北前船寄港地で遊郭跡があったらしい秋田市「土崎港」のレトロな街並みを眺める

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東北地方の日本海側沿いを走る国道7号を青森からずんずん南下しながら、遊郭跡を探してやってきたのだが、そんな中で立ち寄ったのが秋田市の土崎港という場所。便宜上「秋田港」と呼ばれる事が多い場所なんですが…

秋田市 土崎港

秋田と言えば城下町で歴史もあるし、東北有数の芸者街「川反」もあるようなお土地柄。しかし我々が気になっていたのは秋田市街から離れたこの土崎港である。ポートタワーセリオンとかいう展望塔がそびえる、みちのくの港町。昔は酒田などと同様に北前船の寄港地だった訳ですね。

秋田市 土崎港

さすが日本海側…と思わされる、港一帯に掲げられたスローガンの文章が張り詰めた空気を醸し出している。「密航封じる秋田港」ですか…そりゃ、海を隔てた向こうは北朝鮮とかロシアとか中国ですからね。

秋田市 土崎港

既に遊郭跡としてはあまり見るものもなく普通に飲食街がある程度だとは聞いていたが、そんな土崎港をちょっとばかり散歩してみようという事になった。港のすぐ近くを走る国道7号沿い。秋田市の中心市街地からは能代方面に7キロ離れている。電車だと奥羽本線で秋田駅からひと駅隣。

秋田市 土崎港

すると国道沿いに何やら重厚そうな建築物が見える。路地を挟んだ両側に元妓楼風の民家と、左隣にはモダンな佇まいの町医者さん。

秋田市 土崎港

この建物にアンテナが思わずビビビっと反応したんですがこの建物が何なのかGoogleMapで確認したら「美美美容院」と記されているではありませんか。あんまり美容院には見えませんが、確かにビビビっと来ますよね。

秋田市 土崎港

路地を抜けた先に少し道幅の広い車道に出てくるのだが、角のところにこれまた年季の入った佇まいの「藤政旅館」の看板を掲げた昭和なお宿が建っていた。住民はおられるようだが、商売していそうな雰囲気はしない。

秋田市 土崎港

旅館から車道の斜向かいには「ダイトウビル飲食店街」の看板を掲げた飲食テナントビルが開いている。冬場は風雪に晒される北国にありがちな、廊下など共用部分もしっかりビルインタイプになった飲み屋ビル。ここはまだ現役バリバリでした。

秋田市 土崎港

さらにその南側、秋田銀行の隣にも「秋田港名店街飲食店街」の看板を掲げた、似たような飲食店街が残っている。こちらは年季の入り方がかなり違う。そそられますねこれは。

秋田市 土崎港

中に入ってみようとしたが殆ど開いている店が無くシャッター通りになってしまっていた。銀行の支店とかも多いこの付近がどうやら土崎港の中心市街地になるようだ。昭和16(1941)年に秋田市に編入されるまでは南秋田郡土崎港町という別の自治体だったそうで今でもそこそこ大きな街になってます。

秋田市 土崎港

その先の四つ角を東に折れるとこれまたレトロな風貌のレストランが一軒、日が暮れた街中で存在感を放っている。喫茶洋食銀水とな。角に「港の銀水」の看板もあり。

秋田市 土崎港

壁に直付けされた看板がこれまた渋い。なんとも土着臭に満ちた街の大衆食堂であります。小腹が減って入りたくてしょうがなかったが、同行者がきりたんぽ鍋が食いたいとゴネて譲らなかったので、結局入れずじまい。

秋田市 土崎港

そんな「銀水」さんの名物は「東京都町田市の新作あさりラーメン」らしいです。ここで唐突に、なんで「町田」なんだ。「田んぼ」でタニシと立ちんぼくらいなら取れるかも知れんが、町田であさりは取れんぞ。

秋田市 土崎港

さらに我々をレストラン銀水に惹きつけたのがこの看板の存在。干からびた古い看板に「特製カタツムリ かえる 茶ソバ」などと書かれているではないか。ゲテモノ料理まで取り扱っているのかこの店は!今になって何故ここに入らなかったのかが悔やまれる。またの機会だ。

なお、カエルとカタツムリが食えるのは同じ建物内で隣接する「スナックエスカルゴ」らしいです。近くに行かれた方は試しに入ってきて下さいね。

秋田市 土崎港

銀水の先の路地を南に折れると蒼龍寺などのお寺が何軒か立ち並ぶ寺町があり、その周りも飲食街が開けている。やはり北前船寄港地だった街だけの事はあって、そこそこ大きな街なんですね。地元民ならわざわざ川反まで飲みに行く必要もなさそうだ。

秋田市 土崎港

日が暮れるといよいよスナック街のネオンも眩しくなってくる。「客引きを許さないまち」の警告看板もあり、なかなか盛り場っぽい雰囲気が出ている。

秋田市 土崎港

このへんは現在の地名で言うと秋田市土崎港中央、かつては「新柳町」と呼ばれていた一画である。寺町とスナックが入り交じるこの路地は通称「山道通り」。

秋田市 土崎港

そう言えば土崎港と言えば北前船だけではない。戦前には近隣にある八橋油田などの大規模な油田地帯があり、当時国内有数の産油地になっていて、土崎港には日本石油秋田製油所などが立ち並んでいたそうだが、終戦直前の大空襲でそれらの施設もことごとく破壊され沢山の死者を出している。ちなみに土崎空襲は、秋田県における唯一の空襲かつ日本最後の大規模空襲で、1945年8月14日夜から翌15日未明に起きている。

秋田市 土崎港

八橋油田は戦後になって規模が大幅に縮小したので、その当時の勢いは街にはもう見当たらないが、未だにこの辺の住宅街では原油が採掘されているし、秋田沖には海底油田もある。原油が取れると言ったら同じ日本海側の新潟もそうだけどね。飲み屋街から見えるポートタワーセリオン、あまり娯楽が無さそうな秋田では一応有名な観光スポットらしいですよ。

秋田市 土崎港

山道通りを抜けた先の車道沿いに廃業した銭湯「塩乃湯」の看板建築も残っている。今回土崎港には「少し立ち寄った」程度だし日が暮れた後であんまり隅々まで見られなかったので、また訪れたい。


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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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