北海道十勝の秘境に存在する孤高の温泉宿「幌加温泉 湯元鹿の谷」

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言うまでもなく開拓の地である北海道の奥地というのは軒並みとんでもない秘境で、その割には高速道路網の整備が進んでいて、よく車より熊の方が多いとか弄られる訳であるのだが、今回は幌加温泉という場所を訪れた。温泉天国の北海道において、非常にマイナーな温泉地の一つでしかない場所だが、とにかく立地が半端無く秘境過ぎて、行くのも大変だったし行ってみたらみたで色々壮絶な場所で妙に記憶にこびりついたので、ここでレポートする。

上士幌町 タウシュベツ橋梁

住所で言えば「北海道河東郡上士幌町幌加」となるこの土地、帯広から大雪山系を跨いで旭川に抜けるという国道273号沿いに近い場所にあるのだが、帯広から片道1時間半、旭川から2時間程度の距離に位置している。周囲に集落も全く存在せず、陸の孤島となっているような場所だ。道中、糠平湖の横を通り抜ける事になるのだが、あまりに道のりが長すぎてだれてしまったので休憩中。

上士幌町 タウシュベツ橋梁

糠平湖は旧士幌線のコンクリートアーチ橋(北海道遺産選定)のタウシュベツ橋梁がある事で知られている。国道側から車を止めて湖畔越しに廃橋を眺められる展望台があるというのでそこまで歩いてみることにする。鬱蒼と生い茂る森が一部開かれている箇所があり、明らかに廃線跡である事が分かる。これが旧士幌線というやつか。

上士幌町 タウシュベツ橋梁

周りにあまりに何もなく、国道さえなければ原生林に近い環境だけの場所はある。熊出没注意の立て看板が至る所にあってリアルに怖い。札幌でさえヒグマが出てきてしょっちゅうテレビのニュースになってるくらいだからこんな場所、いつ熊さんに出会うかわからんぞ。

上士幌町 タウシュベツ橋梁

ビクビクしながら林道を200メートル程進むとタウシュベツ橋梁が見られる展望台に行けるらしいんですが…熊よけの鈴くらい付けてから来た方が良かったかもな。

上士幌町 タウシュベツ橋梁

…で、幻の廃橋とやらは…殆ど水没してしまって見えません。ちなみに7月初旬でこの状態。
糠平湖は発電用に戦後整備された人造ダム湖で、季節によって水位がかなり変わる。3月から5月くらいまでに来ると雪解け水もあまり無いので、橋全体が見渡せて、まるで古代ローマの遺跡のような勇姿が見られるとの事。

Trecking to Taushubetsu

ちなみに湖の水位が低い時にはこんな感じになる。年々風化が激しくなっていて、一部崩落が始まっているらしい。見に行くなら早いうちがいいかもな。

上士幌町 幌加温泉

糠平湖からさらに三国峠・旭川方面へ8キロ程行き、そこから脇道を2キロ程入った所で、ようやく目的の幌加温泉とやらが見えてきた。ここは本当に隔絶された土地。温泉宿がたった2軒あるだけで、その他には何もないのだ。温泉街と呼べる程の規模もなく、実際訪れると板張りのボロい建物が数える程あるといった状況。

上士幌町 幌加温泉

「大雪山国立公園 天然の温泉 山峡の仙境ホロカ温泉」と書かれた、非常に干からびた看板。温泉宿は2軒あるのだが、そのうち1軒の「ホロカ温泉旅館」は館主がお亡くなりになられてしまい2011年1月から休業してしまっている。

上士幌町 幌加温泉

したがって現在ここ幌加温泉で営業している旅館は「湯元鹿の谷(かのや)」ただ一軒のみとなる。やはりくたびれ方が凄まじい。どこぞの登別や洞爺湖あたりとは違い観光客がこぞってやってくる事もなく、とにかく静かだ。

上士幌町 幌加温泉

来たはいいけど本当に温泉に入れるのか…と半信半疑のまま玄関口を開けると、奥から婆さんが1人出てこられた。人が居てよかった。極度に人里から離れた場所にあって、ここに人が住んでいる温泉宿が一軒だけぽつんとあるというのが有難いというか奇跡というか。ここに住むとなると普段の生活大変そうですが。

幌加温泉は昭和初期に造林従業員用の宿泊施設として前身の高谷温泉が開業、現在ある「湯元鹿の谷」は昭和21(1946)年からこの地で長年営まれてきた温泉宿だ。もちろん宿泊もできるが、日帰り利用も可能。1人500円だった。

上士幌町 幌加温泉

「泉質適応の説明」の看板。摂氏70度自然湧出のナトリウム泉、鉄鉱泉、カルシウム泉、硫黄泉、との事です。ガチで効きそうな温泉だ。さて入ろう。

上士幌町 幌加温泉

明かりも消され薄暗い館内の廊下を案内されるまま一番奥まで進むと、そこに男女別に別れた脱衣室がある。右手にトイレ。あとは何だか所帯じみた佇まいで私物がいっぱい置いてあるのが見えた。そもそも湯治宿だし、まあそんなもんか。

上士幌町 幌加温泉

しかしいざ服を脱いで浴室に入るやいなや…男女別の更衣室は同じ浴室に繋がっていた事に気づいた。
…これ混浴じゃん。

3つ並んだ浴槽は手前から「ナトリューム泉」「鉄鉱泉」「カルシューム泉」(いずれも原文ママ)とそれぞれ泉質が異なっているようです。古びてはいるが無駄に広々した浴室、他に客が来る事もあまり無いし、贅沢に貸し切り同然でどっぷり湯船に浸かっていたら、後からオジサン一人客が入ってきた。

上士幌町 幌加温泉

ついでに湯元鹿の谷には贅沢にも露天風呂が奥に用意されていて、スッポンポンのまま野外に出て北海道の大自然の中でゆったりとした時間を過ごす事が出来るのである。

上士幌町 幌加温泉

「鹿の谷」という温泉宿の名前の通り、この露天風呂に浸かってると周りからエゾシカが現れてそれはもう野趣に溢れる温泉体験が味わえるとの事ですが…雨降ってきやがったし寒いし鹿も出て来ませんでした。よっぽど日頃の行いが悪いらしい。もう屋内に戻ろう。

上士幌町 幌加温泉

幌加温泉でただ一軒残るこの温泉宿も、もう今では細々とやってます感全開だしいつまで商売を続けていられるか分からない面もありそうだ。タウシュベツ橋梁が崩落するのとどっちが早いだろう…とネガティブな事ばっかり言ってるけど本当にいい湯でした。試される大地北海道ならではの秘境温泉の凄さを肌で実感できます。オススメ。

幌加温泉 湯元鹿の谷

営業時間 09:00~20:00 不定休あるそうです
北海道河東郡上士幌町幌加

北海道河東郡上士幌町幌加 幌加温泉湯元鹿の谷



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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。
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