秋田美人の言葉も川反芸者も昔の話となりつつあるらしい秋田の大歓楽街・川反には実に味わい深いバラック呑み屋横丁が各所に残っている。とりわけお勧めしたい横丁を何箇所か案内していきたい。
川反通りの五丁目にある「かっぱ小路」は戦後の川反の活況ぶりを思わせるレトロで猥雑極まりない飲んだくれ横丁。まず外観からしてこの迫力。やばい。これを素通りしろという方が無理だ。
手前の角にある居酒屋どぶろく屋がいいアクセントになっているのだ。「ここに秋田があります。」のキャッチフレーズもなんだか凄くいい。
かっぱ小路はコの字型の建物の中央に路地が一本奥へ伸びている。戦後の飲み屋街にはありがちな造りだ。十数軒程のスナックやバーが路地の中にひしめいている。
昼間のかっぱ小路は野良猫小路でもあった。人の行き来もない路地は猫の格好の溜まり場となる。ニャンニャン。ちょっと表情がやさぐれ気味なのがアレですが。
そればかりか子猫が勝手に繁殖しまくっていた。かっぱ小路は奴らの遊び場である。人間の存在も気にせずじゃれ回っている。
路地の途中にあるバー「ニューカジノ」。まるで場末の雀荘のような佇まいだ。店先の場所によって周囲の壁や装飾もてんでんばらばら、好き放題改装しまくっていて既に九龍城砦化している。
玄関周りが赤煉瓦の壁で飾られた「一枝」。路地が常に湿気っているせいか足回りが苔とカビだらけになっていて見た目にもカオス。
特にこの辺とか何の芸術作品なのと言いたくなるほどのテンションである。赤線青線めいたイメージを働かせるのだが別にそんなに不健康な飲み屋街ではない。
そしてかっぱ小路の突き当たりがこのバラック家屋。人ん家のような引き戸があるが店舗ではなさそう。家主の自宅だったりして。お化け屋敷かよ。「かっぱ小路」と書かれた看板がここにあるおかげで横丁の名前が分かったのだが…
夜訪れるとこれがまたいい雰囲気。酔っ払った地元民の歓談の声が路地に響き渡る。昔はこんな路地裏横丁が腐る程あったらしいがそれがどんどん取り壊されて無機質なビルばかりになってしまった。
路地裏に潜む店の数だけ光る個性と蛍光灯。半分くらいの店は潰れたままになっていたのが何とも…そのうち取り壊されたりしないように祈るしかないな。
かっぱ小路に近い路地には「川反五丁目小路」。戦後のドサクサ感では一歩劣るがそれでも雰囲気ある小料理屋やスナックがびっしり並ぶ。
カラオケの唄声が路地に轟く夜のスナック街。「五丁目」は川反の繁華街の中で最も盛り場が密集する一帯。秋田って寂しいイメージしかないけどここだけは違うね。
川反五丁目小路の看板に書かれたフレーズ「いつもあなたを待ってます。」はいわかりました。また来ます。
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