札幌二条市場食堂街・カラオケ居酒屋横丁

北海道

札幌屈指の繁華街「狸小路商店街」のアーケードを東へ抜けると、その先は創成川通となる。

通りの名前にある創成川は幕末期に札幌の都市開発で作られた人工河川で豊平川から分岐して市街地に流れる川。それが札幌の街中を南北にぶちぬき並行する道路は都心の動脈の一つとなっている。

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この創成川通を挟んだ東側が二条市場であり、さっぽろテレビ塔や大通公園などに至近距離となるため、やたら観光地臭が強い。狸小路商店街が札幌市民の溜まり場になっているのとは対照的。

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そんな創成川の隣に有名な二条市場がある。狸小路と同じく明治期より存在し確かに歴史もある札幌市民の台所なのだが近年はもっぱら観光市場と化していて北海道の海の幸を食べようゾーンになってしまっている。築地市場北海道バージョンといった所だ。

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二条市場の中に入っても、うーん…いかにもな感じしかしない。ここは観光客に任せておいてとっとと出ていく事にした。

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裏側に出てくると、そこはやっぱり歴史と伝統を誇る札幌市民の台所らしく市場らしい風情が残っていたりするのだが生憎ながら今回の目的は市場ではない。

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創成川の上に作られた公園は観光客がくつろぐオープンカフェ状態になっていて何ともいかにもな感じである。しかし近年は北海道旅行にやってくるのが中国人ばかりらしく、時々日本語じゃない会話が聞こえてくる。

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創成川の川べりもアンダーパス工事が完成し綺麗に造成されてしまった訳だが創成川通の東側でも再開発が盛んになっていて最近じゃ「創成川イースト」だなんて呼ばれていたりするらしい。まあ何ともいかにもな感じ。綺麗な街並みよりゴッチャゴチャしたのが見たいけど札幌じゃ贅沢な注文だろうか。

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二条市場も観光カンコーし過ぎでどうにも触手が伸びないので最初は行くのをやめて狸小路に引き返そうかとも考えていたが、創成川通から見える脇道が随分そそられたので、やっぱり行く事にした。

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観光客が殺到する二条市場だがその横っちょの路地は随分とうらびれた空間になっていてギャップが凄い。そしてよく見ると貧乏臭い居酒屋とも大衆食堂ともつかない店が何軒も路地裏に連なっている。

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どの店も市場関係者御用達にも思えるがまるでドヤ街のそれに近い雰囲気。この一角に限っては現場仕事の汗臭い男の世界独特のむさくるしい空気を感じる。例えるならば西成の街角を歩くようなそれと同じ空気だ。

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しかもどの店も家庭的で古い店構えをしているので観光客は近寄りがたいだろう。「ババちゃん」は食事も酒飲みもカラオケもいける多機能型居酒屋。店構えの場末感は創成川通のオシャレ風味とは真逆の立ち位置にある。

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店の横にはなんだかよく分からないポエムが…昭和男のロマンが剥き出しになった歌は見捨てられたように平成の街角に沈んでいるといったところ。何が言いたいのか知らないけど男は太く短かく!だそうです。いや、竿は長い方が喜ばれるだろ。この謎看板の存在が路地裏の男臭さにさらに拍車を掛けている。

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二条市場横の路地にはこんな感じのとても一見さんには入りづらい居酒屋が数軒密集している。どの店を見ても店先にご親切にメニュー表やサンプルケースなんぞが置かれている訳でもない。

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二条市場食堂街と呼ばれているそうだがどう見ても居酒屋ばかりしかない。もちろん食事もオッケーなんだろうがもっぱら市場の人が普段使いしているような感じ。二条市場の中はいかにも観光客向けに海鮮丼ばっかり売ってる店があるけど全然別世界だな。どうでもいいけどピースボートのポスター多すぎ。

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カラオケ居酒屋も多いので時間帯によっては日も暮れる前からカラオケの音とオッサンの歌声が路地に響き渡るというカオスな事にもなる。まるで札幌の片隅に存在する「プチ西成」である。

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