こびりつく昭和!炭鉱住宅が立ち並ぶいわき市内郷「野間食堂」の200円ラーメンを喰らう

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福島県は東日本大震災と原発事故の影響で洒落にならない状態になっているが、いわき市は原発30~50キロ圏内にありながら比較的線量が低い。

震災以降長らく営業を休止していた常磐ハワイアンセンターもといスパリゾートハワイアンズも11ヵ月ぶりに完全再開したばかりで、その事もあってたまたま映画「フラガール」を観てるうちにふらっと現地を訪れたい気持ちに駆られた。

今回訪れたのはスパリゾートハワイアンズに程近い、いわき市の内郷という場所。石炭がエネルギーの主力だった1960年代頃まで、福島県南部、茨城県北部一帯は「常磐炭田」と呼ばれ首都圏に最も近い鉱工業生産地として栄えてきた。

映画「フラガール」の舞台も1970年代だし、その頃には石炭産業自体も映画で描かれていた通りに相当衰退しているのだが、ところが現実には人が住んでいる炭鉱住宅だけは至る所にゴロゴロ残っているのだ。

内郷宮町にある宮沢団地は、常磐炭田が現役だった頃の炭鉱町の名残りを留めている。まさに「フラガール」の炭鉱住宅そのまんまな風景がある。ちなみにあの映画の実際のロケ地は北茨城市。

谷間の奥まった崖下に作られたオンボロ長屋の炭鉱住宅、さすがに半数以上は空き家になっているのだが、まだ住民が一部残っている。しかも家屋の補修がトタンを張り合わせただけの状態。リアル昭和枯れすすきであり非常に哀愁をそそる。

ボロ長屋が5棟連なっているが、長屋の脇にはそれぞれ共同便所が備え付けられている。つまり部屋の中にトイレがないという事だろうか。凄い。

そしてトイレは当然ながらボットン便所である。住民がかなり減ってしまった為に使われている様子はないと判断した。何故なら全く「臭わなかった」のだ。

しかし別の場所にあった小便器は酷い悪臭がした。こちらはまだ使われている模様。コンクリートの壁に向けて放尿する昔ながらの簡素なタイプの共同便所だ。

ボロ長屋を後にして宮沢団地の手前まで戻ってくると、こっちは比較的まともな住宅が並んでいる。あの長屋を見た後では「改良住宅」という言葉の意味が沁みるほどに理解出来るというもの。しかしこっちもなにげに空き家が多そうだ。

この通りすっかり鄙びた炭鉱住宅だらけの下町ゾーンで、まともに飯を食える店もなさそうに思えたのだが、どっこい地元に愛され続ける大衆食堂が存在するというので、ついでに寄る事にした。その食堂は団地を外れた路地にひっそりと佇んでいる。

あの炭鉱住宅に負けず劣らずの古びた平屋建ての店構えに、ヨレヨレの暖簾がぶら下がっただけという衝撃的な光景。この店こそがいわき内郷の歴史の生き字引的存在「野間食堂」である。

至って簡素な木造建築。店構えの見た目とは裏腹にかなり客が多いらしく、中で老夫婦がひっきりなしに作業している。

ヨレヨレの暖簾を潜って店の中に入ろうとしたら、店主の爺さんが出てきて路地の向かいの建物に案内された。どうやら他の客がいて客席が開いていなかったようだ。

靴を脱いで座敷に上がる。まるで人の家に上げてもらったような感覚だが、中に入ると部屋が凄まじい状態。畳はふにゃふにゃだし、なんでか周りはベニヤ板で覆われている。あと建物自体も傾いているのだ。あの地震で相当ダメージ受けているに違いないが一応「全壊してない」ので、まだ使えると判断しているのだろうか。

どうやら野間食堂は出前の客がかなり多いようで、店先にはバイクと岡持ちが常駐してある。爺さんは店構え同様にかなりお歳を召しているようだが、東北の男らしく無口ながらもキビキビと仕事をこなしている。その合間にラーメンを注文する。

気になるメニューはベニヤ板の壁に無造作にベタベタ貼りつけられている。日本語が微妙に不自由なのか「かレライス」になっているあたりもポイントが高い。何より注目に値するのが驚きの価格設定。

ラーメン200円、玉子丼とカレーライスは300円、チャーシューメンや親子丼は350円。一番高い鍋焼うどんでも500円止まりである。今どきの激安チェーン店でもあり得ない。昭和40年代で物価が止まってるのだろうか。

出前対応のため常時ヘルメットを被ったまま仕事をしている主人が岡持ちに入れてラップに被せて持ってきた200円のラーメン。非常にオーソドックスな醤油ラーメンであり、乾いたペラペラのチャーシューとナルト、少量のネギといった控えめな具材。素朴な味がした。

しっかり食べた後にお勘定を済ませたが3人で入っても千円で釣りが来るような店は今どき無いだろう。それにしても物凄い空間である。ちなみに壁際に置かれた石油ストーブはセルフサービスとなっております。しかもスイッチが壊れてるので自分でライターを使って火をつける必要がある。

店主は忙しそうだったしゆっくり話を聞ける状態でもなかったので、今回はさっさとラーメンだけ食って出ていった。ともかくこの街並みを見るだけでも価値がある。是非お勧めしたい。

野間食堂

昼総合点★★★☆☆ 3.5

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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