沖縄にある神社ってどんな感じなのでしょう。琉球八社の一つ・那覇市「波上宮」をお参りしてきました

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沖縄を代表する色街「辻」のすぐ近くに波の上ビーチというのがある。那覇市内唯一の泳げる砂浜で、毎年海開きの間は海水浴客で溢れる健全な市民の憩いの場だ。

そんな砂浜を見下ろす高台の上に、沖縄では珍しい「神社」がある。琉球八社の一つにて沖縄県の総鎮守であるとされる「波上宮」だ。沖縄戦で焼失しているために境内の建造物は全て戦後のもので古さは感じさせないが、立派な鳥居に日の丸が掲揚されているのを見ると、沖縄もまた日本の一部だという事を実感させられる。

境内に足を踏み入れると、そこは確かに日本の伝統的な神社の様相を呈しているが、拝殿や手水舎の建物の作りは琉球建築のそれを取り入れているし、ガジュマルが生えていたりするし、どこか日本のようで日本じゃない奇妙な風景が広がっている。

時折参拝者が訪れる程度で、ましてや観光客が訪れるような場所でもないが、沖縄に来て「神社」があるというのは、信仰を失った現代日本人の意識の裏を返す事実と言えるのではなかろうか。波上宮は庶民の間にも「なんみんさん」と呼ばれ今でも信仰を集めている。

波上宮含む「琉球八社」と呼ばれる8つの神社は琉球王国の時代から存在し、特別な扱いを受けていた。500年以上も前から沖縄には神社が存在している事になる。

拝殿横に建立されているのは明治天皇の銅像。沖縄は皇民化政策で国家神道を押し付けられ云々といったイメージがどうしても先に出てくるのだが、沖縄の神社ははるか昔の琉球王朝時代に日本から渡来した信仰が琉球王国に根付いて琉球独特の御嶽信仰にも結び付けられて形作られてきたものだ。

沖縄の青空の下、極彩色が映える立派な波上宮の拝殿は、真っ赤な琉球瓦の屋根こそ沖縄のそれだが、中身は本土で見かける神社のそれと全く変わらない。沖縄の神社の多くが熊野権現を勧請している。

ちなみに沖縄の神社では本土のように明治時代の廃仏毀釈で寺が破壊されたという事もないので、大体は神社に寺が同居している。波上宮の隣にも別当寺として建立された波上山護国寺がある。

神社にはお決まりの狛犬も波上宮では完全にシーサーそのものである。もちろん阿吽両方揃っている。

シーサーと狛犬も琉球と日本の文化がごっちゃになって、最初に屋根の上の魔除けに乗っていたものが狛犬と同じ扱いをされるようになった。シーサーと狛犬の違いを簡潔に400字以内で説明しろといきなり言われても説明出来る人がどれだけいるのか。

絵馬掛け場まで律儀に置かれている所を見ると本当に日本の神社と何も変わらない。合格祈願の絵馬が割に多い感じ。

毎年5月には「なんみん祭」が開催され、沖縄では珍しく神輿が街を練り歩く。波上宮の神輿は沖縄戦で焼失していて、戦後に地元有志で神輿を復活させたが担ぎ手の不足などで長年神輿担ぎが実現しなかったらしい。

波上宮の境内を出て海側に回ると目の前には「波の上ビーチ」の入口がある。付近にはシャワー室や脱衣所まであって、整備された海水浴場という感じだ。

沖縄に来たのが3月半ばだったので波の上ビーチはまだ海開きがされていない状態だった。人の姿もまばらである。例年なら4月頭には海開きを迎え、10月末まで泳げる。沖縄の夏は長い。

沖縄に来て初めて海が見れると、リア充っぽくちょっと胸踊りそうになる瞬間だが肝心のビーチは臨港道路の橋に阻まれて御世辞にも開放的とは言えない状態。残念ながらスイーツ女子好みな「美ら海」は本島北部だ。

猫の額程しかない波の上ビーチの砂浜の先には琉球石灰岩の岩山に築かれた波上宮の拝殿が見える。こうして見るとなかなか奇妙な自然の造形である。

そのごつい岩山の足元を見ると…岩肌の中の洞穴に入っていく人の姿があった。ちょっとビックリ。素足で岩山をよじ登って穴の中へ潜っていった人は何をしようとしていたのか…

どうやら波上宮の下には自然の洞窟が隠れているらしく「波上洞穴遺跡」という古代の墳墓でもあり、その中に御嶽がひっそりと存在しているらしい。むしろ御嶽が洞窟の中だったり、その御嶽のある場所に神社が作られる事も多く、沖縄の神社には境内に自然の洞窟を持つものも多い。この人は洞窟の中の御嶽に拝みに訪れたのかも知れない。だとしたら凄い信仰心だ。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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