沖縄本島から東に360キロ、絶海の孤島・南大東島へフェリー「だいとう」に乗って行ってきた。(全2ページ)

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日本列島は狭い狭いと言われているが実のところは広大な自国海域を持った海洋国家で、我々が暮らしている列島から遠く離れた場所にまだまだあまり知られていないマニアックな離島が数多く存在している。冒険心をくすぐられる離島の数々だが、本土からの距離が遠かったり、または行ける手段が限られるなどで、難易度の高い離島というのがいくつかある。その筆頭格は東京から南に1000キロ離れた小笠原諸島で、空路はなく週1便のフェリーで片道25時間半掛けないと渡れない、圧倒的に遠い島である。しかしその次に挙げるとするなら、沖縄本島から東に360キロ離れた大東諸島であろう。

Minami and Kita Daito-jima (Okinawa Perfecture) view from plane

大東諸島は珊瑚礁の隆起によって生まれた島で、北大東、南大東、沖大東の3つの島で構成されている。明治時代に八丈島の開拓民が南北大東島に上陸して以来、製糖業を主な産業としてきた島であるのだが、人が住み着いてから僅か110年しか歴史がない。

人が定住している北大東島と南大東島へは、フェリーか飛行機で渡る事が出来るが、沖大東島は無人島で全域私有地のため、上陸は不可能である。飛行機の場合は毎日那覇空港から南北大東島を二往復している小型プロペラ機に乗って行けるのだが、運賃が片道24900円と馬鹿高く(往復だと割引が効いて31600円になるが、それでも高い)、お金持ちか島民割引の効いた南北大東島住民が主な利用客となる。

だいとう 行き先表示

ともなると我々観光客向けのアクセス手段としては那覇の泊ふ頭から出ているフェリー「だいとう」に乗って片道14~16時間掛けて島へ渡る、という選択肢しかなくなる。これなら往復でも1人10530円とお手頃価格。だが問題なのはフェリーの発着頻度と大東諸島特有の事情。

だいとう 泊港接岸中

まずフェリーは4日から6日周期の運航スケジュールで那覇と南北大東島を往復しているのだが、大東島側の港の構造上接岸が不可能で特殊な荷役作業が必要な為、海上の波が少しでも高くなると(目安としては3メートル以上)その日は欠航となり、すぐ運航スケジュールに遅れが生じる。この為に「気候が数日間穏やかで遅れる可能性がない」事を前提としないと1泊や2泊といった短期での来島は難しい。特に台風シーズンの時は島に1週間単位で缶詰にされてしまう事も起こり得る。

乗船予約もネット対応しておらず、大東海運のオフィスに電話を入れるか直接訪問の上予約するしかない。悪天候時は欠航するため、その都度電話が来て状況を連絡してくる形になる。

だいとう デッキ

結局我々が「だいとう」に乗船出来たのは、当初訪問予定だった日より2日遅れだった。泊ふ頭の最も奥の岸壁に停泊している「だいとう」は、絶海の孤島を目指す船としてはいささか小振りにも思える。南北両方2つの島を合わせても2000人そこそこしか住んでいない島だし、船のサイズもこのくらいが限度か。この日は午後5時を目処に、荷役作業が済み次第出港となる。

だいとう 船内

この「だいとう」、事前に聞いていた話では小型の船で非常に揺れが激しい「ゲロ船」であるという事であった。そりゃ長時間小型のフェリーが外洋の荒波に揉まれるのだから、既に覚悟はしていたのだが、いざ乗船してみると随分近代的で綺麗な船内設備。あら、随分イメージとは違ってますな。どうやら2011年5月に二代目の船に変わったばかりらしい。スタビライザー機能付きで横揺れには強くなったとの事。

だいとう 船内

船内はカップ麺や飲料の自販機、飲食用のカウンター席、喫煙室が完備されている。両サイドには座席が並び薄型テレビが壁に掛けられ、BS放送が常時見られるようになっていた。しかし片側は便宜的に「女性専用スペース」になっている。随分配慮が効いているようだが、島民はあんまり拘りもないようで、普通にオッサンが座ったりしている。特殊なのが「船内飲酒禁止」という決まり事。他の航路ではこのようなルールは聞いた事がない。過去に酔っぱらい絡みの大きなトラブルでもあったのだろうか。

だいとう 寝台

「だいとう」では乗客全員に寝台が割り振られ、船内中央に設けられた寝台は行き先別または女性専用スペースで三列に区切られている。一旦船に乗ったら翌朝まで過ごす事は確実な訳だ。一応ながらカーテンで仕切られて最低限のプライバシーは保たれる。滅多に満席になる事はなく、この日も半数以上の寝台が空きだったが、時折いっぱいになる事もあるらしい。船は那覇泊ふ頭を出港後、沖縄本島沿岸を反時計回りに進み、本島から360キロ東にある大東諸島目指して進む。その頃には波も荒くなってくるので、大人しく寝るしかない。

だいとう デッキ

まず「だいとう」の最大の特徴として、自動車の乗船口が存在しない。コンテナも自動車も、あらゆる荷物は全てクレーンに吊るして積み下ろしを行う。よって甲板上もこのような感じになる。常に屋外に出されている為、自動車も太平洋の荒波に晒されるのは覚悟の上だ。島民でない限りは車を積むような必要性もないし、島の旅館などがレンタカー屋をやっているので、観光客にはそれで事足りる。もう特にやる事もないし、この後は酔い止めを飲んでとっとと寝ときましょう。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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