホラ建っている。うらびれた感が強いがこのへんはまだまだ当該地区とは違う。

高砂通りの一本西側の路地を北方向に歩いていくと突如として柳並木がアプローチとして現れる。いかにもこの先に廓ありと言わんばかりの光景。どうやらこの先にあるスナック街がそうだというのだ。

柳並木を過ぎた先のブロックに入ると路地はさらに細くなり、たまたまなのかわざとなのか知らんが路地の奥が見渡せないようクランクがある。柳並木といいこのクランクといいまるで吉原の見返り柳や衣紋坂を彷彿とさせる作りだ。その曲がり角のどんつきに質屋という配置が実に憎い。素晴らしいアプローチである。手前は町医者に処方箋薬局が並んでるだけで別に普通なんですけどね。

この絶妙な位置にいる質屋がたまらない訳なんですが古めかしい看板がなおさらいい感じ。質屋じゃなくて「志ちや」ですよ。思わず意味もなく中に入りたくなる衝動に駆られるが質草になりそうな手持ちの物がありませんでした。

その質屋のそばから砂利道の路地に沿ってくたびれたスナック店舗が立ち並んでいるのだ。見た感じではスナック街だが、ここは現役の赤線地帯でもある。地元では「セキセン」と呼ばれているようだがこれは「赤線」を音読みしちゃっただけなのかしら。

なお、この質屋の真正面にある「レンタルルーム」とやらがセキセンで働く女性達の”仕事場”になっているとの事。見た目には廃墟同然に放置された感じがしてこれまた汚らしい。ある一つの目的を果たす以外の何事にも使われない場所なのだ。

建物のボロさとは裏腹に雪国ならではの風除室のついたスナックの玄関口。しかしこういう場所で目にするとなんだか見た目の胡散臭さに磨きが掛かる。

店の横の壁にはかつて営業していたと思しき唄声スナックの看板。

実際訪れてみると先程のレンタルルームと同様半分廃墟になったような店ばかりで真昼間に歩いてみても誰も居ないし寂しい限り。

「十八歳未満おことわりします」と手書きされた紙が玄関ドアに貼られているスナック。出来合いのプレートではなくわざわざ手書きな所に深い意味を勝手に感じてしまう。

10軒ちょいの店がこの砂利道の路地にひしめきあっているがそのうち半数は廃墟になっている感じ。そしてその中でも「営業」をしているスナックは3軒くらいしかなく残りは純粋に普通のスナックという事らしい。

もうこのへんとか建物まるごと廃墟っぽいし…

そんな砂利道ストリートに連なる胡散臭いスナック街は若松広路を境に途切れる。駅前からさほど離れてもいないのにこれだけ寂れまくりで放置されまくりというのが凄いですね。

それ以上に目を引くのがスナック街の隣に広大な空き地が草ボーボー状態で放置されている事だ。昔の航空写真なんぞ引っ張りだしてみるとこの辺は家屋が隙間なくびっしり密集していた。それがじわじわ規模を減らしながらこの姿になったのか。函館の寂れっぷりは半端ない。

ともかくこの辺のスナック街が店を開けるのは夕方過ぎになってかららしい。それまで待とう。

お天道様の登っているうちには嘘のように静まり返っていた砂利道のスナック街も夜となればこの通り。雑草が伸びきった広い空き地を挟んだ向こうから観察すると艶かしいネオンが暗闇の中で輝いている。

そして結構な割合で客が出入りしている姿が見られる。店の前は椅子に座った客引きのババアが何人も座っていて雰囲気は完全にビンゴである。ちょくちょくガサが入って警察に捕まる経営者もいるようだが細々ながら生き長らえているのが「セキセン」の現状である。


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