志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所

鹿児島県

日本全国津々浦々、変な地名というのは沢山あると思うが鹿児島県の志布志という街はかなり開き直っている。「志布志市志布志町志布志」という実在の地名がある事で珍地名愛好家の中では知られた場所だ。一般的には東京や大阪からのフェリー航路があり、海上自衛隊の寄港地でもあり、志布志事件なる県議会選挙がらみの冤罪事件でも有名な街。

この志布志というのは鹿児島県本土側東部の外れにある街で県庁所在地の鹿児島市からは100キロ離れているが隣の宮崎県日南市や都城市からは50キロ以内の位置にあり、生活文化圏的にも宮崎県の影響が強いらしい。

我々取材班は大阪南港から毎日出航しているフェリーに乗って一晩掛けて志布志港に辿り着き、その足で志布志市役所志布志支所という建物を目指した。何のことはない、ただの市役所庁舎である。

なんでもこの志布志市という名前の自治体は2006年に曽於郡志布志町と周辺の松山町、有明町の三町合併によって誕生した割と新しい市になる。人口は3万2千人とさほど大きな街ではない。

志布志市役所の正面に掲げられた看板には新しい志布志市の清々しいまでの開き直りっぷりを見る事ができよう。

「こちらは、志布志市 志布志町 志布志の 志布志市役所 志布志支所です。」

これが千葉県市川市市川の住民もびっくりの日本最凶クラスのゲシュタルト崩壊地名。そのままだと目がチカチカして読みづらいので色を変えたり字間を空けたり工夫しているが、「志」の字が10個もある上に「布」と「市」の字も似ているので余計に目がチカチカしてしまう。

それにしてもなんでこんな地名になってしまったのだろう、看板の下半分の所に志布志の地名の由来がある。

中世の時代、この地を訪れた天智天皇に布を献上した滞在先の主人の妻と召使いである女性二人に対し、その志に感激した天皇が「上からも下からも志として布を献じたことは誠に志布志である」と言ったのが地名の由来らしい。そんな伝説にあやかって「志あふれるまち」というのが志布志のスローガンになっている。

この市役所の周辺が「志布志市志布志町志布志」となっているらしい。志布志の街の中心だ。自治体合併で宛名書きの時に書かなければならない「志」の字が2文字増えた事になる。志布志市役所志布志支所の職員など職業的に宛名書きを日常的にしている人にとってはどう思ってるんだろ、これ。

市役所前で志に溢れながらはしゃいでいるだけでも芸がないのでとりあえず志布志の街並みがいかに志に溢れているのか見に行く事にする。

市役所の南西側に志布志駅がある。しかしこの駅、日南線の終着駅なので鹿児島方面には行かず宮崎方面に一日10本くらいの電車しか出ていない。志布志線と大隅線というのもあったけど国鉄再建法によって廃止されてしまった。

駅前には広大な駐車場を備えたショッピングモール「サンポートしぶしアピア」があり目の前の大通りは廃止された旧志布志線・大隅線の線路跡を通っている。しかし外を歩いている住民の姿は全くない。第一、外は糞暑いし日光を遮るものもないし。

そこから北側の一画が志布志市志布志町志布志における歓楽街である。ようこそ志布志銀座街へ。志布志だけに渋し、と言いたかったけどあんまりそうでもない。古めかしさも感じないが小規模ながらそこそこなスナック街が形成されている。

あんまり銀座っぽくない銀座街だなあと思いながら歩く。ビルの壁面にでかくTOGETHERと書かれているこちらのスナック街、銀座通の名前が書かれたネオン看板がぶら下がってる。うーん、やっぱり銀座っぽくない。南国っぽいけど。

どうでもいいけど志布志のスナック街では「TOGETHER」の読みはツギャザーだったのか。ユーもシブシのツギャザービルでツギャザーしようぜ!(←ルー大柴の声で脳内再生)

そもそも志布志市志布志町志布志なんて地名に付けちゃうような土地柄だからか知らんがスナックビルも店舗の名前もあちこちキテるんですが。めるとダウン。何か炉心溶融してんのか。「めると」だけ平仮名なのも謎。

そんなちょっとズレたセンスを感じなくもない志布志市志布志町志布志のスナック街、志布志港が海上自衛隊御用達の港という事もあって店先には「自衛艦歓迎の店」のステッカーが貼られている店がとても多い。

志布志の街中を見てても自衛官募集の広告看板をあちこちで見かけるし、このへんは自衛隊への就職率が凄く高そうな気がするな。志溢れる志布志の街はたぶん国の防衛に対しても志高い街であった。


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