悲報!名古屋・中村遊郭の妓楼建築「長寿庵」(名古屋市都市景観重要建築物等指定物件)が解体されていた!

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名古屋市中村区に存在する「中村遊郭」跡…名古屋駅の西側にあり、大須旭遊郭が移転して以来、大正12(1923)年からの歴史を誇り、戦災を潜り抜けて未だに現役の色街として生き続けている場所。そんな中村遊郭は全国に残る遊郭跡としては屈指の見所だと思っているのだが、先日この場所にまつわる悲報を耳にした。

名古屋市 中村

旧中村遊郭に残る現役時代の妓楼建築の一つで、その建物が長らくそのままの形で残されていた「長寿庵」。この建物が解体されてしまったというショッキングな一報を聞きつけて、急遽現場を再訪した。旧中村遊郭のほぼ中心、ピアゴ中村店のすぐ北東側にあった建物だ。

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早速だが現在どうなっているか結論から伝える。これが2014年11月時点の「長寿庵」が建っていた土地の姿。弁柄色の凛々しい姿を留めていたはずの建物は、既に跡形も無くなっていた。背後には総合病院「鵜飼病院」とその系列の中部看護専門学校の建物があり、長寿庵があった敷地に残っているのは、かつての妓楼の回りにあった二本の樹だけである。

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更地となってしまった長寿庵の解体跡も現在工事中で、いずれ鵜飼病院に関係する何らかの建物が出来上がるようだ。これでまた一つ、中村遊郭の歴史の証人が消え去った事になる。

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で、結局「死亡確認」をした以上は何のオチもないレポートなので、まだ長寿庵が残っていた当時の写真を数点掲載する。中村遊郭跡を見に訪れた遊郭跡探訪マニアが必ず目にするであろう、長寿庵玄関横の美人画も今や幻のものとなった。

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この長寿庵の所有者も隣の鵜飼病院の院長で、建物の保全に理解を示し、個人宅として使い続けていたと聞いている。ゆくゆくは中村遊郭の資料館にするとか何とかいう話もあったらしいんですが、結局それも実現する事なく、あっけなく解体されたことになる。

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長寿庵という、一見蕎麦屋のような屋号は、実は当時からの屋号ではない。遊郭時代の屋号は「千壽」であった。「千壽」は中村遊郭では派閥の一つで、妓楼の屋号が掲載された当時の地図を見ると「宝千壽」だの「栄千壽」だの系列店がいくつかあった事が分かる。その当時の鬼瓦が建物玄関横の角に展示されていたが、これも建物の解体で姿を消した。

名古屋市 中村

名古屋市指定「都市景観重要建築物等」の銘板もその鬼瓦の前に据え付けられていた。平成5(1993)年10月指定。碑文には遊郭がどうこういった具体的な表記は一言もなく、ただ「市民のみなさんに親しまれ、すぐれた景観をつくる上で重要な存在となっていることから」などと、すっとぼけた文章が刻まれていた。遊郭建築というジャンルは、伊勢の麻吉旅館や大阪の鯛よし百番のように国指定登録文化財となるケースも殆ど無いし、そういう指定を受けたからと言ってもきちんと保全される保証もない訳で、こうして取り壊されるのももったいないけど宿命なんですかねえ。

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長寿庵の建物は中村遊郭成立当時からあるものだが、本来はこの建物の北側に棟続きに二つ並んでいたもののうち一つだけが残されたもので、1992年に修復が加えられている。これが解体された事で、旧中村遊郭に4つあった名古屋市指定「都市景観重要建築物等」の建物は旧松岡旅館と料亭稲本の二ヶ所だけになった。ちなみに残る1つの「料理旅館大観荘」は2003年に解体されている。

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ところで今回遅まきながら気づいたのだが、旧中村遊郭の東側の区画にある古ぼけた一軒の喫茶店「ロビン」の店先の前を通り掛かったんですけど…

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店の二階部分の四角形の模様が「中村遊郭の街路」を示しているのではないかという事に今更気が付いた。おまけに中央部分は開き窓になっているという芸の細かさ。ただ、喫茶店のご主人は「街路説」を否定してるらしいんですが…


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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