鹿児島県最南端・与論島上陸記
百合ヶ浜に昭和のリゾート観光地の亡霊を見た(上)
次いでやってきたのは与論島で一番の観光スポットらしい「百合ヶ浜」という場所。ここはさすがに観光整備が行き届いていて駐車場や土産物屋などがあったりする。まあ、やっぱり肝心の観光客は誰も居ないんですけどね。
シーズンオフだからか知らんがさっぱり商売っ気もなさそうな土産物屋兼食堂。おおよそ昭和の時代からそのままのくたびれた建物で、ビーチリゾートらしいキャピキャピした要素が皆無なのがまた沖縄と対照的過ぎる。水着の姉ちゃんなんかどこにも居ませんよ。
それどころか周りの建物が相当酷い事になってる。殆ど廃墟しかない。海の家的レストランな佇まいの「EDEN」の看板を掲げた店の残骸。窓や外壁がボロボロに崩れてしまっている。やっぱり台風が来る度に壊されるんでしょうなあ。
玄関口も開いたまんまになってて中が丸見えになっていた。蔦も生え放題になってるし、廃業して結構年数が経過してそうである。調べてみるとどうやら昔「ディスコ」だった建物らしい。今でこそ老人しか居ない寂れた南の島だが、かつての観光ブームに湧いた頃の与論島には何軒も若者向けのディスコがあったそうで。
人々が消えた与論島に佇む、失われたエデンの園。与論のディスコでフィーバーしていたであろう世代も今では50~60代くらいになってるのか。隔世の感がありますな。
当時の若者観光客の無駄なエネルギーを受け止めていたであろう商業施設の成れの果てが他にもたっぷり廃墟と化して残されている。
場所は全然違うんだけど、かつて炭鉱町で全然人が居なくなった夕張の盛り場を歩いていた記憶と被る。言い方は悪いが「ゴーストタウン」という言葉が思い浮かぶ。
掘っ立て小屋のような店舗跡。ガラス戸越しに中を見るとカウンターや照明、使われなくなったかき氷機などが乱雑に置かれていた。
店舗同様古そうなかき氷機。「HB-250 Hatsuyuki CHUBUKOKI CO,LTD」の表記。
こちらもかなり大きめの建物。民宿だったのかそれとも飲食店かディスコか…
どの建物も全部廃屋になっていて凄まじい。年間15万人の観光客が訪れていた島だけにキャパシティが広かった事には違いない。
これらの廃屋も昔はバーとかディスコだったんだろうか。沖縄にお株を奪われて久しいこの島に往時の賑わいが戻る時は来るのだろうか…
百合ヶ浜の駐車場横にはキャンプ場らしきスペースも整備されている。ここも昔は観光客で賑わっていたのだろうか。今では屋根もぶっ壊れて荒れ果てていた。
一見廃墟しかないように見える百合ヶ浜の近くにも何軒か民宿がある。鄙びた佇まいの「民宿金久白濱荘」は現役営業中。長期滞在者向けにお安く宿を提供されているところみたいです。
鹿児島県最南端・与論島上陸記